驚きの連続2
会議の間、隊のみんなは黙って聞いていた。僕もその一人だ
目を背けたくなる現実だったけど、聞かねば死ぬ確率が上がるだけ。死ぬことは許されない
会議が終わって解散したときローガンさんがこっちによってきた
「おう、タカキ。捜索隊入りとは大抜擢だな。よかったじゃねえか」
「言っていいかわからないですけど、荷が重すぎます」
「タツマがいけるって言ってんだ、大丈夫だ大丈夫!」
激励してくれてるんだろうけど背中を叩く手がすごく痛い
「まあ、いずれ行くことになってたんだ。それが早まったと思えばいい」
「体操すらまだ半分しかできてないのに実践なんて・・・」
ローガンさんは驚いた顔をした
「それ、本当か・・・?」
だよね。おかしいよね。こんな僕が捜索隊になんて
「毎日死んだ顔して訓練所から出てくるのは見ていたが・・・そうか」
捜索隊が訓練所を使っている場合はほとんど誰も入らない
ローガンさんもインシーさんであってもだ
圧かけ担当の華蓮とタツマさんが崇拝している有栖は別だけど
「まさかたった三か月で一週目をこなせるなんてな・・・俺でも音を上げたというのに」
え、ローガンさんも逃げた人だったの
「ローガンさんがですか!?」
「ああ、俺にも特戦入隊の打診があったが訓練がきつすぎて逃げたんだよ。まだ二十代のころだったか」
今は四十三っていってたから二十年前かローガンさんも防衛隊にいたんだ
「俺の代わりにタツマが行ったが、いまじゃ隊長だ。あいつはすげえよほんとに」
年齢は近いと思ってたけど、そうか同期だったのか
「俺が音を上げた体操に当時の俺より若いお前がついていけてんだ。自信もっていいぞ」
「その通りだ、タカキ。この軟弱ものよりも断然お前のほうが使えるからな」
タツマ隊長が後ろから声をかけた来た。また背をとられた
「おいおい、軟弱ものとかいうんじゃねえよ。特戦入りしたのだって俺が辞退してやったからだろ?」
「抜かせ。辞退ではなく逃亡であったろう。一月も姿をくらましおって」
想像以上に逃げてた。ローガンさんにもそんな時期あったんだな
「あの時の話はもういいだろ。それよりお前タカキに言ってなかったのか」
「言えば無理して潰れるだろう。こ奴はそういう男だ」
・・・確かに間違ってない。必死になって無理をして、早く追いつかなくちゃって躍起になってたと思う
タツマさんは厳しかったけど、ちゃんと僕の事見てくれていたんだ
「まだまだ未熟ではあるが、行軍に必要な忍耐力は申し分ない。止まれば尻でも蹴って進ませようぞ」
こっちをチラッと見てふっと笑った。隊長が笑うの初めて見た
じゃない。蹴られないように頑張らないと
「それがいいな。あとこいつはな・・・・」
何か耳打ちしている・・・何話してるんだろう
聞き終わって隊長はため息をついた
「はあ、それぐらいわかっておるわ。こ奴の顔を見ればすぐだろう」
「はは、そうか!タカキは顔に出やすいからな。タカキも気を付けろよ?鼻の下伸ばしたりしたらすぐにばれるからな」
「しませんよそんなこと!!」
・・・多分
華蓮が僕に対して察しがいいのってもしかして僕が表情に出してたからだったのか?
なら有栖もジンも・・・いや何も考えないでおこう
「出てみればわかる。お前ならば今作戦ぐらいなら遂行できよう」
「はい、精いっぱいやらせていただきます」
僕は敬礼してこの場を去ることにした
この先が思いやられる
作戦開始まであとひと月もない、できることはやっておこう
昼の訓練は休みになった
少しだけ走って華蓮の訓練でも見に行くか




