拠点襲撃side華蓮
朝、こいつが弁当をレンジで温める音で目が覚めた
アホそうな顔を見ながら温めてくれた弁当を食べて外に出る
最近はずっとこれ
あのときあいつが無茶をしてから生活が全部変わった
ここにきてからあいつは訓練を始めた。強くなりたいらしい
毎朝ランニングして、軍の二人と立ち会って・・・
初めのころは反対した
私が守ればいいと思ったし、それに・・・あいつのごはんが食べられないのはちょっと嫌だったから
でも頑張ることはいいことだし、やらないよりはいい
自衛する力くらいつけてもらわないといざという時は逃がしてあげられないし
体力はまだまだだけど異能力のほうは少しずつ理解できているみたい
夜に二人で訓練する時間が私は好き
私があいつの力になれるならいくらでも付き合ってあげてもいいなって思う
二人一緒の部屋になれたのも嬉しかった
妹って紹介されたときはちょっとイラっとしたけどそんなことどうでもよくなった
嬉しすぎて紙をぶんどったのはちょっとまずかったかな・・・気づかれてないといいけど
前の生活に心残りがないことはない。色んなもの置いて来ちゃったから
あいつにもらったものとか、写真とか
買ったばかりのおそろいのシューズは一度も履かないいまま部屋に置いて来ちゃった
でもいい。一緒にいられればそれで。離れることのほうがずっと怖いから
それに今の生活も意外と悪くない
ローガンと訓練したり、たまにタオちゃんと遊んでユンファと買い物に出かけたり
どちらかと言われれば幸せなんだ
あの時に比べればここは天国のような場所だから
ううん、ちょっと言いすぎた。天国はあの家だ
私は訓練の前に朝の空気を吸いに行く
ここは共和国の領地らしい。日本よりもずっと冷える
深呼吸しながらストレッチ、いつものルーティーン
だけど今日は違った
山の向こうから変な男が聞こえる。バラバラバラって
ちょっとしてから山の上に黒い点が見えてきた
ヘリだ
数機どころじゃない、何十とこっちに向かって飛んでくる
こんなことここに来てから初めて
とにかくインシーに聞きに行かなきゃ
拠点の壁を上って最上階まで駆け上がった
その途中で警報が鳴り始めた。うるさい
上につくとインシーと幹部たちがすでに臨戦態勢だった
下を見たらさっきいなかった軍の人たちがわらわら出てきている
私が気づく前に拠点のレーダーか何かに引っかかっていたみたいだ
ヘリに向かって攻撃を仕掛けても防がれた。あれは見たことがある西方の当主の異能力だ
四方八方から向かってくる
大体は下の方に降りて行った
屋上に四機きて中から人がぞろぞろと降りてきた
顔見知りが何人かいる。中にあの女もいた
インシーからあいつを守れって指示が出された
言われなくてもそうする
それから住人の非難が終わったら上に戻って来いとも
私は下に行った。今の時間なら訓練所にいただろうから向かうなら入口だ
ちょっと待ったらあいつが出てきた
それから少しの間ここで拠点を守ることになった
私は戦いには加わらない
異能力を使う無防備なこいつを守りたいから
攻防は二時間くらい続いてちょっと落ち着いた
議会の一人が落ちたらしい
それからすぐに住人の非難が終わって私はこいつを担いで上に向かった
ほんとはもう休ませてあげたい
人を殺したのは初めてだ、結構つらいと思う
でも弱音は吐かなかった。こういう時は謎に強い
上は何とか持ちこたえてた
押され気味だったけどローガンが必死に耐えてた
インシーも疲れ切ってる
私はまだ何もしてないからエネルギーは有り余ってる
仲間が死ねばこいつは悲しむ。だから私は戦うことにした
