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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第1章 「平和な世界」
8/100

それはとても静かに1

 翌朝、いつも通り起きて朝の支度をする。


 毎日同じ時間に起きて、同じように朝ごはんを作って、全く起きる気配のない獣を起こさねばならない


 僕の顔をけってベットから離れた獣は眠気眼のまま席に着き、ご飯を食べて学校の準備をする 


 こんな毎日が送れることが僕にとってどれだけ幸せか


 そんな日常を壊さんとする赤いマル秘マークがついた資料を見つめていた


 華蓮の支度を待ちながら少しだけ目を通す



 ”共和国にて王印序による革命軍が決起”


 ”革命軍を鎮圧するため日本への協力申請”


 ”革命軍の構成員のリストから異能力の詳細”


 ”それらに対抗するための鎮圧部隊の主力が書かれたリスト、同じく異能力の詳細”

 


 概要だけかいつまんでみるとこんなものがつづられている

 

 「鎮圧か」

 

 文面だけ見ればそうだろう。


 でも相手は議会の七席。歴戦の一等級異能力者だ


 それに革命軍の構成員の面々


 相当の犠牲者が出る


 それに革命軍の人数が問題だ


 二等級以上が二十人、そしてそれ以下が


「三千人か・・・」


 どこからこんなにもの人が集まったのかは知らないがこの規模になると戦争のくくりになるだろう


 もとの共和国の鎮圧隊に加えて日本からの援軍


 いかに革命軍が多かろうと数では埋まらない力の差ができる


 このまま計画が進めば、抗おうともただの大量虐殺になってしまう


 結果が見えている負け戦に挑もうとするのはなぜなんだ


 王は評議会に名を連ねる者


 1桁にもなるものならば能力の強さ以上に発言の強さ、そして信用もほかのメンバーに決して劣らない


 議題に上げればどうにかなったのかもしれない、だけど王はそれをしなかった

 

 能力者の差別行為


 どうにもひっかかる


 確かにそんなことはあってはならない


 だけど例え3等級の能力者であっても社会からはじき出されることはない、と思う


 区分されることに劣等感を抱いている人も少なからずいるだろうけど革命軍が決起するまでになるなんて何か原因があるはずだ


 どこかで情報統制されていた等級間の軋轢による何らかの事件か・・・


 だけどそんな情報は書かれていない。そのページがだけが抜き取られたように、どこにも


 姉さんの仕業だな。僕に隠しておきたいくらいの情報なんだろう


 優しすぎる姉さんの気遣いかもしれない


 これじゃ、わかるものもわからない


 何に対して覚悟すればいいのかも



「ねーー、そろそろ出ないと間に合わないかもよー」


 

 華蓮の声にハッとしながら時計を見ると登校時間まで15分を切っていた


 この家から学校まで歩いて20分かかる。走らなければ間に合わない


 これはまずい。僕は転げ落ちそうになる速さで階段を駆け下りた


「あんたが時間気にしないなんて珍しーって思ったけど、その様子だと二度寝でもしてたの?」

 

 玄関にはにやにやと口に手を当て煽ってくる華蓮がいた


「え?なにが・・・うわっ」


 玄関に置いてある鏡に自分を映すと、髪の毛は寝ぐせで盛大にはねていて制服は急いで着たせいでだらしないことになっていた


 髪は多少ましになるように手で溶かし、制服は急いで直して家を出た


 華蓮がよかったら担いで走ってあげようか?とニヤニヤしながら聞いてきたがさすがにみっともないから拒否した


 少しだけ引っかかったのは華蓮が空元気のように見えたことだ


 僕の異能力は人の感情にまでは機能しない


 昨日のことに何か思うことがあったのだろうけど、それは僕にはわからないから気のせいにすることにした


 華蓮ならきっと自分で解決するだろうから



 僕は始業時間に間に合うように祈りながら全力で走った


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 奇跡的にギリギリで間に合った。校門を閉める係の先生が顔見知りで僕の顔を見て少し待ってくれたんだ


 優良な生徒でいてよかった


 教室にも予鈴が鳴る前に入ることができた


 肩で息をしながら制服を乱して入ってきた僕を見てクラスメイト達は驚いた顔をしている


 こんな注目のされ方したくなかったんだけど

 

「そんな、息絶え絶えになるくらいならいっそ遅刻しちまえばいいのによ~。真面目過ぎるぜ貴樹」


 教室にはいって最初に声をかけてきたのは華蓮のようににまにま笑っている光だった


「皆勤賞目指してるんだ。遅刻なんてしてたまるか」


「はい、はい、真面目~真面目~」

 

 小馬鹿にしながら光は自分の席に着きに行った


 息も整ったところで僕も自分の席に向かう


 前の席にはすでに彼女が座っていた


「おはよう龍見さん」


「・・・」


 少し期待したけどやはり返事は帰ってこなかった


 やっぱり昨日のストーカーじみた行為はまずかったかな


 いや僕でもこうなると思う。あれはさすがに怖すぎだ


「昨日はごめん、悪気があったわけじゃないんだ」


「・・・」


 これは・・・手遅れかなあ


 とんでもなく嫌われてしまったみたいだ


 落ち込みつつ席に座った時、いつも通りけだるそうに担任の先生が入ってきた

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