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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
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捜索隊との訓練4

 十二月三十一日、訓練開始から六日目


 僕は今日も捜索隊の訓練に参加している


 第五体操までは気合で乗り越えられるようになった


 しかし第六の途中で体が動かなくなる。隊員の皆さんは第十までやりきっている。すさまじい体力だ


 連日の訓練で体はボロボロだ。しかし一週間に一度休息をいただけることになった


 明日は休み。それを活力に今日の訓練を乗り越えた


 初日は午前が休みだったので半日の訓練。それに加えて華蓮に打ちのめされたタツマ隊長が途中で切り上げたためいつもより短かったらしい


 六時集合。そこから五時間かけての体操をし二時間のランニング


 十三時。十五分間の休息そこで昼食を済ます


 普通に喉を通らない


 休憩が終わり次第、ランニングを再開


 吐きそうになる。二日目は吐いた。華蓮から憐みの目で見られた


 十四時。異能力トレーニングの開始


 これが僕にとっての休息。皆さんは体を使うタイプの異能力なので立ち合いや自分を追い込むために最大出力で行使している


「一週間一緒に訓練してるけどほんとに化け物だよあの人たち」


「まあね。あれくらいしないと対応できないこともあるし、それに精神力の面でも鍛えられるからね」


 有栖は今僕の訓練に付き合ってくれている


 華蓮は今頃天津さんと稽古中だ。日に日に洗練されているのを感じる


「もしかしたら貴樹も捜索に加わるかもしれないから覚悟しておいた方がいいよ」


 訓練がこれならおそらく実戦はもっとつらいかもし得ない。いや今度こそ死ぬかもな


「でも地下街らしきものが見つかったみたいだから捜索は当分ないよ。実行部隊の仕事が先だね」


 僕が加わることになったあの地下街は元々インシーさんが把握していたものだから、その間捜索隊は別行動をしていたらしい


 だからあの場所にいなかったんだ。戦力もあの頃は十分にあったから


 今は襲撃でかなり疲弊している。地下街の解放はまだ先になりそうだ


「でも把握していなかったものが見つかるのは初めてみたいだし、どんな作戦になるんだろ」


「どうだろね。でも今の革命軍は華蓮もいるから警戒が強まってるし、もしかしたら待ち伏せなんてこともあるかもね」


「まった。それ捜索隊がまた現地に行くことにならない?」


 待ち伏せの有無を確認するのも捜索隊の役目だ。作戦開始前に現地で調査しないといけない


「あ、そうだね。もうちょっと先になるかもだけど貴樹もついていくことになるかも」


 あ、そうだね。じゃないよ有栖・・・


「それまでに第六を全部やりきるくらいのならないと」


「十までじゃないんだ」


「作戦までに死んじゃうよ」


 鬼教官有栖ここに在り


 一月この訓練に耐えたところで戦力になるとは思ってない


 でも少しでも死なないように頑張ろう


 超人の圧に負けないくらいの精神力を身に着けられるくらいにはなりたい


 捜索隊の人たちは日々ランニング中、華蓮の圧に耐えるよう訓練をしている


 と言っても華蓮は訓練場の真ん中で異能力を使っているだけだ。三日目くらいからマットを用意してあくびをしながら寝ころんでいる。それでも圧は変わらない


 僕は慣れているからそんなに気にはならないけど、体操中余裕の表情をしていたタイガーさんもサーバルさんも滝のように汗を流していた


 タツマさんは平気だ


「これでは超人戦で役に立たんな」


 ってぼやいてた


 けどその心配はないと思う。超人が出てきたとたん向こうも引いていった


 これは超人の圧に耐えられないとわかっていたからだと思う


 余波は隆則さんの異能力で止められる。だけどしなかったから間違いない


 よく耐えたものだ。僕もそうだけどローガンさんも、それにユンファさんも


「しかし、目を増やすってよくわからないなあ。異能力も答えてくれる気配ないし」


「うーん、私も役に立ちたいけどこれはわかんないなあ。貴樹が自分でどうにかしないと」


 まだ六日と言っても六日間ずっと訓練してるんだ。それでも手掛かりひとつつかめない


 これができれば、体が出来上がってなくても役には立てるんでけど


「いっそのこと暴走して引き出せたら感覚つかめると思うんだけどね」


