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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第3章 「外の世界」
75/100

加速

それから進むスピードが段違いに早くなった


 前の十倍くらいだ、これほどの移動手段が手に入ったのは僕らにとって大きすぎる


 ・・・うん


 僕は異能力を使って全力疾走中だ。このスピードにもついていける「超人」があってよかった


 ・・・ありがとうインシーさん


「キキが褒めてるわよ。まあまあやるじゃないって」


「それは光栄だよ。ついでに乗せてもらえないかな」


「シルバーがかみ殺すぞだって~」


 シルバーは好戦的だなあ。寝込み気をつけよう


 もう匂いは落ちたと思ってたのに


 もしかして俺が男だからかって思ったけど違うみたいだし


 はあ。ちょっと憧れてたんだけどな動物の背に乗って走るの


「今日はここまでにしましょう。ダイン伝えてくれるかしら」


 ユンファの命令で皆止まった。野営の準備だ


 こうして止まらないとゆっくり会話もできない


「山がかなり近づいてきたわね。そろそろ上ることも考えましょうか」


「そうだね。キキたちも加わったことだしある程度簡単に登れそう」


「貴樹は頑張んなさいよ~」


 華蓮が笑いながら顔を洗いに行く


 キキたちも水を飲みに行った


「お、そろそろ薪がなくなりそうだな。ちょっと切ってる。シルバー!」


 川から戻ってきたシルバーに颯爽とまたがり森に入って行った


 燃えやすい木と燃えにくい木、匂いがきつい木かそうでない木を見分けて持ってくるのがジンの主な仕事だ


 それに乾燥させないといけないから定期的に切りに行ってオオカミたちの背中に乗せて日に当てている


 人を殺すために訓練されていた「斬波」が今は日常生活に使われているのが僕はうれしい


 ジンも心なしかいきいきしているのは気のせいじゃないだろう


 さて、今まで通りだったら僕と華蓮で狩りに行くんだけど・・・


「じゃあ行ってくるわね!」


 今じゃキキの背に乗って一人で行く。オオカミたちも自分で食料を確保するから僕はいらない子だ


 ユンファに代わって火付け係をやっている


「サバイバルしてるといかに自分が恵まれた環境にいたか思い知らされるね」


「そうね。ふかふかのベットが恋しいわ」


 今は木と皮で作った簡易ハンモックで寝ている


 なかったころは大量に葉っぱを集めてそのうえで寝ていた


 自分の部屋が懐かしい。なくすのはこれで二回目だけど慣れる気はしない


「定住する時が来たら真っ先に考えよう」


「いいアイデアだわ」


 ユンファとはなかなか気が合う


 喧嘩している暇もないってのも大きいかもしれないけど仲は順調だ


 女の子同士は全然険悪な雰囲気はしてないし


 華蓮とジンは付き合いが長いから心配してなかった


 ユンファとはほとんど話したことがなかったけど、死線を二度も切り抜けた仲間だ


 初めから嫌な感じはしてなかった


 これから僕が何かしでかさない限り大丈夫だろう


「さて今日は何獲ってくるかな」


「一昨日は兔だったし、シカかイノシシじゃないかしら」


「イノシシの処理大変だから遠慮してほしいな」


 イノシシも馬鹿にできない大きさだ。何せ熊とほとんど変わらないんだから


「そうね・・・シカも大きし。子供なら普通の大きさなのかしら」


「華蓮だとその辺気にせずとってくるからなあ。行ってみようかな」


「頼んだわ、タカキの言うことなら聞いてくれるはずだから」


 淡い期待を寄せながら待ってると華蓮が帰ってきた獲物をキキの背中にのせて


「・・・はあ」


「華蓮・・・」


 ユンファと一緒にため息をついてしまった


 狩ってきたのはシカでもイノシシでもウサギでもない


 クマだった


「大物よ!食べるのは初めてね、でも美味しいって聞くし・・・どうしたの二人とも」


 確かにおいしいって聞くけどさ


「ううわあああ!なんだこれ!?」


 戻ってきたジンも巨大なクマを見て驚いている


「どうする?ユンファ」


「まあどうにか・・・華蓮余った分はキキたちが食べるのよね?」


「そうよ、あと一匹ダインが持ってくるわ」


 なら大丈夫か・・・なのか?


「捌き方わかる?」


「いや初めてだねこれは・・・ナイフじゃ無理かも」


「俺が斬ろうか?皮は使いもんにならなくなるけど」


「この際皮はいいわ、どうせこの大きさは加工できないし。お願いするわね。華蓮血抜きしてきて」


「わかった!」


 華蓮はスキップしジンはそれについて川に向かった


「大分時間かかりそうだね」


「明日の分もわけるとして・・・何時間かかるんでしょう」


 あの大きさだと血抜きに時間かかりそうだし、もしかしたら臭み残るかもなぁ


「明日は魚にしない?」


「そうね。そのほうがいいわ」


 明日の魚とりは全部華蓮にやらせよう


 血抜きが終わり食べる分だけ持って帰ってきた


 残りは川辺で食べているらしい


「・・・どうしましょう」


「とりあえず、香辛料かな?」


 血抜きに待っていたのは四時間。抜け切るわけなく絶対臭い


 僕らは覚悟決めて調理に挑んだ




「うん・・・」


「・・・」


「・・・」


「おいしくないわね」


 あんたがいうな


 奮闘虚しく初めての調理は失敗に終わった


 これは時間かけてやらないとだめだな

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