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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
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訓練2

 汗を流して昼食にする。最近自分で料理することがほとんどなくなった


 作るのは華蓮にせがまれる日くらいだ。週に一度で済んでるのは僕がつかれていることをちゃんとわかってくれているからかな


 ここの食堂とかフードコートでも食べられはするけど、僕の料理が恋しいらしくその日はよく食べる


 たまにジンとローガンさんも同席している。どうやらお気に召したようだ。リクエストされたこともある


 作るのは好きだから嫌じゃないし、華蓮も手伝ってくれるから負担も少ない


 腕はまだまだだけど仕方ない、数をこなせば上達するさ。僕もそうだったし


 お金についても心配ない。実行部隊所属ということで給金はもらっている。と言っても実戦はまだだ


 僕らが加わることになったあの地下街まではシェンさんの予知夢で判明していたらしい


 でもそのほかは不明だそうだ、ゼロからの捜索になっているけど一つも見つかっていない


 この国は広い。予知されていなければそうそう見つからないだろう


 最終目標も聞いてある。世界政府に非能力者の存在を認めさせることらしい


 そのために世界政府に直接攻撃を仕掛けることもじさないとのことだ


 太平洋に浮かぶ人工島「世界の目」


 世界に張られた障壁の中心地


 そこに向かうには海路しかない。空港もなくそこにかかる橋もない


 攻撃を仕掛けるにも、まずは近づかなくちゃいけない。今はそれの準備もしている


 それには”あの方”も力を貸してくれているらしい。何者なんだ本当に


 革命軍と言ってもまだ発足して一年たってない。実行にはもっとたくさんの時間が必要だろう


 とにかく今は少しでも体を作って異能力を制御できるようになるのが課題だ。華蓮に負けてられない。がんばろう


 さて昼の休憩も終わって訓練再開だ。午後はいつもローガンさんが幹部の仕事をしに行くので華蓮は僕の訓練を見ている。


 見ているだけで何もしない。まあアドバイスもらったところでできないからなあ


 みっともない姿を見られるのは恥ずかしかったが、今では慣れてさほど気にならない


 ただ、ジンはまだ華蓮が苦手なようで動きが鈍いし、キレがない。この時は僕も一発入れることができる。虎の威を借るキツネとはまさにこういうことだ


 午後からは主に異能力の訓練にはいる


 ジンは「斬波」という異能力を持っている


 ある程度の硬度なら斬り裂く空気の刃を放つことができる殺傷能力の高いものだ


 ちゃんと制御できないと味方ごと切り裂きかねないので実戦での使用は極力避けているようだ


 見た限り制御できているように見えるけどやはり実践は違うのだろう、もっと精密にと自分に厳しく訓練している


 ヨウさんは「火纏い」だ


 名の通り体に火を纏って戦うことが主な使い方だ。纏った火を飛ばして対象を燃やすこともできるらしい


 耐性もあるようで火の中にいてもなんともなくて逆に強化されるようだ


 対炎系の異能力には強いけど、それ以外には一つ劣るので体術でカバーしている


 どおりで対人格闘が極まっているわけだ


 僕は今華蓮に手伝ってもらって静止と未来視と催眠を訓練している


 素早く動く華蓮を目で捉えて静止させる訓練はちょっと難航している


 早すぎると視界に映らないので未来視と併用するんだけどそれでも負えない。まだ実戦では使えないな


 催眠はされるとわかっている場合かかりにくい。抵抗することができるらしい


 華蓮の腕の動きを操る訓練をしているけど抵抗されれば少ししかコントロールできない


 前に変な顔をさせようとして気づいた華蓮に吹き飛ばされた。二度としない


 これまで使ってこなかったやつだ。弱点を知れてよかった


 爺さんたちを眠らせることができたのは不意を付けたからだろう


 異能力が力を貸してくれたのもあるだろうけど


 それに”乗っ取る”こともできない


 あの時は使い方が分かったけど今はどう使ったのかもわからない


 共有の応用なんだろうな。いつか安定して使えるようになりたい


 二人がひと段落ついたようで今朝言っていた未来視の実験をすることになった


 華蓮にちょっと行ってくると目を合わせて催眠を使ってみるとしっかり眠りに落ちた。油断してると簡単にかかる


 華蓮の頭にタオルをしいて寝かせておくことにした