「いや、僕のは暴走しちゃうととんでもないことになるから」


「とんでもないこと?」


「異能力がとんでもない速度で切り替わって脳がショートしちゃうんだ」


 子供のころに何度か体験したことがある。もう二度とごめんだ


「あーそっか。貴樹はたくさん持ってるから喧嘩しちゃうんだね。僕が私が~って目の取り合いになって異能力自体が発揮されないまま気を失ってしまうって感じかな」


 僕の中に異能力が大量にあるって聞かされてからもしかしてとは思ってた


 二つしかない目はないのに暴れまわられちゃ体が持たないから


「もしかしたらその時に目を増やせてたかもしれないね。覚えてないだろうけど」


「だね。倒れた時は前後の記憶が曖昧になっちゃうんだよね」


「異能力同士が仲良くなってくれてればもしかしたら次の暴走で何かつかめるかも」


「暴走前提で話進めないでよ、有栖・・・」


 有栖ってたまに物騒なこと考えるからな。ちょっと怖い。でもかわいいからいいや


 異能力同士が仲良くなれば・・・か。確かにそうなってればその時必要な異能力が前に出てくるかもしれない


 暴走はしたくないけどそれも視野に入れておこう


 そういえばあの時の乗っ取るった感覚って何が力を貸してくれたんだろう


 うーん。「共有眼」とあと何か他のものが使われていたんだろうけど・・・


 異能力をたくさん持ってることを知ってれば何かわかってたかもしれないな


 早く聞かなかったことに後悔だ


「タカキ、そろそろやるか」


 紫髪のメガネえおかけた青年がこっちに寄ってきた。ジャガーさんだ


 初日は完全にダウンしてたから話せなかったけど、ダウンしてたのは捜索帰りだったかららしく翌日の訓練は第十体操まで難なくこなしていた


 たった一日休んだだけで回復するなんて、ほんとに化け物しかいないやこの部隊


「はい、お願いします」


 ジャガーさんには有栖にかけるには気が引ける「催眠」の訓練に付き合ってもらっている


 「抗体」の異能力者で毒や病気に対して一瞬で抗体を作り出し、仲間に接触するだけで症状を打ち消す。部隊のメディックだ


 戦闘員ではないのでほとんど戦いに参加せず、医療処置と通信を主な仕事にしている


 ただ僕の異能力のように体外で作用するものには抗体を作ることができないため訓練相手としては申し分ない


 元特戦隊員であるため化け物級の体力と精神を持っているので「催眠」の訓練を主に付き合ってくれている


「よし、では始めよう。こい!」


「行きます」


 「催眠」もかなり精度が上がった。毎日ジャガーさんにかけ、訓練後には華蓮と掛け合いの勝負をしているおかげだ。華蓮には負け越している。何でだ


「うんんん。まだまだ。いけるぞ」


 眉間のしわがどんどん濃くなって目も血走ってっ来ている。もう少し


「はあ、これが限界ですね」


 「催眠」は目が合っていないと使えない。瞬きをしてもダメだ


 それに、掛けていることに気づかれると抗われる


 一瞬で掛けられないと対策される。一かゼロ、戦闘時には使えない


 ただ尋問には使えるというタツマ隊長からの指示で訓練している


「少しづつかけられているという感覚が強まっている。精神が削れている相手には有効かもしれないね」


「僕としては戦闘で使えるくらいにはしておきたいんですけどね」


「確かに使うことができればかなりの戦力になる。かかった相手を操ることができるとは恐ろしい能力だよ」


 しかもその間自分が何をしているのかわからないというおまけつき


「でもそこまで根を詰めなくても大丈夫。君にはまだできることがあるんだろう」


「はい、戦闘に使えないものばかりですけど」


「仕方ないさ三か月前は普通の学生だったんだから。体操を半分こなせるくらいには成長してるって。十七の学生ができるわけないのもなんだから」


 そこは自覚してるんだ。いや僕もわかってるけどさ。人間をやめる領域に足を踏み入れたことも・・・


 ジャガーさんはよく励ましてくれる。捜索隊の良心だ。ほかのみんなは血気盛んで頭が筋肉でできている


 ハイエナは空っぽだろうけど


 僕がいくつも異能力を持っていることは華蓮と有栖しか知らない


 革命軍のみんな僕に異能力が一つでいろんなことができると思っている


 言った方がいいんだろうけど有栖がやめておいた方がいいと言ったので隠している


 何でだろうとおもったけど気にしない。有栖が言ったんだ。信じよう

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