出逢い.2
どれくらいの時間が過ぎただろうか?
俺が目を離せないでいると、ゆっくりと振り向いた彼女と目が合った。
再びドクンと鼓動が跳ね、緊張が最高潮に達しようとした所で彼女から話しかけられた。
「やっと起きたんですね」
クスッと笑いながら話す姿は夢の中の彼女と比べると、綺麗と言うよりも可愛い印象を受ける。
「あの…」
若干困惑しつつ声をかけると、
「あ、すみません。気持ち良さそうに寝てらしたんですけど、もう夜ですし、このまま寝てたら風邪を引きそうだなと思って声をかけようとしたんですけど、やっぱり気持ち良さそうに寝てるのを起こせなくて…」
「けど、このまま帰るのも悪い気がしたので、起きるまでなんとなく側に居ました」
パタパタと身振り手振りを交えながら一気に話す彼女。
話し始めた事で、それまでどこか浮世離れしていた感覚が急速に現実味を帯びてくる。
「そうだったんだ、それは…ありがとう?」
「いえいえ、そんな。何もしてませんし、私が勝手に側に居ただけなので…」
そこで、会話が止まってしまい必死に話題を探していると、まだ自己紹介もしていない事に気づいた。
「あの、俺は源由真。君は?」
「源さんですね、私は立花梨華です。梨華で良いですよ」
ニコリと微笑みながら言われ、胸がドキッとしてしまう。
赤面しつつ、呼び捨てにする勇気もない俺は、
「あ、えっとじゃあ梨華ちゃんで。俺も由真でいいよ」
「了解です。よろしくお願いしますね、由真さん。」
手を差し出され、俺はどぎまぎしつつも握手をかわす。