人を殺すのは怖い
でもこいつのがんばれって言葉で勇気が出た
なんて単純なんだろうって自分ながら呆れる
異能力を全開にした。久しぶりの全力、拠点こわさないようにしないと
覚悟を決めて全力の一撃をお見舞いしてやった
・・・死んだ、三人が一瞬で跡形もなく消えた
私は怖くなった。こんなに簡単に人を殺せる自分の力もそうだけど
一番は、殺しても何も感じなかったこと・・・
少し戸惑ったけど、すぐ後には次は誰をって思うようになってた
殺しがただの狩りのような、狼が兔を追っているような気分だった
息をするのと同じようなものだと
怖いという気持ちもなくなってた
ただ、私が三人消し飛ばした途端あいつらは引いていった
残念だ
追おうかって迷ったけど、それどころじゃない気配が上のほうに感じた
赤い何かが落ちてきてた
殺せなかった破壊衝動がアレに向いた
壊せば収まるんじゃないかって
そんな時あいつの声が聞こえて一瞬冷静になった
怖いという気持ちが少し戻ってきた
でも止まらない
だけどあの赤いのはインシーが消し去った
ああ、これどうしよう
誰かころせば・・・・
とてつもない気配が近づいてくるのが分かった
もしかしたら私よりも強いかもしれない
ローガンが命令してきた
うるさい
私は落ちてあった瓦礫を思い切り投げてみた
当たらなかった。またあれだ。イライラする
人が落ちてきた。知ってる「超人」だ
こいつなら何とかなるかもしれない
殺してみることにした
あいつが異能力を使おうとして止められてた
邪魔しないで
受けてやるって言ってきたから全力で殴ってみた
止められた。平気なかおしてる
すかさずもう一発。それも止められた
何度打っても止められた
正面からの拳も
脇腹に居れようとした蹴りも
後ろをとって後頭部に打ち込みを入れても
至近距離からの体当たりも
全部受け止められた
疲れなんて見えない。笑ってる
あいつが何かしようとしたからいったん引くことにした
そしたらあいつは打ってこなかった
止まったらあいつは高笑いした
まだ上があるらしい。こっちは全力だったのに
次はあいつから打ってきた
最初のほうは受け止めれてた
でもあいつの一撃はとんでもなく重い
受け流しもしてみた、最初はうまくいった
カウンターも入れてみた、けど届かない
・・・限界が来た。エネルギーがそこを尽きた
「んぐっ・・・!」
左腕と胴に鈍い痛みを感じたとほぼ同時に私は拠点を貫き壁に叩きつけられた
瓦礫が体に落ちてきた。痛い
さっきまでの破壊衝動は消えた
逆に恐怖があふれてきた。体が震える
こういう時異能力が暴走するって聞いてたけど違った
さっきのが暴走だったみたい
もう何の力も出ない。このままもう・・・
「華蓮!!」
あいつの声が聞こえた。悲しそうに恐怖で震えた声で叫んだ
途切れかけてた意識が戻ってきた
なんて単純なんだってつくづく思う
「まだ、平気」
って言ったけどもう体が動かない
左腕はもうだめだし、肋骨も何本かいかれてそう
死ななかったのは異能力がギリギリまで頑張ったからかな
視界も真っ赤だ
首を掴まれてぶら下がった。体を動かすことすらできない
ここで終わりか。死んじゃうんだ私
もっと素直になってればよかった
いうことちゃんと聞いてあげればよかった
失敗しちゃったな
もっと一緒に居られると思ってた
ああ。伝えてれば何か変わったかな
「すき」ってちゃんといえてたら
「華蓮!」
あいつの声が聞こえた
さっきとは違う、力強くてまだ諦めてないってそんな声
理解した
死に物狂いで目を見てやった
