捜索隊との訓練5
十七時には華蓮が稽古を終えて訓練場にくる
そしてタツマ隊長を毎日壁に叩きつけて訓練が終わるのを待つ
僕の訓練をつまらなそうに見ているけど暇なら部屋に戻ればいいのに
十八時、訓練終了
十二時間にわたる訓練が終わり全員解散だ
僕たちは三人で夕食に向かう。最近はフードコートかお店で食べている
そのあと部屋に戻って休む。明日は休息日だ、夜は有栖の家で寝ることにしよう
お風呂に入って有栖に血をあげる。華蓮はいつもじっと見てくる。だから何もしないってば
華蓮と有栖に訓練を手伝ってもらう
催眠対決で負けて毎回華蓮の膝の上だ
「だから何で僕のほうがかかるんだよ」
「精神力が足りないわね。しごきが足りないんじゃない?」
「タツマに言ってあげよっか?」
「勘弁してください」
絶対にかけてやるからな。絶対に
午後の訓練はほとんど動かないからか疲れがさほどない。初日のように寝落ちすることはなくなった
もともとの訓練がよかったのかな。意外といけてる気がする
体操はまだまだだけど
「今日の稽古どうだった?」
「一週間ちょっとじゃ変わんないわよ。一発も当たらないわ」
天津さんとの稽古はそこまで進展ないようだ。相手が天津さんだもんな
「異能力の制御は多少うまくなったと思うわ。天津さんに褒められた」
変わんなくないじゃないか。天津さんが褒めるっていい感じなのでは
「華蓮の成長って思ってた以上に早いよ。なにをモチベーションにしてるんでしょうね」
有栖がいたずらに笑みを浮かべている。かわいい
「有栖・・・」
「なんでもなーいよ」
逃げるように転移した。華蓮も追っていった。
何か話し合いをしている気がする。僕はちょっとあとでいくことにしよう
地下街周辺の索敵か・・・僕はどうなるんだろう
今のままでは役に立たないどころか、隊の足を引っ張ってしまうのは確実だ
異能力は役に立つ。それはわかってる
でもこの体がついていかない。たぶん精神も
作戦は不眠不休らしい。索敵をしつつ襲撃への警戒、寝ている暇などない
転移地点がばれないように目的地まで数十キロは歩いて行軍
それだけでもきついけど、対異能力者用の約十キロの防具を着用さらに食料、物資を入れた背嚢を背負う
背嚢は昨日見せてもらった
一週間分の食料と水。行軍に必要な器具。替えの戦闘服。対能力者用の防具の予備
合計五十キロ。そしてメディック兼通信使のジャガーさんはそこに数キロ追加だ
装備一式をつけさせてもらった。平地を歩くのですら一メートル進むのに数秒かかる
歩くのは山中、必要なら川を渡る。敵を警戒しながらなんて人間業じゃない
カラカルさんの異能力「不可視」によるステルス行軍が可能ではあるがそれでも精神を削られる
それでも作戦を完遂するのが元特戦、革命軍の捜索隊だ
どうしてそこまでするのかとタツマ隊長に聞いてみた
「我々はもとより人々が安心して暮らせるように組織された隊だ。人を守る、そのためならば死地に向かう覚悟をもち作戦を完遂できうる者だけが特戦への入隊を許された。政府は人を守る。そう信じてきたが実際は違っう。弱気者たちを隔離しおらぬものとして扱っておった。革命軍に加わるには過ぎる理由であろう。人のためならば己を捨てる。それが我々だ」
特戦の隊員は余さずその理念を胸に抱き誇りとしている
インシーさんが手放しで信頼している理由がよくわかった
おそらく僕にはついていけない。有栖は行くことになるかもって言ってたけどさすがにないだろうな
僕は大勢を守るなんて大層な信念を持ち合わせていない。そんなこと思ったこともない
ただ、華蓮を、有栖を守りたい・・・ともに隣で進んでいきたい。それだけだ
今は二人に守られてしまっている。それが悔しくて、情けなくて、苦しい
強くなるそう決めた。だけどそれも簡単にはいかない。挫けてしまいそうにもなる
だけど、それでも僕は諦めたりしない。絶対にだ
捜索に参加しろと命令されたなら従おう。それが強さに繋がるはずだから
「でも、死にたくはないなあ」
覚悟したとは言っても僕はずっと変わらず臆病だ。たぶんこれからも
きっとまた迷ってしまう。考え込んで立ち止まってしまうだろうな
それでも下を向かずに前を見よう
臆病なままでいい強くなろう。自信がなくても覚悟は決める
それがきっと僕なんだ
とにかく力をつける、いつ何が起きてもいいように