 まずはなれるところから始めることになった。さすがに立ち合いはできないので座ってじゃんけんだ


「お、おい後出しはずるいぞ」


「ジン、お前が言うな」


 はたから見たら二人の手がずっと出さずに手元で入れ替えている。最初の合図から終わりが見えない


 二人とも何が起こっているか自分でもわかってないみたいだ


 未来視で見える先を調節してみたけど、様子は変わらなかった


 ほんとに貸し与えてるだけで制御は貸された側に託されているようだ


 異能力が意思を持っていて力を貸してくれているのは知っている


 けど異能力は血の中の情報体だ。つながっていない二人に制御させる意思はあるんだろうか


 うーん、どうなんだろう。まあやってるうちにわかるかもしれないな


 二人は元がしっかりしてるからこれがなくても戦える


 使えるようなら使えればいいだろうという考えだ


「何やってんのよ」


 寝てた華蓮が目を覚ましたようで、いつの間にか隣にいた


 音を消すのがうますぎる。これも異能力によるものなのかな


 ジンがびくっとして手が止まって勝負ありだ。ので共有を解除した


「よし、俺の勝ちだ」


「いや、おいずりーぞ!」


 兄弟みたいで見ていて楽しい


「未来視を共有して慣れれるかどうか訓練してたんだよ」


「ふーん・・・私もやるわ。相手しなさい」


 華蓮は未来視を経験してないから気になったみたいだ。少しだけ相手することにした


 ただ、じゃんけんじゃなかった。普通に立ち合いだ


 僕には荷が重いけど、慣れていない華蓮ならなんとかなるかもしれない


 未来視を共有して勝負開始だ。僕も使っておく。制御できるからどこまで見れるか決められるから有利だ


 が、始まった瞬間華蓮の姿が消えていた。というか訓練所の景色がブレて見えた


 一秒立たずに吹き飛ばされただけだった。早すぎて未来視が全く役に立たなかった


 慣れない未来視なんだから・・・とは思ったけど僕が動かなかったら慣れてるもなにもない。動く前に一撃で終わりなんだから


 華蓮は口を開けていた。もうちょっとやれると思っていたんだろう


「だ、だいじょうぶ?」


「ヘイキダヨ・・・」


 数秒立って受けた左腕が痛み始めた。加減してくれたみたいで折れてはいないみたいだ


 ジンとヨウさんのほうを見てみると二人とも青い顔をしていた。次は自分の番かもしれないと思ってるんだろう


 いくら華蓮でもそんな鬼畜じゃ・・・


「こいつじゃ相手にならなかったわ。二人とも同時にかかってきなさい」


 鬼畜だった


 そのあと二人とも秒で吹き飛ばされて泣きながら今日の訓練を終わることにした


 あれは無理だよ。ローガンさんの凄さを三人とも改めて知った日になった


 肩が上がらないことに悲鳴を上げながら、汗を流したあと三人でとある人に会いに行くことにした


 タオちゃんだ


 彼女の異能力は「治癒」


 腕がこのままでは日常生活に支障をきたしそうなので彼女にお願いして直してもらうことにした


 彼女はまだ六歳らしい


 異能力の制御はまだまだ訓練中なので大きなけがは直せないけど打撲ぐらいなら直すことができる


 十八階のたおいいんとひらがなで書かれた看板のおいてある休憩所。それが彼女の仕事場だ


 自分のせいだしな、と仕方なさげに華蓮もついてきた。優しい。ジンはおびえてるけど


 休憩所につくと華蓮を見つけたタオがこっちに走ってきた


「カレンおねえちゃん!どこかけがしたの?」


「私はしてないわ。こいつらを見てあげて」


「わかった!」


 華蓮はタオにかなり懐かれている。訓練がない時間よく遊んであげているらしい。上機嫌だ


 先にやられた僕から見てもらうことになった


 タオに触れられると痛みがすぐに消えた


 いつ見てもすごい異能力だ


 完全に制御できたらどうなるんだろうな。蘇生でもできるんじゃないか・・・いやないか


 この異能力は直してもらった人の体力をケガの度合いに応じて消耗させる


 今日のはそこまでのものだったので疲労も大したものではない


 ジンとヨウさんも直してもらい、治療代と称したお小遣いをあげて診療は終了だ


 これは華蓮が出してくれた。自分が悪いと思っているようだ。そんなことはない。弱い僕らが悪いのだ


 結構色を付けて渡したみたい。もしかして自分があげて好感度を上げようとしたのか?そっちの方がありそうだ


 頭をなでながら笑い合ってる彼女らを見ていたらそんなことどうでもよくなった


 カワイイは正義だ


 二人とはそのまま解散して、僕はとりあえず自室に戻ることにした

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