成功した
こういう時は頼りになるんだからこいつは
ピンチの時は絶対助けてくれる。そういうところがかっこいい
私は貴樹がすきだ
ああ、痛みが出てきた。さっきと比べものにならないくらい痛い
でも嬉しかったからそんなことどうでもいい
まだ隣で入れるのなら痛みなんて受け入れられる
はあ。よかった・・・
私の前の巨体が動いた
声をかけようとしたときには貴樹の胸が貫けれていた
「いやああああああああああああああああああ!!!!!!」
うまくいったとおもったのに
まだいっしょにいられるって
ずっといっしょだって・・・・
気が緩んでた。倒した気になってた
とどめも刺さずに喜んでしまった
私のせいで私のせいで
「たかきいいい!たかき!!」
私は近づけない、必死になって体を動かしてるのに、のに、にいいいいい
そんな時、天使が舞い降りた
ううん、天使だと思っちゃった
それは有栖だった
現れたと同時にあいつが血しぶきと一緒に飛んで行った
何が起きたのか分からなかった
でも、助かるって。貴樹も助かるってなんでか不思議にそう思った
「ちょっと遅くなっちゃった。ごめんね」
有栖は自分の血を私に振りかけた
痛みはなくなって、傷も消えて
自分の中の力も生き返ったようにあふれ出した
そんなことより
「貴樹は!?」
貴樹のほうを見たら有栖がとんでもない量の血をかけていた
胸に空いていた穴が見る見るうちに塞がっていく
もうなにがおきるのかわからない
「起きなさい貴樹!生きてるんだからぶつぶつ言ってないでおきなさい」
有栖が貴樹に話しかけている。でも動かない
「だから起きなさいってば貴樹!!死んだふりしてないで起きなさい!」
そういって貴樹のお尻をぺチリと叩いた
貴樹はそれで飛び起きた
よかった・・・生きてた・・・
有栖が来てくれてなかったら、死んでしまってた
私が弱いから、守るって決めたのに守れなかったから
貴樹を危ない目に合わせないってそう誓ったのに
「はい!そうです!有栖ちゃんです!」
貴樹は今有栖のことしか見てない
それにどころか何も言わずに血を飲ませて・・・
私の心配はしてくれないんだ・・・
じっと見てたらあからさま目をそらされた
でれでれして・・・すけべ
それからすぐにあいつが近づいてくるのが分かった
さっきは負けた
でも今は勝てる気がする
私の中からあふれる力が感じたことのないほど昂ってる
大事なひとを傷付けてしまった自分への怒り
貴樹を想う気持ちを一時でも忘れてしまった自分への戒め
それに、あいつは絶対に殺す
これは暴走なんかによる衝動なんかじゃない
いたって冷静だ
だって今は真ん中に大切なものがあるんだもの
もう絶対に忘れない
「ねえ。チャールズ・バトラー」
「なんだ?死にかけたからって命乞いか?」
「んなわけないでしょ。馬鹿なの」
「あ?まあいい。人生最後なんだ。話ぐらい聞いてやるよ」
「私ね。あんたが突き刺した男のことが好きなの」
力がこみあげてくる
「何が言いたい」
「さっきまでね、それを忘れていたのよ」
あいつからの殺気がそよ風のように感じる
「でも今は心の真ん中で私の一部になってそこにある」
私の中の闘争心が消えていく
「だから、次は負けないわ」
この感じ、覚えがある
「戯言はそれで終わりか?さっきは俺が先に打った次はお前からでいいぞ」
初めて異能力を制御できた日と同じだ
守ろうと必死だったあの日と同じ
「そう?じゃあそうさせてもらうわ」
ねえ、わかってるでしょ。私の異能力
意思を持っているんならわかるわよね。私のこと
あんたも怒っているんでしょ?
