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閉ざした世界に革命を。  作者: 凛月
第2章 「革命軍」
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しんせいかつ2

 目が覚めるとまだ外は暗い。時計を見ると午前三時だった


 眠れそうにないし騒がなければ外出禁止というわけではないから少し外に出ることにした


 華蓮は僕が夜に出ていくとついてきていると言っていたから念のため起きているか確認してみる


 頬を指でつついても起きる気配がない。よほど疲れているんだろう。そのままにしておくことにした


 廊下は少し寒かった。ジンが厚手の服を持ってきてくれていなかったら部屋にとんぼ返りだったな


 いくらか歩いてみたけどシンと静まりかえっていた。割り当ても終わったみたいだ


 フロアはとんでもなく広くて途中迷いそうになった、ほかに続く階段も見当たらなかったので部屋に戻ることにした


 さっき使ったエレベータは使えなくなっていた。あれは非常用なんだろう、一人で乗るには広すぎる。どこかに常用のものがあるかもしれないけど冷えてきたから帰ることにした


 部屋に帰ると華蓮がベットに座って眠気眼をこすっていた、僕を見てあくびをするとまた寝息を立て始めた


 これからどんな生活が待っているんだろう。僕もおそらく解放に参加するんだろうけど、できれば知り合いとは戦いたくないなあ。革命軍は無用な殺しはしないらしいし、あったら眠らせて無力化することにしよう


 あの時使った異能力は今では使えなくなっている。一回キリで力を貸してくれたんだろう


 異能力が意思を持っているっていうのを体感できた一瞬だった


 感謝しするよ、これからもよろしくね相棒


 また眠れそうだったので少し眠ることにした


 そして僕は夢を見た


 少女が泣いている。誰かはわからない、僕も泣いてるような気がする


 そこは森で、すぐそばには草木の生えない砂の大地が広がっている


 声をかけようにも声が出ない。その場から動くこともできない


 僕は何もできなかった


 そして少女は僕に気づいて


 「私は消えたくないよ」


 とつぶやいた気がした


 そこでどすっという鈍い音が聞こえて飛び起きた


 華蓮が馬乗りになって僕の顔面のすぐ横に拳を振りぬいていた


「朝よ、あいつが来てる。さっさと起きなさい」


 それだけ言って部屋から出て行った


 時間は七時前結構なてしまっていたようだ


 誰か来てるって言ってたな


 とりあえず玄関のほうをのぞいてみる


 インシ―さんが立っていた


 僕は急いで着替えて部屋を出た


「おはようございますインシ―さん」


「はい、おはようございます、タカキ。諸々話したいことがあります。聞きたいこともあるでしょう、ついてきていただけますか?」


「わかりました」


「ではこちらへ」


 僕はインシ―さんについてくことになった。そこで常用のエレベーターと階段の位置を教えてもらった


 しかし、本当に広い。目的地に行くまでに相当疲れる。ところどころに休憩所みたいなところがあるみたいだ。一人の時は使わせてもらうことにしよう


 連れて来られたのは最上階にある会議室だった。このフロアは主に革命軍の幹部が使っているらしい


 この階は半分が外になっていてヘリの発着場みたいなのが見える。ヘリもあるのかこの組織


「どうぞおかけになってください」


「失礼します」


 椅子は有栖に家には劣るけどいいものだった


「さて、何から話しましょうか。そうだ、コーヒーをお入れしましょう。飲めないということは?」


「いえ、いただきます」


 革命軍っていうのはもっとこう、切羽詰まっているようなイメージだったけどそうでもないらしい


 僕の前にカップがおかれたいいにおいがする


「なぜこのような場所にこのような巨大な設備が、と思っているでしょう」


「はい、かなりお金がかけられているようですしイメージとはかけ離れていますね」


「ははは、そうですね。でも最初はこうではなかったのですよ。もっと小さな廃ビルが拠点でした」


 インシ―さんは懐かしみながら外を見た


「革命軍を発起してからまだ二月ですか・・・はじめはこんな風にはなると思ってもみなかったんですがね

支援者に恵まれたんですよ。なかなか気前のいい方で、この土地も、インフラもそれに何千の人々を匿えるだけの物資を支援していただいています」


 ここまでの規模だ・・・生半可な人間ができるようなことじゃない。今の世でこれだけの資産を持っているとなるとかなり名の売れている人物か、または組織なんだろうけど・・・想像がつかないな


