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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
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襲撃1

 午前五時


 いつも通り起床する。これは昔も今も変わらない


 昔と言っても二か月前だけど


 これまでと違うのは朝ごはんを作っていた時間にランニングをしていることだ


 体力づくりのために続けている


 三十分ほど走って部屋に戻る


 シャワーを浴びて朝食だ


 朝は前日の訓練終わりに買ったお弁当を温めて食べている


 初めのころは物足りないと華蓮が文句を垂れていたけど今は何もいわない


 生き残るために必要なことだとわかってくれてるんだろう


 華蓮は食べ終わってすぐに鼻歌交じりに部屋を出ていく。ローガンさんが訓練所に入るのは七時過ぎなのにそれまで何してるんだろう


 僕は少し休憩して六時半になったら訓練所近くのジムに向かう。ここもなかなか設備が充実していてなんでもある


 たまに地下街出身者も利用しているようで顔見知りが何人かできた


 七時半までみっちり筋トレをしてそのあと訓練所に向かう。一番乗りだ


 ジンとヨウさんはいつも八時少し前にやってくる。僕は新入りだ、早く着くくらいがちょうどいい


 八時になりそろそろ始めようかとなった時、不安になるアラートが鳴った


 一緒に非常事態のアナウンスが流れる


 ”緊急事態発生、住人の皆様は速やかに訓練所に避難してください”


 それが何度も繰り返される


 月に何度か抜き打ちで避難訓練が行われる


 訓練所は華蓮に耐えられる(全力はさすがに無理)構造になっているのでシェルターとしても使われる


 僕ら実行部隊は対処のために外に出て施設を守る役割だ。訓練所においてたあの時のスーツに着替えて非常時の階段を駆け上がり地上に向かう


 ただ今日のは少し違った。いつものアナウンスに続き


 ”これは訓練ではありません”


 と続きがあった。ジンとヨウさんは疑心暗鬼な顔つきだ


「マジで敵襲か?」


「わからんが、とにかく急ごう。手遅れになったら訓練も何もない」


 ここのカモフラージュは完璧で僕の目でもない限り見つけることは困難だろう


 メイさんの転移以外で出入りはしないから足跡をたどられることもない


 だけどそんな疑いもすぐに晴れた。地上に近づくにつれて揺れが増し轟音が聞こえだした


 住人も皆慌てている。恐怖の表情を浮かべる人も多数いる


 ただ何人かの子供は嬉しそうにはしゃいでいた。ローガンさんが言っていた躍る子供だろう


 眉をひそめながら僕は走る


 外に出るとすでに戦場になっていた


 娯楽施設は壊され瓦礫になり、舗装されていた道路は見るも無残に穴だらけだ


 異能力が飛び交い今なお破壊され続けている


 拠点は強力な障壁で守られているためまだ被害はない。ただ壊れるのも時間の問題だ徐々に薄くなっている


 そこに、ローガンさんやインシ―さんの姿はなかった。上でも戦闘音が聞こえる。屋上も戦場になっているみたいだ


 入口前は革命軍の異能力者に作られた防壁が敵の侵入を拒んでいる


 そこに華蓮の姿も見えた


「俺とジンは前線の加勢に向かう。タカキはできる限り敵の動きを止めてくれ」


「後方支援頼んだぜ」


 二人は背を低くし前線に向かった


僕はとりあえず華蓮のもとに向かいそこから援護することにした


「あんた、平気?」


「大丈夫、状況はわかる?」


「全部で何人いるかわからないけど革命軍よりは多いわ。それに議会の連中がちらほら見える」


 頭を少しだけ出して遠視で見てみると確かに三人ほど議会のメンバーが後方で指示を出している


 姉さんは・・・いないようだ


 よく見てみると、共和国の人間だけじゃない。合衆国と連邦、そして日本の顔をもある


 東方の人間もいる。隆則さんもいる。爺さんも多分どこかで狙撃のタイミングを見計らっていだろう


 かなりの大軍勢だ。二か月間何の動きもないと思ってたけどこれを集めるためだったのか


 外に偵察に行った部隊にも情報をつかませないとは。やはり専門家にはかなわなかったらしい


「とにかく僕も支援に入る。インシ―さんから何か指示はある?」


「上に敵の主力が固まっているらしいわ。住人の非難が完了したらあんたを担いで上にきてくれって」


「わかった。それまでここを守ろう」


 僕は少し頭を出して主にヨウさんとジンの前の敵を静止させることに集中した


 血が・・・飛び交っている


 僕が止めた人をヨウさんが焼き、ジンが切り裂いている


 どれだけ近接の異能力が優れていようと止めてしまえばただの的だ


 人殺しに加担するのは初めてじゃない爺さんの時に経験済みだ


 けどその時は実際に殺していない。未遂に終わった


 ただ今回は違う。一秒単位で人が死んでいる


 でも目を背けることはない


 殺すのは怖い。でも二人を死なせてしまう方がもっと怖い


 だから目を離さない。相手の動きを見逃さない


 僕は相手を殺し続ける


 しかし、相手には隆則さんがいる。そう簡単にはいかない


 人数が少なくなるごとに連れ「守護」の厚さが増していく


 そうなると向こうが優勢だ


 僕の目で止めることはできても瞼を開き続けることはできない。守りの体制に入る他ならない


 幸いこっちに防御系の異能力者が数人いる。これくらいの数になれば防ぎ続けることはできるだろう


 多少キリがついて向こうの攻撃も弱まり始めた


 議会の一人を倒したのだ


 統制は崩れたが、隆則さんの異能力が強まった。追い打ちはできない


 両側とも一時休戦のような形をとった


 ヨウさんとジンが戻ってきた。二人とも多少ケガしていたが命に別状はなさそうだ。救護班に手当てしてもらっている


「タカキのおかげで命拾いしたのが数回あった。恩人だよお前は」


「ヨウさんこそ、無事で何よりです」


「初めてだったんだろう。人を殺すのは」


「大丈夫です。仲間が死ぬのを思うとそんなこと考える暇なんてないですから」


「・・・そうか」


 ヨウさんはまた頼むと言って前線の警戒に戻って行った


 ジンは何も言わなかった。僕の顔をじっと見ていたけど目を合わせるとそっぽ向いてヨウさんの後に続いた


 きっと心配せてくれたんだろう。面倒見がいいやつだ。年下ながら尊敬する


「住人の非難完了しました!」


 息を切らしながら中から出てきた


 時計を見ると九時を少し過ぎていた。約六千人の非難だ、かなり早いほうだと思う


「じゃ。いくわよ」


「わかった」


 上の戦闘音はまだ止んでいない。でも少し数が減っているようで先ほどより揺れが少ない


 ただ、大きな揺れが何度も起きている。ローガンさんが戦っているんだろうか


 全員無事でいて欲しい。そう願いながら僕は華蓮に背負われ屋上へと向かった

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