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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
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生者たち2

 僕と華蓮は最初に会いに行く人を誰にするか悩んでいた


 誰から会いに行こうかな・・・でもどこにいるかわからないしなあ


 と言っても大体訓練場にいるはず・・・足も疲れ気味でそう歩き回れなさそうだしその方が助かるんだけど


 華蓮はぴんぴんしている。これが異能力の違いか・・・もしくは基礎体力の違いなんだろうな


 僕もトレーニングはしてたんだけどなあ。やはり実践は一味違うみたいだ。消耗が激しかった。もっと頑張ろう


「おーいちょっとまてー!」


 後ろからジンが追いかけてきた


「俺が案内してやるよ。誰がどこにいるかわかるからよ」


「ありがとう。歩き回るのはちょっときつかったんだ。ちょうどいい」


 任せろといった感じだ


「私は先にいってるわ」


 体力のある華蓮は一人で走って行った。匂いでもわかるんだろう。すごいな


「とりあえず、ヨウさんに会いに行こうかな。どこかわかる?」


 あの部屋にはいなかったしまだよく見てない訓練所か、どこか違う場所か


 一緒に戦っていたジンならわかるだろう


 だけどジンは下を向いて沈黙した。少してつぶやくように言った


「ヨウは・・・死んだよ。油断して腹に穴が開いちまったんだ」


 何も。言葉が出なかった


「それから姿は見てねぇ。それどころじゃなかったからな。ここにいないってことはそういうことだ」


 あいつが吹き飛ばした死体の中にヨウさんがいたんだ


「仲間が死ぬのはよくあることだからな。お前も気落ちすんな」


 争いが起こればおのずと人は死ぬ


 それが敵であれ味方であれ平等に


 革命軍は幾度もそれを乗り越えてきた


 知っていたんだ。僕が加わった日。戦死者を弔う彼らの顔を。簡易的な儀式を


 死者を軽んじるわけではない。革命を完遂するために犠牲は付き物だ。


 だからこそ悲しんではいられない。死んでいった彼らを乗り越え進むのがせめてものたむけだ


 でも、それでも。僕にはまだ


「覚悟は・・・できていると思ってたんだけどな」


 自然と涙がこみあげてくる


 ジンは僕の肩に手を当てた。さっきとは違って優しかった


「俺も最初はそうだったぜ。だが乗り越えて進むのが生き残ったやつの責務だ。俺はそれを受け入れてる」


 誰にでも初めてはある。それはジンにもそしてヨウさんにも


「だが、お前は違うタイプだな。抑え込んだらつぶれるやつだ。だからどっかで全部吐き出しちまえ」


「そうだね。ありがとう」


 付き合いは短いけど、よく気の回るやつだから僕のこともよくわかってくれている


 けどジンの前では見せたくない。どこか人のいないところで。


「年下に励まされるなんて僕もまだまだ未熟だな」


「ここでは俺がせんぱいだからな!」


 そういって僕の背中をたたいた。何かがぬけた気がした


「次だな。お前が他に仲良かったのって・・・お前俺ら以外に友達いたっけ」


 追い打ちされた。ぬけたところに何かが刺さった


「ま、まあとりあえず下に行こうぜ!住人には人気だったからなお前。喜ぶやつもいるさ」


「ソウダネ」


 僕らはそのままエレベーターに乗って地下に戻った


「そういや、先にその服変えたほうがいいな。さすがにみっともねえ」


 胸に穴が開いたスーツのことを忘れてた。慣れってこわいな


「でも全部むこうに置いてきたしなあ。消えちゃったけど」


「ショップエリアにあるやつ適当にもっていきゃいい。非常時だから許されてんだ」


 まさかの衣類もそろっているようだった。これも天津さんの仕業か


「見てびっくりしたぜ。元の拠点と何ら変わりないんだからよ。それに日本だってなここ」


「そうらしいね。よくここまで転移してこられたよね」


「メイさんの転移はすげえからな。一度触媒を置いた場所ならどこへでも行けるんだぜ」