 それに有名であればあるほどリスクが高まる。なぜばれていないのか不思議だ


「あの方も何やらお告げのようなものを聞いていたらしく何年も前から計画していたそうです。名前は明かせませんが、信用に足る人物です。おかげでこれだけの人々を解放することができています。感謝してもしきれません」


「これほどおおきな施設だと、地図に載ってしまうと思うのですがそれはどうやって」


「ここを外から見るとただの山にしか見えなくなっているんです。どうしてそんなことができるのか聞いてみましたが、さすがに答えてはいただけませんでした。私もよくしていただいているので深く追求することはしませんでした。ただ優れた技術力をお持ちしているということだけはわかっています」


 ここが山・・・それが本当だとしたら絶対に敵には回したくないな、そのお方は

 しかし正体を明かさずとも革命軍が信用しているとなると幹部あたりの誰かと関係の深い人なのかな


「さて、これからの話をしましょう。現在移住してきた皆はここの外と同じように生活しています。まあ地下街の生活とさして変わりませんが、ここではそれ以上に羽を伸ばして暮らせると言ってもらえています。まだ日も浅いですし人数も増えてこれからどうなるかはわかりませんがとにかく彼らが自由に暮らしていけるように精を尽くすつもりです」


 インシ―さんはカップを置き、僕の目を見た


「あなたにもその手伝いをしていただきたいのです。その眼は必ず彼らのためになる。そして私たちの最終目標にも欠かせないものとなってくるかと思います。あなたの意志を尊重するといった手前恥ずかしい限りですがね」


 あははと笑いながら彼は話す


 僕はまだ異能力を完全に使いこなせてはいない。有栖に僕の異能力についてちゃんと聞いておけばよかった


 彼はそれでも役に立ててほしいとお願いしてきた


 正直本家からの指示と同じようなものだと思ってします。何かのためにこの異能力を使えと


 でも自分の意志でここに来た以上何もしないわけにはいかない


 それに華蓮の異能力は僕以上に革命軍の力になるだろう。そうすればおのずと戦地に向かうことになる


 ならば僕もついていけなければいけない。ついていきたい


「僕の異能力が必要とされるのなら、使わないわけにはいきません。それに妹に一人で戦わせる兄はいませんよ」


 彼はほっとしたようにうなずいた。いい意味で裏表のない人だ


「ではまず体作りからですね。ここまで来るだけで疲れていたようですから」


「お恥ずかしい限りで・・・」


 家から学校まで走るだけで息切れしていたからな、戦場では役立たずになってしまう


 自分で逃げ隠れできるくらいには体力をつけなければ


「ではジンと共にヨウに見てもらうことにしましょう。彼に体の使い方を教えておらうといいでしょう。体力づくりも忘れないようにね」


 ジンと昨日見た赤髪のお兄さんか確かに二人とも武闘派の気配がする


 ローガンさんほどではないけど、あの人にはついていける気がしない


 そういえば華蓮どこ行ったんだろう


「それから、ここの外にはいかないようにして下さい。顔のばれていないメンバーには外で情報収集してもらってはいますが、タカキは昨日の今日で手配書が出ていましたから」


 いくら何でも早すぎやしないか。本家というか日本からの圧を感じる。作戦以外は出ないでおこう


「ああ、通貨を渡しておきましょう。ここでは外のものは使いません、専用のものを扱っています。とりあえずひと月生活できる分渡しておきましょう。妹さんの分も一緒に持って行ってもらえますか?」


「ありがとうございます。渡しておきます」


「それから腕章も、これは実行部隊の証です。つけていれば何かと融通を聞かせてもらえるかもしれません。彼らにとっては英雄ですから」


 それはありがたいけど何か罪悪感を感じそうだから必要な時につけるとしよう。華蓮にはすでに渡してくれたようだ。お金を渡さなかったのは・・・なんでだろうな


「妹さんは今頃ローガンと訓練しているのではないでしょうか。地下二階に訓練場があります、案内いたしましょうか?」


「いえ、散策がてら一人で行ってみます」


「そうですか。ならばお気をつけなさい。訓練場の扉は慎重に開けるといいでしょう」


「わかりました。それでは失礼します」


 僕は会議室をあとにしてエレベーターに向かう


 あ、最終目標について聞くの忘れてた・・・今から戻ってもう一度話を聞くのもあれだしなあ


 ローガンさんなら知っているだろうし後で聞いてみよう


 教えてくれないなんてことないよね?


 僕少し不安になりながら訓練場に行くためエレベーターに乗った

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