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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
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休暇4

 お昼の生姜焼きを食べてお腹いっぱいになった僕らはソファにもたれかかって休憩していた


 洗い物も手伝ってくれた。というか二人がやってくれた


 最近僕のアイデンティティがどんどん消えて行ってる気がする


 二人が楽しいなら別にそれでいいんだけどね


 少しして天津さんがリビングにやってきた


「華蓮さま。準備が整いましたがいかがなされますか?」


「じゃあお願いするわ」


 稽古に使う結界の準備ができたみたいだ


 半日しかたってないのにもうできているとは。さすが天津さんです


 そういえば華蓮って天津さんにはすごく丁寧なんだよな。さん付で呼んでるの天津さんくらいなんじゃないか


 それほど天津さんはすごい人なんだ。華蓮を手なずけるなんてさすが天津さんです


「稽古興味あるし見に行こうかな」


「そうだね。私も見に行こ」


 僕ら四人で家の外に出た


「あれ。ここ・・・」


「あの場所と違うわね」


 家の構造は全く一緒だった。だけど外はあの郊外の山中ではない


 共和国じゃなくて日本にある拠点に来た時と同じだ


 あれ、でも家の中は全部同じだったな。ちょっと古めかしい感じとか、ちょっとした傷とかまんまそのまま持ってきた感じで・・・


「僕たちの部屋みたいな感じで丸ごと移動したのか」


「正解。ここは日本のとある島よ。ここなら政府にも見つからないわ」


 微かに潮の匂いがする。海に近い場所にあるのは確かだな


 家の前には広い庭がある。訓練所の半分くらい、学校の食堂と同じくらいの広さだ


 華蓮が初めてここで異能力を使ったときと同じような結界が張られている


「こんなので私の全力止められるの?」


「はい。外角の障壁のような硬度は有りませんが、止められるくらいには頑丈ですよ」


 華蓮の全力を止められるなんて。さすが天津さんです


「天津はすごいからね。これくらいいくらでもはれるの」


「いくらでもは無理がありますお嬢様」


「そうだよ有栖。天津さんでもできないことはあるんだから」


「ですが、こうして固定しないものならいくらでも出せますね」


 人間じゃない。さすが天津さんです


「さ、やりましょう」


「かしこまりました」


 華蓮と天津さんが結界内入って入口が閉じた


 結界はほとんど透明だ。地面に文様みたいなものが薄く光っている


「では、始めてください」


「全力でいいのよね」


「はい、ご遠慮なく」


 華蓮は超人を吹き飛ばした時と同じような出力でエネルギーを身に纏った


 今朝の訓練所で見た姿だ。僕たちは結界外にいるからか圧が伝わってこない


「すごいね、この結界。中から何も感じない」


「そうでしょ。さ、始まるわよ」


 華蓮も天津さんも突っ立たままだ


 華蓮はむっとしたがそのまま稽古が始まった


 開始直後超人が吹き飛んだ時に放った拳が天津さんに突き立てられていた


 突き立てられていた


 見えないその一撃は天津さんの片手にすっぽりはまっている。天津さんは一ミリも後ずさることなく立っている


 華蓮も驚きの表情だ


「うそでしょ・・・」


「言ったでしょ。天津はすごいって」


 華蓮は元居た場所に戻って構えをとった


「ちょっと手加減したけど、これならほんとに行けそうね」


「はい。では続きを」


 天津さんはまたしても構えをとらない


 さすがに次は耐えられないんじゃないかな


「華蓮もまだまだだね。天津のこと一歩くらい動かさないと」


 華蓮はさっきと同じ要領で、そして全力で天津さんに打ち立てた


 同じく止められる


 そのまますかさず攻撃を続けた


「ローガンさんの時はかろうじて見えてたけど天津さんのことしか見えない」


「そうなの?貴樹もまだまだだね。あれくらい見えるようにならないと次は死んじゃうかもよ」


「有栖は見えてるんだ」


「当たり前でしょ」


 当たり前なんだ・・・目の異能力を持ってる僕でも見えないのに。やっぱり基が違うのかもな


「僕は有栖の事何にも知らないんだなあ」


「うー教えてあげたいんだけどね~。天津がなあ。やめておきなさいってさ」


 天津さんに無理言うけど、言われたことは守るんだ。どこかの誰かさんみたいだ


「無理にはきかないよ。有栖は僕の命を救ってくれたし、それに友達だからね」


「ありがと。でもいつか言うからね。絶対」


 その時を楽しみに待ってよう。・・・それまで絶対に嫌われないようにしよう。友達止めるなんて言われたら生きていける気がしない


 そんなこんな有栖と話していても華蓮と天津さんの稽古は終わっていなかった


「力任せではだめです。しっかり隙を狙らってください」


 天津さんはさっきと違ってひらりひらりと躱す動きに変わっていた


 華蓮の姿はほとんど見えないからただ躍っているようにも見える


 隙だらけに見えるけど、一度もたりとも天津さんの体には当たっていない


「超人すら殴り飛ばした華蓮の攻撃をああも簡単によけられるなんてほんとに何者なんだあの人」


「それもいつか教えてあげる。それまで我慢ね」


 秘密ばかりだけど何故か悪い気分はしない。有栖の人となりがいいせいかな


 何も見えないしずっと同じ動きだ。飽きてきた


「ねえ、有栖。僕の異能力について聞いていいかな」


 この前華蓮の後に聞くのをやめたことを思い出した


 聞いとけばよかったと後悔してたし聞けるときに聞いておこう


「いいよ。最初は何からがいい?」


「そうだなあ。じゃあ制御の仕方からで」


 今まで独学で・・・まあ大体の人はそうなんだけど、訓練していた


 でもそれに限界を感じてたんだ。助言を聞けるのなら聞いておきたい。早く強くなりたいから


「制御の仕方か・・・」


 え、もしかして知らないとか・・・


「貴樹はかなり苦労すると思うな。人の何倍も訓練しなきゃいけないのに体は一つだから」


 何倍も訓練か。そんなにこの異能力扱い難しかったんだ。簡単だと思ってた


「でも同時に使えるってところはできてるからちょっとは楽になってるかな」


「同時に使うことって重要なことなの?」


「うん。だって二つの異能力を一緒に訓練できるんだもん。目がたくさんついてたらもっと簡単だったかもね」


「じゃあ。目が二つあるから同時に二つ使えるってことか。そこのところ無意識だったな」


 同時に使うことは子供のころからできてたからそんなに気にしてなかったけど結構重要だったんだ


「・・・あれ。二つの”異能力”って言った?」


 有栖はキョトンとした顔で僕を見た


「え。知らなかったの!?てっきり知ってるんだと思ってた」


 初耳です

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