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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第3章 「外の世界」
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新たな出会い

 数日して山を登ることにした


 あまり急な斜面ではないから楽に登れそうだ


「キキたちは大丈夫そう?」


「・・・馬鹿にしているのか嚙み殺すぞ。だって」


「わかった」


 噛み殺すぞにはもはや何も思わなくなった


 だって聞いたら絶対言うんだもの


「よし、じゃあ行こうか」


 僕らは山に向かって一直線に進んだ


 その間動物の気配はなかった。たぶんキキたちがいるからだろう


 特に進むのが難しい場所はなかったし、とにかくキキたちが優秀だった


 ・・・乗せて欲しい


 僕はそれについて飛んで走ってついていった。先導してもよかったけどキキが譲らなかった


 前に出たら体当たりされそう出しおとなしく後ろにいる


 集団ヒエラルキーの一番下は僕なんだろうな・・・世知辛い


 なんて言ってたらもう麓に到着だ


「ちょっと休憩しましょうか」


 まだ走り出して数分だけど休憩。いつものことだ


 オオカミたちが配慮してくれているものの、やはりお尻が痛いらしい


「余裕が出たら鞍を作った方がよさそうだね」


「私は平気よ」


 あなたは半分人間じゃないからわかってる


「そうしたいけど、それもまだ先ね。設計から始めないといけないし」


 そこが難点だ。何せ紙もペンもない。皮でなんとか紙の代わりはできるけど、ペンになるようなものがまだ見つからない


 三人分の鞍だ。何か月かかるかわからない。気長に待ってもらおう


 もう一人分くらい・・・何でもない


「ここからほとんど木もないし楽に行けそうだね」


「一気に登るとよくないって聞いたことあるぞ」


「小まめに休憩しながら生きましょうか」


 念には念を一キロメートルほどの山を三時間かけて上った


 障害物も、悪い足場もなかったからすんなりだ


 僕らは山の頂上に到達し、下を見下ろした


 ・・・


「これってさ」


「そうね、初めて見たけどそうとしか言いようがないわね」


 下にあった、いや僕らが立っていたのは直径数百キロに及ぶ巨大なクレーターの淵だった


 三分の一ほど海側に広がっているせいか下は海につながっている


「大戦末期は地獄だったって聞いてたけどよ。誰がこんなの想像できんだ」


「都市が丸ごとなくなるくらい地形が変わったって・・・これはそれ以上じゃない」


 これが世界各地あるって授業で言ってたっけ


 聞いたのと直接視るのとではこんなにも差があるんだ


「人口が激減・・・何十億人いたなんて信じてなかったけどこれは・・・」


「観光気分はおいておきましょう。海が近くにあるっていうのはわかった、それでいいじゃない」


「そうだね。あそこまで森も、湖らしきものもあるしこのままいってもいいかも」


「キキたちもそれでいいって言ってるわ」


「わかった。その前にここから見える範囲だけ確認してみるよ」


 拡大視でしっかり見回した


 湖もかなりの大きさだ。周りに動物もいる


 海のほうも見てみる。扇形に砂浜ができている


 ・・・あれって


「海のほうに建物がある!」


「うそでしょ」


 みんなに共有する


「ある、わね。さすがに人がいるかはわからないけど、いてもおかしくないわ」


「人が住めない土地だって聞いてたけど、これならいてもおかしくねえな」


「とりあえず目的地をあそこにして進んでみようか。話が通じる相手ならいいけど」


 もう昼過ぎだ。今日はここで野営することにした


 昨日作っておいたお弁当を食べて眠ろうとした


「みんな、何か来るわ」


 華蓮が何か察したようでクレーターの内側を見た


 僕もその方向を見る。下ではなく上。空だ


 何かがこっちに向かってきていた


「なんだろうあれ・・・人だ!」


 分厚い大きめのいかだに乗った二人組が空をとんでいる


「念のため壁を張っておくわ。ジンも警戒して」


「おう」


 僕も華蓮もいつでも迎撃できる準備をした


「あれ、なんか手振ってる」


「敵じゃ、ない?でも一応警戒しておくわ」


「わかった。僕が話せるか試してみるよ」


 キキたちも臨戦態勢だ


 少しずつ近づいてきて僕らより少し離れた淵に着陸して走り寄ってきた


 何故か笑顔だ


「ーーーーーーーーーーーーーーーーー」


 何か言葉のようなものを発しているけどわからない


 障壁外だからか共用語を使えないのか


 大戦前の言葉なんかわからないんだけど


「ーーーーーーー」


「ごめん、何言ってるかわからない」


 僕はジェスチャーしながら伝えてみた


「ーーーー」


 彼?はもう一人の小さい子に何か言っている


 そのあと彼は自分の額を指さした


 小さい子は僕の顔に向かって指をさす


 何だこれ


「敵意は感じないわ。従ってみましょう」


 華蓮が言うなら間違いないだろう


 キキたちもいつの間にか平常に戻っている


「えっと、でもどうすればいいのか・・・」


 彼は自分の額をトントンして小さい子を指さした


 小さい子はぴょんぴょんしながら僕の頭を指さしている


 ・・・あ。


 もしかしたら僕の額に指をあてたいのか。何でかわからないけど


 僕は膝を曲げて言う通りにしてみた


 小さい子は届く距離になるとはねるのをやめて僕の額に指を触れた


「これでわかるか?」


 さっきわからなかった言葉が急にわかるようになった


「ああ、わかるよ」


 小さい子は三人にも同じように指で触れていった


「よし、みんなわかるようになったな!」


 なにが起こったかみんなもわからないようだ


 彼は頷き元気に名乗った


「俺はアレン!ロッジ村の使いだ」

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