なら全部貸しなさいよ
いいえ、全部私に頂戴
私を満足させてみなさい
「行くわよ」
さっきと同じ正面から全力で殴った
いや違う
ムカついたから胸に穴開けてやろうと思って狙って打ち抜いた
でも、まあ守られた
慣れてなかったし、相手は歴戦の特等級。これくらいじゃ死なないか
異能力も完全制御とはいかなかった
あいつの汗だらだらで焦った顔が見られただけ良しとしよう
はあ。せっかく有栖が体力削ってくれたのにこのざまか
次こそは絶対殺してやる
どれまでに完全制御できるまで訓練するわよ
覚悟しなさい、私の中の馬鹿野郎
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そのあと有栖に連れられて別の拠点に転移した
驚くほど一緒だった
とりあえずインシーのところにいって生存報告するらしい
・・・手でもつないでやろうと思ったけど我慢した。困惑するだろうし
ジンが貴樹に近寄ってきて肩を揺らした
再会できたんだからまあそれくらい許しあげよう
こっちを見てすぐに目をそらした。なんか腹立つ
インシーはソファで横になってた。周りに大勢人がいてみんなが心配そうな顔してる
慕われてるんだ、今度からちゃんとリーダーって呼ぶことにしよう
ローガンは・・・そのままでいいや
リーダーは何でかわからないけど有栖の事を知ってた
私有栖の事何にも知らないんだな
顔を見せにみんなのところに行くことになった
貴樹のところにジンがきた。案内するらしい
でも、何か嫌な予感がした。私はここに居ちゃいけないような感じが
私は先に行くことにした
一緒にはいたかったけど貴樹も見られたくないとこあると思ったから
とりあえずタオちゃんに会いに行くことにした
どこにいるかは匂いでわかる
訓練所にいるみたいだったから向かった
ついて中に入ったらたくさんの人が私を見て目を丸くしてた
まあ死んだと思われたんだから仕方ない
タオはユンファと一緒にいた
血はつながってないけどほんとの姉妹みたい
タオは私を見つけてすごい勢いで飛び込んできた。泣いて喜んでる
心配かけてごめんね
すぐに貴樹たちも来た
着替えを持ってきてくれたけど貴樹の来てた服がとんでもなくダサかった
ユンファと二人で言ったらジンが倒れた。選んだのジンらしい
ユンファにも持ってきてくれたらしいけど、ユンファは受け取りを断った
私でもいやよ。そんなの
私の分は貴樹がもってきてくれた
こっちに来てかった服と同じものを選んだらしい
ちょっと違うけどあれほどダサくないからほっとした
ユンファとジムのシャワーに来た
途中服の話をした。ユンファとは好みが合うからよく出かけてる
「それにしてもよかったわね。着替え持ってきてくれて」
「確かに汗と匂いすごかったから助かったわ」
ユンファがキョトンとした顔をしている。なんだろ
「気づいてなかったのそれ・・・」
私の体をみて指さした
トレーニングウェアの胸元が破けて肌が丸出しになっている
左袖は無論ぼろぼろで右袖もおそらく最後の風圧で消し飛んでいた
幸い下の方は片方が太もも上、もう片方はひざ下で止まってくれて下着丸出しにはなってなかった
油断してた・・・ローガンとの訓練に耐えるくらいには頑丈な素材だったけど今日のはレベルが違ったからぼろぼろになってる
視線がすごかったのはこういうことか
減るもんじゃないしいいや。貴樹に全部見られたことあったしそこまでダメージはない
シャワーを浴びて持ってきてもらった服に着替えた。ご丁寧に下着も新品
サイズもぴったり。洗濯任せきりにしてたからか。じゃないとぶっ飛ばすとこだった
タグも全部取ってあったし、貴樹らしいや
ユンファはとっくに出てた
ジムのウェアに着替えたはいいけどその格好で歩き回るのは嫌だからショップエリアに行くって言ってたな
脱衣所から出たら貴樹がいた
「きれいだったなあ」
なんてつぶやいてた
「なにが?」
多分有栖のことだ。ちょっと嫉妬しちゃった
そのあとも意地悪してしまった。素直になるって決めたのに
全部終わって休んでいいって言われたから有栖の家に行くことになった
そこで有栖から
「あ、そうだ!近衛の家に帰れないだろうから二人の荷物、空いてる部屋に運んであるからね!天津が!」
って言われてすぐに有栖をせかしてしまった
だって大切なものは全部部屋にあるんだから
部屋についたら中はまんま自分の部屋だった。まるで部屋ごと運んできたみたいに
