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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
58/100

驚きの連続1

 彼が彼女と知ってから三か月たった


 最初のひと月ジンは口を聞いてくれなかった


 見かけたら逃げられる始末


 結構心に来た


 でも休息日に食事会を開いたことで何とか機嫌を戻してもらえた


 ジンは麻婆豆腐が好きみたいだ。それも辛ければ辛いほどいいらしい


 有栖は一口もらって涙が止まらなくなっていた


 相手にならないと言われていたけどそこそこ体ができてきたので今では稽古に付き合ってもらっている


 もちろん異能力なしだ


 訓練はというと、なんと第十までこなせるようになった


 さすがに二周目は無理だけど、隊のみんなから褒められた。かなり速いペースらしい。頑張った甲斐があった


 隊のみんなが二周目している間も何とかついていこうとするものの姿勢は崩れ跳躍もできず体も上がらないという状況だ


 成長の余地ありと思っておこう


 今お風呂以外は一日中防具を付けて生活している。十キロの重さはやはりきつい


 でもだんだん慣れてきた。自分も化け物の仲間入りし始めていそうな気がして怖い


 異能力の訓練はいまいちだ


 「催眠」はジャガーさんには通じず、華蓮に一度も勝ててない


 目を増やすということも全然つかめないままだ


 最近は体術の稽古をカラカルさんに着けてもらっている


 彼は僕と同じ背格好でなのでタツマ隊長から使えるようにして置けと命じられた


 もちろんスパルタで立ち上がることができなくなっても蹴りが入る


 こういう時、華蓮に鍛えられててよかったって思うようになった。ありがとう華蓮


 訓練が終わったら有栖の家に行ってジンと稽古


 それが終わったらごはんを食べてお風呂に入って就寝だ


 ジンは今では有栖の家の常連になっている


 三人仲良くて羨ましい。僕はほとんど話しかけられなくなったので天津さんと二人で眺めることが多くなった


 天津さんもずっとこんな気持ちだったんだろうな。放っておいてすみませんでした


 天津さんとはよく話すようになった。と言っても華蓮の話題しかレパートリーがない


 まだ拳が届くようになったわけではないけど華蓮は日に日に強くなっている


 訓練所の圧かけもどんどん洗練されて言って隊のみんなもまだ冷や汗流しながら走っている


 タツマ隊長は・・・変わらずだ


 有栖には毎日血をせがまれている。決まって華蓮がいないときだ


 ジンのことは気にしていないようで両手で目を塞いで・・・いや隙間から見ている彼女にかまわず吸い続けている


 なんだか最近血の気が多いのはこれのせいなのかな。鬼教官ぶりをいかんなく発揮している


 かわいいからいいや


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 昼にインシーさんから呼びかけがあった。隊のみんなも一緒だ


 つまりそういうことなんだろう


 最上階の広間に行くとインシーさんとローガンさんが待っていた


「皆さん、集まりましたね」


「捜索隊全員揃ったな」


 二人ともいつも以上に真剣な面持ちだ


「では、こちらの地図を」


 机に広げられた地図はおそらく合衆国の南西部、障壁近くのものだ


 地図の端にある障壁を現した線のすぐそばにバツ印がついている


 インシーさんはそのマークを指さした


「二月後、五月六日にこの地下街らしきものを解放に向かいます」


 そして五十キロは離れた山の中にあるもう一つの印をゆびさし


「あなたたちには転移の指標を置いたこの場所から行軍を開始し、作戦開始の一時間前に地下街近くのこの位置に指標を置き私たちが転移する空間を確保してもらいます」


 地下街から五百メートルくらいのところに青い丸印がつけてある


 メイさんの転移にはそこに飛ぶための指標が必要だ


 それを先行して場所を確保するのが捜索隊の仕事になる


「うむ、いつも通りの仕事だな。設営するには十日ほどかかる。四日ほど余裕をもって現地に行った方がよさそうだ」


「はい、私もそれを目途に算段を立てています。数日前後しようと万全の態勢で準備しておきます」


「任せろ、迅速に遂行るとも。その方が地下街の人々も安心しよう」


 捜索隊のモットーは弱きものを守ること。今すぐにでも助けに行きたいだろう


 だけど十全に準備しないと助けられる者も助けられない。ここは慎重にってことだ


「今度も過酷なものになる。だが、これまで一人もかけることなくやり遂げてきたんだ。俺も期待しているぞ」


 ローガンさんも捜索隊を信頼しているようだ


 革命軍のみんなから信頼され尊敬されている。それが捜索隊なんだ


 僕はその訓練に参加できているというだけで誇らしい気分だ。訓練中の自分は情けないけど


「政府はかなり警戒しているはずです。突入してすぐに殲滅隊が来てもおかしくありません。おそらく超人も出てくるでしょう」


「その前に全員を解放し、誰一人欠けることなく帰還する。それが今回の絶対条件ということだな」


「ああ、ま、そんな簡単にはいかんだろうがな。地下街の連中だけでも無事に送り届けられれば成功ってことにしようか」


 完璧にうまくいく保証なんてどこにもない。というかゼロだ


 政府も全戦力を投入してでも革命軍を殲滅する気だろう


 あの襲撃でそれは確実になった


 政府がなぜここまで地下街に固執するかはわからない


 でも解放の笛はもうなっている。止まることはできないんだ


「確かにそうかもしれんな。だがここにいる者はそんなことでは挫けぬ。であろう」


「了!」


 僕も一緒になって返事をした。したいと思ったんだ


 ともに行かないとしてもこの誇りある部隊と過ごした時間は僕にとってかけがえのないものになっていたから


 インシーさんは僕を見てニコリと笑った


「それでタツマ、首尾のほうは」


「ああ、問題なかろう。それなりに使えるようにはなった」


「そうですか」


 また僕のほうを向いた。今度は真剣な顔で・・・


「タカキにも捜索隊に参加してもらうことになります。あなたの異能力を遺憾なく発揮してください」


 ・・・うそですよね。


「貴様の異能力は、隊としても是が非でも欲しいものだ。体力については気に病むな、動けなくなったら背を押してやる」


 冗談ですよね


「いやあ、タカキが根性あるのは知ってたがこれほどタツマに気に入られるとは驚いたぜ」


 え、いや、あの


「ふ、政府の犬だったころは十人までと決まっておったし選出するのも政府だったものだからな。こ奴の根性は見上げたものだ。入れぬわけがない」


「そういうことです。タカキ、期待していますよ


「りょ、りょう・・・」


 終わった

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