表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
61/100

作戦開始

 四月十五日、作戦実行当日


 捜索隊は革命軍の面々と向かい合っていた


「本日より、作戦の第一段階を開始します」


 インシさんが正面一番前に立って激励の言葉をかけてくれている


「本作戦は今までよりも短いものですが、過酷さはそれを上回ります」


 十四日間、前後するだろけどこれでもこの部隊にとっては短いものだ


 今回解放する地下街を見つけるまでのおおよそ二か月


 拠点に戻ることなく彼らは外で情報収集をし、険しい山道を己が体で進みぬいた


「ですが、あなたたちなら間違いなく私たちの目的を叶えるための道を切り開けると革命軍一同信じております」


 向かいにいるみんな全員疑いのない目をしている


 それだけ信頼され期待されるほどの部隊なんだ


 僕は今誇りあるこの部隊と作戦をともにすることになる


「同じ道を進む同志として誇りあるあなたたちに祝福の加護があらんことを」


 インシーさんは敬礼し、僕たちもそれに倣った


 革命軍の数人も同じようにしている


 僕らの先頭に立っていたタツマ隊長がこっち振りむく


「これより我らは行動を開始する。転移した先で待ち伏せがある可能性がないとも限らね。警戒を怠るな。今この時より作戦開始だ。心してかかれ」


「了!!」


 隊長はもう一度革命軍のほうに体を向ける


「では言ってまいる」


「はい、健闘を」


「送ります」


 僕は華蓮たちのほうを見た。三人とも心配の顔をしていない。僕ならできると目を合わせて頷いてくれた


 いってきます


 怖くないと言ったら嘘になる。でもここまで苛め抜いてきた体と精神を信じよう


 そうして僕らはメイさんによって飛ばされた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 転移最多先は鬱蒼とした森の中だ


 僕らは厳戒の姿勢をとり、構えた


 まずはオルカさんの「音波」で周りに異常がないか確認する


 僕も参加すると言われて練習した「千里眼」を使う。精度はまだまだでけど「慧眼」も一緒に使っておいた


「周囲に敵影無」


「こちらも何も見えません」


 隊長は頷き、指定されたルートで進行を開始した


 作戦中はほとんど話さない。状況確認くらいだ


 僕は今六十数キロの装備を身に着けている。だけどほとんど気にならない。少し体幹がずれているぐらいだ


 防具の重さはだんだん重くなって最終的に八十キロ近くまで増していた


 今は通常の十キロ装備を付けている。普通に服を着ている感覚だ


 背嚢も五十キロを超えているけど。教科書を詰めたリュックを背負ってる感じで全く気名ならない


 ジンの言ってた通り化け物に足を踏み入れてしまったみたいだ


 いや、もう化け物になっているかもしれない


 装備を身に着ける際、隊のみんなが手伝ってくれようとしたけど僕が片手で担いで一人でやったものだから口をあんぐり開けていた


 隊長が、隠していたことを話すとみんな揃って


「お前は怪獣かなにかか?」


 と言われる始末だ。僕だって不思議だよ!


