地下街への扉
それから四時間が経過した。それまで何もなしだ。敵の気配は全くない
眠ることもなかったきっと起きれなくなるから
時間ちょうどにみんな転移してきた
「お疲れ様でした。戻って休んでください」
「いや、このままともに行く。決戦になるやもしれん。戦友を置いておいそれと休めるものか」
隊のみんなも同じ意見だ。疲れは見えるものの決意は固い。いい顔をしている
「ああ、じゃあ頼むぜ。だが先行はさせない。少し後ろをついてこい」
「うむ、そうさせてもらおう」
実行部隊は次々に転移してきた。全部で五十人くらいだ。革命軍の半分は来ている
超人が出てくる前に解放する。そのためにこれくらいの数が必要なんだ
あいつを倒さない限り毎回こんな戦い方になるだろうな
華蓮も来ていた
「貴樹、平気?」
「うん大丈夫、平気だよ・・・ジンは来てないんだ」
有栖は来ないとして、襲撃の時前線で戦っていたジンの姿が見えなかった
「もうすぐ来るはずよ。物資の運搬にあたっているの」
確かに物資もどんどん運ばれてきている。地下街の人に渡すものが大半だ
「そうなんだ。ジンは面倒見がいいもんね」
話しているとジンが物資と一緒に転移してきた。僕を見つけるとよくやったと親指を立てて笑ってくれた
「貴樹も中に行くのよね」
「僕は外で警戒じゃないかな?」
「もちろんタカキも、中に行ってもらいますよ」
後ろにインシーさんが立っていた。っくまた気づけなかった。華蓮と会って気が緩んでしまった
「僕もですか」
「ええ、あなたは私たちのそばにいる方が安全ですし、その能力を使わないのはもったいないので」
「そうね。私のそばにいたほうが安心できるわ」
そっか、暗視とか透視とか役に立つもんね。かなりの人数、同時にかけられるようになったし使われないほうが不思議か
「物資班の準備ができ次第突入です。覚悟はできていますね」
「はい、ここに来た時から決めています」
「よろしい。では健闘を」
もうすぐ始まる。しかし、今だ敵影はない。数キロ範囲なら見渡せるし、「慧眼」でカモフラージュくらい見破れる
十キロ先に待機してるかもしれないな。向こうはヘリを使える。僕らみたいにスニーキングせずとも力押しできるんだから
「おう、タカキ」
「ローガンさん、いいんですか仕事しなくて」
「俺は、このあと大仕事が待ってるからな。世話になるやつと話すぐらいなら問題ねえ」
僕が革命軍に来てからもう半年が立とうとしてる。僕の後も何人か入ってきてるけどここまで肩入れしてくれるとは思わなかった。異能力が優秀ってのが大きいんだろうけど
「華蓮も頼むぞ。俺じゃあ超人の相手はできねからな」
「わかってるわ。任せなさい」
華蓮もずいぶん強くなった。天津さんの特訓の成果だろうな。一度ボコボコにされた超人に全く怯えてない
「おし、準備できたみたいだ。行くぞ」
自分にできる限りのことをしよう
「はい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
建物に近づく際、カラカルさんの「不可視」は必須と言えるものだった
敵はいないけどこれに気づくことができるのは相当の実力者だ
僕は異能力が優秀過ぎるから実力なくても看破できる・・・なんだかなあ
内部は静かだった。建物自体はカモフラージュみたいなものだから人はいない
僕らはどんどん奥に進んでいく、地下街があるのは相当深い場所だ
階段を見つけてだんだん降りていく
進んだその先に大きな扉があった。地下街への扉だ
「では開きます」
インシーさんはカードのようなものを取り出した
「それって何ですか?」
「ああ、見せるのは初めてでしたね。これはシェンが残した地下街への扉だけを「分解」する鍵のようなものです。死んでからも作用するものを作れるとは・・・生きていてくれればもっと。いえ、今はここに集中しましょう」
「すみません」
「いいのですよ」
インシーさんはそのままカードを扉にくっつけた
「・・・おかしいですね」
「おい、どうした」
「鍵が反応しません」
扉が「分解」される気配は全くなかった
「シェンさんが見つけた分しか開けられないとかですかね」
「ええ。それが妥当かもしれませんね」
「んなら、力づくだな」
ローガンさんは気を張りつめて「獣化」した
「ううらあああああ!!!・・・・
触れる前に扉が砂ぼこりとなって消えた
華蓮だ
「ほら、空いたわよ」
ローガンさんが可哀そう。力の行く末を見失ってみるみるしぼんでいった
「なあ。俺っていらない存在なのか・・・」
「ははは・・・そんなことないですよ」
引きつった笑いしか出なかった
「て、いうか地下街に被害出たらどうしてたんだよ」
もし砕け切れていなかったら向こうに残骸が飛んで行ったかもしれない
華蓮はハッとしてしぼんだ。脳筋連中は萎むのが得意らしい
革命軍に来てから華蓮の脳筋具合が上がってきたような気がする。異能力のせいなのかな
「そ、そうよね。ごめんなさい」
「気を付けるんだよ」
「わかったわ」
聞き分けがよくなったのはいいんだけどさ
「待ってください」
インシーさんが急に立ち止まった
「メイ、転移の準備を」
「え、ああ、わかりました」
扉の先地下街のほうを見てインシーさんは固まっていた
砂ぼこりの先に何かを感じ取ったらしい
僕は透視で砂ぼこりの奥を見た
数人の人影がある。だけどそこに建物が存在しなかった
「ユンファさん!かべ!」
僕の声と同時にユンファさんが壁を張った
瞬間何かがぶつかって轟音が鳴り響いた
「おいおい、いったい何が・・・」
「お?その声ローガンか?懲りずにまだ革命軍なんてやってんのかよ」
砂ぼこりが消えた先。町などなく。ただ一人がそこに座っていた
座っているせいで岩石と見間違うような体
獅子のようなタテガミは赤みを帯びたオレンジ輝いている
そして誰一人逃がさないという殺気
「超人」チャールズ
がそこにいた




