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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
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捜索隊との訓練1

 十四時半


 少し早いけど訓練所に行っておこう


 華蓮と有栖もついてきてくれた。力強い


 訓練所に入るとすでに捜索隊の人たちが集まっていた


「お疲れ様です」


「おう、逃げずにきたか。隊長は時間ぴったりに来られる。それまでにストレッチだ」


 逃げずにきたってなに・・・


「逃げた人もいるんですか」


「ん?ああ、この隊の訓練はなかなかきついからな。知ってるやつは大体逃げてく」


 ええぇ・・・大丈夫かな僕。何なら今から逃げようか・・・いや強くなるって決めたんだ多少きつくても頑張ろう


「何年も隊にいる俺だってきついからな」


「何年もですか。あれ、革命軍ができたのって四か月くらい前じゃ・・・」


「俺らは元々議会直属だったからな。隊長が革命軍行くっていうんでついてきたのさ」


 議会直属の部隊・・・議員と共に異能力者の対処をするのが防衛隊


 防衛隊にもいろいろあって陸海空の部隊その中でも役割別に編成されている


「ちなみにどの部隊にいたのかって聞いてもいいですか?」


「ああ、俺らはみんな特戦だった。シェンの動きを監視してたのも俺らだ」


 特戦・・・通称・特殊作戦隊・・・って言ったら、全世界の防衛隊員の中から選出された十人の優秀隊員だけで成る部隊じゃないか


 対象の異能力者を見つけ、議会が動くまで不眠不休で監視。抵抗があれば議員到着まで耐える


 それも特殊作戦隊と言ったらほとんど一級が相手だ。生半可な人間では到底成しえない


 その隊の訓練に今から僕も参加する・・・終わった。多少きついもんなんかじゃないぞ絶対


「ま、仲良くしようや。俺はタイガー。この隊の副長だ」」


 固く握手した相手は大柄な男だ。ローガンさんとほとんど変わりない。白髪黒人の人だ


 特戦に配属された人は名前を捨てる。タイガーさんもその通りだ


「は、はい。よろしくお願いします貴樹です・・・」


 優しい顔をしているが手が恐ろしく硬い。ほかの隊員さんもこんな感じなのかな・・・


「ひとまず、ストレッチだ。隊長が来られたら掛け声で整列。タカキは横に並んでおくといい。遅れてもいい姿勢はみんなに合わせろ」


 よし、これだけはちゃんとやろう。やらないと怒られそうだ


 みんな僕に興味ないようで二人一組でストレッチしている。今九人だからタイガーさんが余ってるのか


 大きすぎて相手ができないってこともあるのかもしれない


 もちろん僕も相手にできないので一人ですることになった


 作戦帰りだっていうのにみんな疲れた顔をしていない。それどころか空気がずっと張りつめている


 十五時ちょうど訓練所の扉が開いてタツマさんが訓練所に顔を見せる


 その顔を黙視する以前、扉が開かれた瞬間にタイガーさんは大声で叫んだ


「整列!!」


 タイガーさんの大声で全員が等間隔で三×三に並んだ


 僕はタイガーさんに言われていた通りその横に並ぶ


 全員同じ姿勢だ。きれいに揃っている


 タツマさんはゆっくり歩いて部隊の前に立った


「敬礼!!」


 またもやタイガーさんの大声で全員が敬礼の姿勢をとった。僕も急いで真似をする


「やすめ」


 全員そろって休めの姿勢。動きが洗練されている。乱れひとつない


 ・・・僕以外。できるようになろう。それまで生きていられればいいけど


「今日から新人が参加だ。インシーからは逃がすなと言われている。その時は全員でかかれ、いいな」


「了!」


 了じゃないです。インシーさんも余計なことを・・・


 ああ、もう逃げられない。さっき決めた覚悟は張りつめた空気にさらされ風化している


 ええい!覚悟を決めろ僕!


「よし。今日は作戦後だ。第一から第六まででよい。体操開始」


「体操開始!!」


 それから地獄が始まった。体操はとんでもないものだ。ハジマル前にストレッチをしていたのもうなずける


 端的に言うと体操じゃない。こんなの体操であってなるものか


 第一体操。太ももが悲鳴を上げる。汗が止まらない


 第二体操。腕が悲鳴を上げる。昼に食べたものが出そう


 第三体操。脇腹が悲鳴を上げる。頭が回らなくなる


 第四体操。腹筋が悲鳴を上げる。目が回る


 第五体操。背中が暑い。顔からいろんなものが出ている気がする


 そこで、立ち上がれなくなった


「何を休んでおる。姿勢をとれ」


「ぐぅ・・・」


 無理です・・・声すら出ない


「早く姿勢をとれ。軟弱もの」


 体全体が悲鳴を上げている。立ってない


「貴様の覚悟はそんなものか。早く立て」


 はあ・・・はあ・・・


 ちゃんと息ができない


「貴様が終わるまでみな終わらぬ」


 意識が・・・


「・・・これでは守るものもれず死ぬぞ」


 っそれはっダメだ・・・それだけは・・・


 前を見た。薄れる意識の中で華蓮を見つけた。顔ははっきりと見えないでも僕を見てくれているのはわかる


 何で僕はこんなにつらいことをしてるんだ。こんなの聞いてないよ


 逃げ出す人がいるのもわかる。だってこんなの人間の所業じゃない


 でも・・・それでも


「あああああああ!!!!」


 最後までやり切ってやる!


「よし。最初からはじめ」


 僕の意識はそこで途切れた

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