 華蓮と有栖が何やら隠していたけど多分そこに何か理由があるんだろうな


 毎回「催眠」対決で負けて意識のない間に、肉体改造させられてたのかもしれない


 もしかして「催眠」で脳のリミッターを解除したのかな。本来は三十パーセントしか使われていないなんて聞いたことがあるし、百パーセントまで解放されてるのかもしれない


 それでもおかしいと思うけど


 そんなこんなで体のほうは捜索隊に認められた


 精神面は初めから期待していたらしい。ボロボロになりながら叫んで立ち上がろうとした根性を見ていたからかな。すぐにぶっ倒れたけど


 さて、今回の作戦だけど。転移地点から直線距離五十キロ。行軍距離は七十キロとなっている


 距離を聞いた時は頭が真っ白になった。ならないほうがおかしい


 それも舗装されていない道をだ


 捜索隊が一度進んだ道だから、そこまで悪い道ではなかったけどそれでも歩きづらい


 騙されながら訓練しておいてよかった


 一日目は五キロほど進んだ。山を越えたためそこまで進めなかった


 だけどここからはほとんど高低差がない。進む距離が増えるだろう


 食は一日一回、時間も短い。参加すると決まってから慣らし始めたけどこれはまだきつい


 口にするのは恐ろしく栄養価が高いゼリー状のものだ。これがなぜか腹にたまるから空腹が和らぐ


 原材料がなんなのかは知らな来ことにした。隊のみんながニコニコしながら教えようとするもんだから耳を塞いで全力で逃げた


 増備の点検をし三時間後、また進行を開始する。休憩はそれと索敵に要する十分程度だ


 二日目、十三キロの地点まで進んだ。順調だ


 三日目二十五キロの地点まで進んだ。平坦な道が続いたから距離が稼げた


 四日目、聞いてはいたけど池の中を進むことになった。背嚢に防水のカバーを付けて進んだ。


 泳いでいる間はそこまできつくなかったが陸に上がった後ブーツの中に入った水をとるのに手間取ってしまって、手伝ってもらうことになった


 みんなもっと手がかかると思っていたようでここまで何も言ってこなかったのが不思議だったらしい。がんばってよかった


 五日目、三十七キロの地点まで進んだ。少しそれが空けた場所を進むことになったので慎重に進んだ


 六日目、四十八キロの地点まで進んだ。ここで睡魔が襲ってきた。タイガーさんにビンタしてもらって何とか乗り越えた


 七日目、五十七キロの地点まで進んだ。ここからは今まで以上に神経を張り巡らさないといけない。僕も異能力をほとんど全開で使うことになる


 八日目、六十キロの地点まで進んだ。道は険しくない。だけどゆっくり慎重に数十分おきに索敵をしながら進んだ


 九日目、六十四キロの地点まで進んだ。ここまで何もない、曇ってくれたので比較的に進みやすかった。


 十日目、六十八キロの地点まで進んだ。遂に足の豆がつぶれた。痛いけどジャガーさんの応急処置が的確で傷口を抑える柔らかいゴム製のものがかなり優秀だったのでそのまま歩くことができた。医療技術の進歩に感謝


 十一日目、目的地に到着。進んでいる途中にそれらしき建物を見ることができた。敵影はなし、だけど緊張は解けない


 捜索隊は転移できるよう場所を用意し、指標を土に埋め込んだ。あの宝石みたいなものだ


 拠点に通信をして、到着を伝えた。予定より少し遅れたけど許容範囲内だ、称える言葉が聞けた


 突入開始は四時間後。それまで少し休憩をとれることになった


 以前異能力は使いっぱなしだ。でも脳が焼き切れる気配はない。きっと異能力が助けてくれてるんだと思う


 少しは仲良くなれたみたいだ、これからもよろしく相棒たち


「よくここまで音を上げずに進んだなタカキ」


 タイガーさんが話しかけてきた。警戒は解けないけど、休憩中だ少しなら話せる


「はい、睡魔と豆以外は全然大丈夫でした。少し疲れましたけどこのまま戦えます」


「お前・・・いや、無理はするなよ。お前が死んだら俺らもどうなるかわかんねえ」


 何か言いかけて止めた。自分が一番わかってるよ、化け物以外の何でもない


 けどかなり隊に溶け込めたみたいだ。頼られているのは素直に嬉しい


 ここからは超人が出てくるはずだ、この隊でも分が悪い。威圧に耐える訓練はしてきたけど皆まだ戦えるか不安なんだろう


「ありがとうございます。今まで以上に気を引き締めます」


 と言っても十一日間不眠不休だ。出発前十分に睡眠はとったけど今にも落ちてしまいそうだ


 自分が今何してるかわからなくなることがある


 そういう時「催眠」で眠気なんてないと暗示をかけることができるのほんとに便利だった


 疲れはとれない。だましたとして体の動きは変わらなかった


 でもないよりましだ。異能力に感謝しよう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