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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
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しんせいかつ3

 エレベーターから降りて目にしたのは先の見えないほどの廊下だった


 なんの装飾もない


 なんだろうこれ、コンクリートっぽいけどなめらかで弾力があるもので作られているようだ


 第一訓練場と書かれた扉があった、華蓮とローガンさんはここにいるって言ってたな


 重そうな扉だ。慎重に開けろって言ってたけど僕の力じゃ少しずつしかあかない


 すこし開いて中の空気が漏れた瞬間とんでもない轟音が飛んできた


 とんでもない防音と耐震加工されているようで廊下の静けさが嘘のように激しくぶつかる音が聞こえた


 そこは四方数百メートルの大きな空間だった。縦にも長い三フロア分くらいはありそうだ


 その真ん中にローガンさんが立っていた


 入り口近くに数人いてジンとヨウさんもいた。僕には気づかず前を見ている


 華蓮は・・・奥の壁にくっついている。そしてローガンさんにとびかかった


 あの感じ華蓮のやつかなり本気になってるな。大丈夫だろうか


 そんな心配も裏腹、華蓮の猛攻をローガンさんがひらりとかわし、時には受け流している


 壁を蹴って勢いづけた蹴りは交わされ


 そこから切り返して足払いをするもとんでよけられ


 その体制から流れるような打ち上げは受け流された


 と言ってもほとんど見えない、異能力をつかってやっとだ


 今の流れが数秒だ。早すぎる


 華蓮の動きがとんでもないのは前から知っていたけどローガンさんはそれをたやすく対処している


 一つも有効打が入らない


 ローガンさんも守備に徹しているわけではない


 華蓮の隙を見て打撃を加えている。完璧に入っているにも関わらず華蓮は全く止まらない


 エネルギーの膜が体を守っているんだ


 ローガンさんの打撃をカウンターにして打ち込むがそれも交わされた


 そのあと何度か打ち合って華蓮はローガンさんと向かい合うように距離をとった


「もうちょっと上げるわよ」


「おいおい、まだ上があるのか・・・よしこい、俺も使わせてもらおう」


 華蓮はいま出せる限りの力を出すつもりらしい。さすがに人の姿のままだ。いや華蓮のことだこのあととっておきとか言って本気でいくかもしれない


 止めないと


 ローガンさんも異能力を使うようだ。確か「獣化」だったような気がする


 華蓮の下位互換のようなものだけど練度が違う。獅子王と言われるぐらいに彼は強かったはずだ


 さすがの華蓮も相手にはならないかもしれないな


 普通に見ていたら華蓮と目が合った。にやりと笑った気がした・・・まずくない?


 とたんに華蓮の頭に耳が生え腰に尾が生えた


 こうなるとかなりのエネルギーが放出される。慣れてない人間は浴びただけで腰を抜かしてしまう


 ジンのほうを見ると気絶していた。ヨウさんはかろうじて立っている


 ローガンさんは真正面から浴びているが一歩下がったくらいだ


「ちょっとどころじゃねえぞ、おい。まあいい来いっ!」


「上等!」


 床を蹴った華蓮は初速で音を超える。ローガンさんとの距離は二十メートルほどだ常人なら耐えられない


 決着はすぐについた


 ローガンさんが膝をついて息を上げている。よかった生きてる


 華蓮はローガンさんも真後ろの壁に拳を突き立てていた。突き立てて・・・あーあ


 こっちを向いた華蓮はどうしようという顔でこっちを見ていた。知らないぞ僕は


「くそう!通り過ぎただけで腰抜かしちまった」


 どうやら殺す気はなかったみたいだ。当たり前だけど


 ローガンさんは座り込みそのまま華蓮ほうに向いた


「お前を止められるやつなんてここにはい・・ね・・・・え!?」


 華蓮が打ち抜いた壁に気づいてしまった


 数メートルの厚さの壁を貫き隣の訓練場との直通通路となった穴を


 華蓮は異能力をときバツの悪そうにもじもじしている


 ローガンさんは頭を抱えた


「最初に本気でかかってこいとは言ったがよ・・・十五の子供がこんなとは思わんだろう・・・おいタカキ!お前ここまでやれること知ってたか!?」


 もしかして僕にお咎めが?いや僕でもあの速さは止められないよ。見ないものは無理だって


「ま、まあここに来たのもローガンさんに相手していただいていると聞いて、その・・・やりすぎていないかと」


 ローガンさんはそのまま後ろ向きに寝転がった


「やり合う前にお前を連れてこればよかったぜ。これはインシ―にどやされる」


「そうですね。さすがにここまでとは思いませんでした」


 いつの間にかドアのところに立っていた


 そしていつの間にか華蓮が僕の後ろに立っていた。しなしなにしおれてる


「つい楽しくなっちまって煽った結果これだ。すまん」


 インシ―さんため息をついて天を仰いだ


「壁に穴が開いたのは初めてじゃないですし、というか厚みを増したのですがね・・・またあの方にお願いしてみましょう」


「・・・わるかったわ。さすがにやりすぎた」


 口は悪いがちゃんと謝った。さすがに甘やかして育て過ぎたか・・・もうちょっと厳しくしよう


「いえ今回はローガンが煽った結果です。今後加減をしていただけばよいのです」


「わかった」


 インシ―さんは笑顔でうなずいて訓練場をあとにした


 なんと言い訳を・・・とぼやいたのは聞かなかったことにしよう


「華蓮さすがにやりすぎだよ」


 ちゃんと怒ってくれる人がいなかった僕がその役目を担おう


 華蓮はさっきよりしなしなになった


「ごめんなさい」


「これからは有栖と訓練した時のやつ以外で異能力を使うのは禁止だ。わかったね」


「わかった」


 これはさすがに反省しているみたいだ。僕にはいくらでも迷惑かけていいけど周りには勘弁してほしい


「おう、俺も悪かったな。さすがにここまでやるとは思わなかった。箱入りと言って済まなかったな」


 頭を掻きながらローガンさんが近づいてきた


「お前はこのとんでもを今まで手名付けてたのか」


「ええ、まあ。でも言い聞かせばわかってくれますよ」


 ローガンさんはキョトンとした顔をしてそのあと大笑いした


「はっはっは、お前の女じゃなくて飼い犬だったか!」


 そんなこと言ったら・・・と思ったけど今の華蓮にそんな気力はないみたいだ。膝を抱いて落ち込んでる


 今日はずっとこんな感じかもしれない、散策に連れ出してあげよう


「とりあえず今日は解散だな。タカキ、訓練はどうするんだ?」


「インシ―さんからジンとヨウさんからつけてもらえと。ヨウさんお願いしてもいいですか」


 ヨウさんは気絶したジンを引きずっていた


「ん?いいぜ、ジンと一緒に面倒見てやるよ。今日はダメだなとりあえず明日の六時に拠点のエントランスに来いまずは体力づくりだ」


 了承は得られた。あとは僕がどれだけできるかだな。できる気はしない。ジンにからかわれる未来が見える


 今日は解散ということで僕らはひとまず部屋に戻った


 そういえばスーツ外干し忘れてたな・・・というか朝ごはんもまだだ


 華蓮が汗を流し終わったらなにか食べに連れてってあげよう


 ああ、ローガンさんに最終目標について聞くの忘れてた


 明日あったら聞いておこう。ヨウさんも知っているかもしれない


 かくして僕の新しい生活が始まった

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