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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
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生者たち1

 転移した先は見覚えのある部屋の中だった


「えっと。ここって」


 二か月間毎日欠かさず通っていたところに立っている


「訓練所か?ここは・・・」


 ローガンさんは目を丸くしている。もう驚かないのは無理みたいだ


「うん。しっかり飛べたみたいだね。とりあえず合流しよっか」


 さっき有栖が言ってた通りなら、革命軍はみんなここにいるはずだ


 ”第三訓練所”には誰もいなかったので他のとこを探しに行くことにした


 外に出てみると破壊された拠点と驚くほど似ていた


 似ているというか同じだ。ただ全く使われた痕跡がない


 隣にある第二訓練所の扉が開かれてあって、中から大勢の声が聞こえてくる


 覗いてみると大勢の人がいた。拠点の住人たちだ


「向こうに一人もいなかったってことは全員無事なのか?」


 第一訓練所にも同じくだ。どうやらメイさんの転移は成功していたようだ


 インシーさんの姿は見えない。ここでは落ち着かない、どこかで休養してるんだろうか


 エレベーターの音がして中から実行部隊のメンバーが出てきた。その中にジンもいる


 ジンは俺たちの姿に驚きを隠せないまま駆け寄ってきた


 僕の肩を両手でつかみ大きく揺らす


「お前本物か!?おれの幻覚じゃねえだろうな」


「本物だよ・・・痛いからその手どけて」


 すまねえと言いつ一歩後ろに下がった


「議会のバケモンが来たって言ってたからよ、さすがに命はねえと思ってたんだけどな・・・っておいその胸どうした!?」


 さっき貫かれてできたスーツの穴を見て驚いている


「いやあ、チャールズに貫かれてさ。幸い死にはしなかったけど」


 ジンは何言ってんだこいつって顔で僕を見た。誰だってそんな顔になる


「とにかく残った四人とも生きてるから安心して」


 ローガンさんとユンファさんはさっき訓練所の中に入って行ったのでここにはいない


「そうか。それはよかった、リーダーんとこ連れってやるからついてこい」


 よかった。といったジンの顔は少し複雑そうだった


 一緒に降りてきていたメンバーに行ってくると伝えて僕らを連れて地上に上がった


 すれ違ったメンバーたちによく生き残ったと肩をたたかれながら


 エレベーターで二十階まで上がった


 上から見た景色も今までの拠点と寸分たがわず同じだ。恐怖すら感じる


 以前インシーさんと話した部屋に幹部メンバーとインシーさんがいた


「タカキにカレン。生きていたのですね!」


 ソファに寝ていたインシさんは状態を起こして迎えてくれた


 一人で座るれるぐらいには回復しているようだ


「はい、ローガンさんとユンファさんも一緒です」


「そうですか。ようやくいい報告が聞けました。少しは救われた気分がします」


 ほっとしたようで、もう一度ソファで横になった


「すみません。情けないことに起き上がり続けるにはしばし時間がかかりそうです」


 限界を超えて異能力を使い続けたんだ。仕方がない


「それにしてもよく生き残れましたね。超人のチャールズが来たと聞きましたが」


「できる限り吹き飛ばしたわ。多少時間を稼げたはずよ」


 インシーさんは目を丸くした。というか、この部屋にいた全員がだ。


「特等級の異能力者とはわかっていましたが、そこまでお強いなんて想像していませんでした」


 それは僕も同意見だ。華蓮があそこまでやれるとは思ってなかった


「さすがに生きていることはないと、戻っても危険なだけだとメイを止めていたのですが・・・そうですか。迎えをよこすべきでしたね」


「僕たちも誰一人生きて帰れるとは思っていませんでした。奇跡ですよ本当に」


「では奇跡に感謝しましょう。・・・それから、もう止めはしません。行ってきなさい」


 それを聞いて、メイさんは何も言わずに部屋の外へと走って行った。多分そういうことなんだろう


 インシーさんはメイさんをみて何かを思い出したように話かけてきた


「メイの転移がないにも関わらずどうやってここまでたどり着いたのですか?」


「それは私のおかげよ!」


 それまで僕の影に隠れていた有栖がドッキリを仕掛けていたように前に飛び出した


「有栖さん・・・?なぜここに」


「お友達のピンチに駆けつけるのはお友達としての義務だからね。助けにきたのよ」


 周りは誰だといった顔だし襲撃を受けた直後だから警戒して構える人もいる


 有栖は気配を完全に消していたようだ。何でそんなことを・・・いや驚かせようとしてたからか


 ただインシーさんだけは有栖を知っているようだった


「収めなさい。この子は信用できます」


 なぜ有栖が拠点の構造を把握していたのか、これで納得がいった


 ”あの方”が有栖だったってことだ。いや、もしかすると・・・


「本当に助かりました。いやはや友人と言っていただけるとは思いませんでした」


 有栖は首をかしげて容赦なく言い放った


「お友達は貴樹と華蓮ちゃんだよ?あなたじゃない」


 インシーさんはわかりやすく落ち込んだ。仕方ない。僕なら屋上から飛び降りる


「勘違いでしたか・・・しかしタカキ達と顔見知りとは。今日は驚きの連続です」


 大規模の襲撃に始まり、「隕石」による質量攻撃。そして「超人」襲来


 拠点も全壊。メンバーも多く亡くなった


 覚悟はしていたけど初陣がこんな風になるなんて予想できるはずもなかった


 それに一度死にかけた。有栖が来てくれていなければ僕らは今頃天の上だ


「私も驚いたよ。天津の障壁は割られているし、拠点も消えっちゃってるし」


「お恥ずかしい限りです。あれほどまでの支援をいただいているにも関わらずこのようなことになって申し訳ありません」


 やっぱり天津さんも関わってたのか。そうだよな・・・有栖だけじゃ無理だよな


 というかあれの規模の障壁を一人で張ったのか。さすが天津さん


「ま、今回のは壊れないと思うから安心していいよ。大切につかってね」


「はい。おおせのままに。ところでここはどこでしょう。困ったときは転移の場所を指定せずに使うよう指示をいただきましたが」


「ああ、ここは日本の地下よ。よっぽどのことがなければ見つかることもないかな」


 日本!?共和国の最北端から日本までの転移・・・メイさんの転移にも驚きだけどあの転移陣は何なんだ


「仕方がないから使わせてあげるけど、ここは私たちの領域だからね。勝手なことはしないよーに!」


 有栖はインシーさんに釘を刺した


 それから有栖は僕に通信機を渡して時間ができたら呼んでくれと言って天津さんによってどこかに飛んだ


「タカキにカレン報告ご苦労様でした。会いたい相手もいるでしょう。顔を見せて安心させてあげてください」


「ありがとうございます。行ってきます」


 僕は一礼して部屋をでた


 廊下を歩いているとローガンさんとメイさんに会った。インシーさんのところに行くみたいだ


「お、タカキにカレン、んで有栖だったか。何か言われたか?」


「とくには。今から顔見知りに会いに行こうと。ローガンさんも無事なとこ見せてあげてください」


「おう」


 それだけ交わして僕らはエレベーターのほうに向かった

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