捜索隊との訓練3
チータさんに静止を掛けたらとんでもないスピードで走り寄られた
顔が近い・・・
「タカキの異能力だ。見えるものを止められるらしい。感触はどうだ?」
「いきなり動かなくなったからびっくりしたよ。動けるようになったらバランス崩してこけそうになった」
「止められた反動とかはなかったか」
「うんなかったね。勢いも全部殺されてた。なんて言ったらいいかわかんないけど、体に問題はないかな」
知らないことはしっかり調べる。特戦はそんなところもしっかりしてるんだな
「透視はどこまでできるんだ?」
「普通の壁なら難なく。分厚くなければ何枚あっても大丈夫です」
「透視範囲の調節は?」
「ええ。範囲内だったらできます」
「ほう、では服はどうだ」
聞かれた瞬間チーターさんが体を隠した
「できますけどしませんよ。危険物を持っていないかどうか調べるときくらいです」
「絶対変なことに使ったらだめだからね!」
使いませんて
「なんの話してるの」
いつの間にか華蓮が僕の後ろにいた。最近背後をとられるのが多すぎる。僕の不注意じゃなくて格上すぎるからって思いたい
二人は警戒態勢をとった
「華蓮さすがに気配を消すのはやめてよ。みんなびっくりするから」
というか特戦の人にすら気づかせないなんてうちのお嬢様かなりすごいんだな
二人は安心したように肩の力を抜いた
「知り合いだったか」
「ええ・・・妹です。いたっ」
おしりに蹴りを入れられた。理不尽だ
「へー似てないね。義兄弟って感じか」
「まあそんなもんです」
それは嘘だけど。まあいいか関係性難しんだよな・・・護衛と対象ってのもなくなったしな。友人?
「チーターよ、よろしく」
「私は華蓮」
「カレンの異能力はなんだ?」
今使うのはまずいな。全員戦闘態勢になりかねない
「全員集まってみたほうがいいと思います」
「?そうか、なら隊長に聞いてみよう」
タイガーさんはタツマさんに許可を取りに行った
すぐに許可は出て全員華蓮の近くに集まって座っている。一部は休憩できてうれしそうだ
華蓮は余計なことしてくれたわねってこっちを見てる
こっちに来たのが悪い自業自得だ
「じゃあ行くわよ」
いつも通りあのきれいな姿に変身した。赤く力強い
「これが華蓮の異能力「獣神」です」
それを聞いてざわつき始めた
「まさか特等級能力が革命軍にいるとはな。超人を退けたの虚言ではなかったか」
「存在は知っていたがこんな少女がそうだったのか」
華蓮が特等級異能力者だというのは大人になるまで東方家が隠す算段だった
殺戮の道具にされないように
特戦ですら保持者が誰か知らなかったようだ
「ふむ、一度私と手合わせ願えるか」
タツマさんが声を上げた
「あんた、大丈夫なの?手加減はするけど」
「そうだな、少し手加減を頼もうか。私の異能力は「竜人」。神には劣るが一等級、少しは相手になろう」
特戦の一等級。興味がある。どこまでやれるのか、特等級との差はどうなのか
「やってみる価値はありそうね。貴樹離れていて」
「うん。わかった」
特戦の人たちは無視か・・・あれ僕の事名前で呼んだ?めちゃくちゃひさしぶりだな
僕らは外周ぎりぎりまで下がった
「ここまでせんでもええんちゃうの?」
「えっと、なんだって?」
「ここまで離れなくてもよかったんじゃないかって」
チーターさんがハイエナの翻訳をしてくれた。普通に話せよ青髪
「始まってみればわかると思います。見たいなら近くで見てもいいですよ」
「そうか?ほんなら近づいてみよかな」
ハイエナは華蓮たちと僕たちの中間まで近づいていった。死んだな
「タツマは馬鹿ね。ほんと脳みそ筋肉なんだから」
有栖が僕の膝に座りに来た
「汗臭いよ?」
「平気」
平気じゃないと思います。まあいいかかわいいし
華蓮の圧が強まった
「始まります」
特戦の皆さんの額に汗が流れている。特等級が戦うのは初めて見るらしい
超人が出る機会なんてほとんどないんだろう
タツマさんの異能力を使った。戦闘服で隠れていない皮膚が魚の鱗のようになった
龍。空想上の生き物ではあるけどもしいたらこういう風な鱗をしてるんだろうな
華蓮は構えをとらない。天津さんのマネかな
タツマさんは地面を蹴って体当たりを仕掛けた。あれは・・・太極拳かな?マンガの知識しか知らないけどそんな風に見える
体当たりは華蓮には当たらなかった。天津さんのようにひらりとよけた
それからも攻防・・・攻撃が続いたけど一発も当たることなく、飽きた華蓮がデコピンでタツマさんを壁に叩きつけて決着となった
それでもかなりの余波があった。でも訓練所が揺れなかった
華蓮がよけるだけだったのでそこまで警戒する必要はなかったかな
ハイエナは最後の一撃が生んだ爆風でこっちまで吹き飛ばされ、壁に叩きつけられていた。ざまあみろ
タツマさんは気絶することなく普通の足つきでこっちに歩いてきた
特選のみんなが立ち上がったので僕も有栖を下ろして立ち上がる
華蓮も異能力を解いてこっちに歩いてきた
「手も足も出んとはこういうことよの。一撃入れる未来が見えなんだ」
タツマさんは肩を落としている。さっきまでの隊長の顔ではない
華蓮と比べるのはよくない。規格外なんだから
「師匠がいいのよ」
「ほう、ローガンがそこまで強くなっていたとは意外よ」
「あんなでくの坊と一緒にしないでくれる?」
華蓮は鋭くタツマさんを睨んだ
これにはいくら強かろうとどんな生物でも震え上がる
師匠がいいと言っても昨日の今日でまねできる華蓮もすごいと思うけどな
「今日はこれにて解散。なにもする気がおきん。明日は六時に訓練場に集合だ遅れるな」
「了!」
訓練はこれで終わった
明日も続くのはかなり憂鬱だけど、強くなるためだ受け入れよう
ジムで汗を流してごはんを買いに行こう
今日も作ろると言っていたけど、この疲労じゃだめだ
二人とも気落ちしてたけど訓練を見てたから何も言わなかった
それどころか買い出しは自分たちでやるから部屋で休めとまで言ってくれた。優しさが目に染みる
部屋に戻るとどっと疲れの波が襲い掛かってきた
ごはんを食べる気力すら残ってなかったけど二人が買ってきてくれたんだ。しっかり食べた
お風呂の準備も華蓮がやってくれた優しすぎる
今日はほんとに死にかけた。まだ七時だけど眠ることにした
お風呂に入ってリラックスしたせいかベットに入った瞬間気を失うようにな無理に落ちた
なんだかマッサージしてくれているような気がする
明日も訓練だ。がんばろう