 だから何千キロも移動できたんだ。今回のは有栖か天津さんがどうにかして誘導したのか


 ショップエリアについて衣料品売り場に向かった


「普段来てるやつって自分で選んでんのか?」


「いや、華蓮が選んでくれてる」


 ジンはマジかよって顔をしている


 仕方ないだろセンスないって怒られるんだから


「なら俺が選んでやるよ」


「お願いするよ。初めのやつも選んでくれたもんな」


「いや。あれはユンファだ」


 何か嫌な予感がしてきた


 僕は華蓮の分を用意することにした。選んだわけじゃない


 都合よく華蓮が着ていたのと同じやつがあったからそれを持っていくことにした


 僕はジンが選んだ服を着て訓練所のほうに向かった


 ジンのセンスはそれほど悪くはなかった。僕目線では・・・


 訓練所について華蓮を見つけた。タオとユンファと戯れていた


「おーい、着替え持ってきたぞー」


「ありがと・・・」



「「だっさ」」


 二つのナイフが心に刺さった


 自分で選んだわけじゃないから僕は軽傷だ。ジンは・・・


 その場で死んだように倒れこんでいた


 そりゃそうだよな。僕も最初華蓮に言われたときすごい情けない気持ちになった


 ジンは二人からだもんな。オーバーキルにもほどがある


「ま、まあ。華蓮のはいつも来てたやつ持ってきたから・・・」


 華蓮はそれ見てよかったとほっとしていた


 ユンファさんはジンから受け取りもしなかった。可哀そうに


「ジムのシャワー行ってくる」


 そういってユンファさんと歩いて行った


 ジムに貸し出し用のウェアがあるようなのでユンファさんはそれを着るみたいだ


 ジンはまだそのこにころがっている。タオがペシペシとほっぺを叩いていた


 僕も浴びに行こう。着替えたはいいけど匂いがすごい


 先に来た皆はもう身ぎれいになってたし、戦場の匂いを付けたままだと気が滅入るだろう


 ジンを放っておいて僕もジムに向かった


 ジムの設備もそのままだ。位置も種類も全部


 コーピーしてここに持ってきたような奇妙な感じだ


 男用のシャワールームに入って汗を流した


 僕は直接戦ったわけではないけど自分の血の匂いがこびりついて取れない


 前線にいた人達はこれの比にならないんだろうな


 ある程度流してシャワールームを出た


 華蓮たちはまだ出ていないようだ。髪が長いから時間がかかるんだろう


 近くに椅子があったのでそこに座ることにした


 いろいろあったあと一人になったからか力が抜けたんだ


 「超人」。次元が違ったなあ・・・それを吹き飛ばす有栖、ほんとに計りしれない


 何者なんだろうな。今なら聞けば教えてくれるかな


 あのとき僕は何もできなかった。腰を抜かしてただただ見ていただけだった


 少しは戦えるようになたと思ってたのに。接近戦もやらずに消耗して足が棒だ


 ヨウさんもジンも前線で戦ってた。僕も前に出れれば変わっていたのかな


 華蓮すごかったな。最後はあいつに何もさせなかった


 それに久しぶりに見たあの姿


「きれいだったなあ」


「なにが?」


 感傷に浸っていたらも華蓮が出てきていた


「ユンファさんは?」


「もう出て行ったわよ。あんたこそここで何してんの」


「休憩してたんだよ。さすがに疲れた」


「なさけないわね」


 不甲斐なくてごめんなさい


 顔も見せ終わったしインシーさんにやることがないか聞きに行くことにした


「華蓮はどうする?」


「一緒に行くわ。みんなの顔をみれたし」


「そっか。じゃ行こう」


 ジンはまだ使い物にならなさそうだったから二人で向かうことにした


 向かっている途中またローガンさんに会った。メイさんも一緒だ


「タカキ、カレン。インシ―から今日はもう休んでいいってよ。初陣ご苦労!またな」


 そういって下の階に降りて行った


 思ったより早く時間ができてしまった


「有栖のとこ行こうか」


「そうね。それがいいわ」


 僕らは連絡して天津さんに飛ばしてもらった

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