さすが天津さんね
全部あった。大切なものも、思い出も。それにあのシューズも
抱きしめたままベットに寝転がった
とんでもなくうれしかった
もう見れないと。触れられないと思ったものが今胸の中にあるんだから
そのあといろいろ懐かしんでたら有栖が来た
「私はリビングでテレビ大音量で見てるからね」
それだけ言ってリビングのほうに行った。そういえばいろいろ増えてたなあの部屋
たぶん、気を使ってくれたんだ
そう思ったら色んな事がぶり返してきた
貴樹のとこ行こう
部屋に行ったらちゃんといた
膝枕してほしい。無性にそう思った
貴樹は優しいからなんでもいうこと聞いてくれる。私のわがままも全部
甘えたくなった
貴樹に今日の事聞きたかった
話始めたら止まらなくなった。貴樹はずっと黙って聞いてくれた
ずっと黙って頭をなでてくれた
急に涙があふれてきた。この前と同じだ
泣かないと思っててもどうしても泣いてしまう
そうなったら堪えようにももう遅い
多分ひどい顔してる
だけど、今の貴樹の顔が見たかった
軽蔑されてたらどうしよう
嫌われてたらどうしよう
貴樹はすぐ顔に出るから、怖くても見たくなった
泣いてた。多分私よりも泣いてる
でもこれは貴樹が自分を責めている時の顔だ
やってしまったって思った
甘えたくなったから、話した
でも途中から本気になってしまった
貴樹がいつも何考えてるかわかってるのに自分勝手に話してしまった
だから今泣いてるんだ
貴樹は自分で自分を責めている。自分の言葉で私に話しかけながら
「ごめん。何言ってあげればいいのか僕にはわからない」
わかってた。貴樹が強くなろうとしてたのは私を守る為ってことも
私の事をまだ三年前に泣きついてきた無力な子だって思ってることも
理解しようとして、もがいてそれでもわからなく悩んでたことも
全部知ってた
答えなんて求めてない
ただ貴樹がこうして頭をなでながら話を聞いてくれるだけ私はいい
胸を貸してくれるってそれだけで私はいいの
私の事子供だっていうけどあなたも相当よ
はあ、もう仕方ない。素直になるって決めたんだけどな
いつも通り口悪く煽って馬鹿にすれば泣き止んで謝ってそれで落ち着くんでしょ
それからもぐちぐち自虐しながら気がついたらいつも通り戻ってた
「私がいないと何もできないくせに」
私もあんたがいないと何にもできないわよ
だからこれからは一緒に並んで頑張りたい。それが一番だと思う
無理なんて言うからつい手が出ちゃったけど。なんか喜んでるからいいや
泣き疲れちゃったし顔もひどいことなってそう。有栖に頼んでお風呂入らせてもらお
その前に謝っとかないと。素直にね
それとこれは貴樹の口から聞いておきたい
「ああ、そういえばさっきジムで奇麗だって何がきれいだったの?」
「あー・・・戦ってた華蓮の姿がきれいだと思ったんだ」
んん、有栖じゃなかった
私は足早に部屋を出た。恥ずかしくてうれしくて顔に出そうだったから
途中で有栖にあった。もしかして聞いてたり
「そろそろだと思って見に来たけど、ちょうどだったみたいね。お風呂湧いてるよ」
有栖はちょっとにやけてた。ってことは恥ずかしいとこ見られちゃったな
と思ったけど脱衣所の鏡に映った自分の顔を見たらこれかってなった
情けない顔してた。顔はぐちゃぐちゃなのに笑ってる
それを見てまた笑ってしまった
「私の姿がきれいだったって・・・んふふ」
ダメね。湯舟でしっかりこの表情も落とさないと
「戦ってる姿がきれいだって・・・ふふふ」
お風呂から出てもまだだらしない顔だったから貴樹が入ってる間に有栖と話してしっかり落ち着かせた
今日は貴樹のごはんが食べたい気分だったけど、疲れてるだろうから我慢した
わがままも今日から少し抑えてみようかな
三人で話してたら、すっかり夜になっていた
明日拠点で何かあるかもしれないからもう寝ることになった
お手伝いすることありそうだしね
自分の部屋で寝ようと思ったけど甘えたい気分がぜんぜん満たされてなかったから貴樹の部屋で寝ることにした
今日くらい許してくれるでしょ
ベットの中はすごく暖かかった
わがまま言ったら胸の中で寝かせてくれた
言わないって言ったけど明日からでいいや
大好きな人の胸の中はすごく心地が良かった
もっと堪能したかったけどこれは我慢できない。すぐに落ちてしまった
もったいない・・・




