出会い
ボーイズラブ要素が含まれていますので、苦手な方は引き返してください。
冷たい風・・・
肌に触れる雪の感触。
耳を通して聞こえてくるチャイムの音・・・
「おい、雪乃?なにボーッとしてんだよ。さっさと帰ろーぜ」
俺は“雪乃拓麻”。そんでコイツがガキん頃から遊んでた幼馴染“寺田悠介”。
「あ・・ごめんごめん!ちょっと俺、図書館寄ってくから先帰ってて」
「んー?またかよ。テスト終わったんだし今日ぐらい俺に付き合ってくれてもいいだろ~?」
「ダメだよ。母さんに怒られちゃうし。悠も遊んでばっかだとそろそろ留年するんじゃない?」
「余計なお世話だ!・・・じゃーな!!」
今は高校二年の冬。勉強をサボれる時期じゃない。悠と『一緒に大学いこーな』なんて約束したけど果たせそうにない。同じ高校に入っただけでも奇跡なんじゃないだろうか、と思ったぐらいだ。この高校に二人入学できたのは偶然だと今では思う。この“南ヶ丘高校”は決してレベルが高いわけではなかった。俺は近いから此処に入学したわけで、もっとレベルの高いとこに入れる学力はあったらしい。
今から南ヶ丘高校の東に位置する東宮図書館というところへ行く予定なのだが・・。
雪が積もっているせいで思うように足が進まない。まだ雪は降り続いている。
(はぁ・・傘持ってくりゃよかったなぁ。・・・!?)
ふと横に目をやると、見知らぬ男子高校生が傘を掲げていた。
「風邪引いたらどうすんだ。今日は朝から雪降るっていってなかったか?」
「すみません・・・帰る頃には止むかなって・・・」
そう答えると男子高校生はムッとして、
「馬鹿か、お前は!天気予報で午後から急な雪が降るっつてたぞ」
俺は目を見開き、
「あっ・・そうなんですか!?今日、寝坊してしまってテレビ見てないんですよ」
「はぁ・・・お前天然過ぎ!余裕持って起きろよな?」
「はい・・以後気を付けます」
初対面で叱られてしまった。
その男子高校生をよく見ると、南ヶ丘高校の制服らしきものを着ていた。
彼も今から図書館に行くそうなので二人で目的地まで行くことにした。
やがて、そこに着くと彼はほっとした表情で俺にさっさと中に入るよう指示をする。
「そこ座りな」
周りに視線を配ると雨宿りならぬ雪宿りをしている学生がそこそこいた。
「あの・・ありがとうございました」
「いや・・・生徒の体調管理も俺の仕事だから」
もうかばんの中から取り出した本を読み始めている。
俺は聞きにくいことを聞いてみた。
「・・・南ヶ丘高校の生徒さんなんですか?」
活字に向けられていた視線を俺へと変えた。
「何、君。俺のこと見たこと無い?生徒会の会長なんだけど」
彼は笑みを浮かべた。
「えっ?えーと・・・」
「ハハ・・俺、会長の里見永樹!知らない?」
彼は口に拳をあて、苦笑した。
「君より一つ年上じゃないかなぁ」
「里見さん・・・」
彼は目を丸くした。
「永樹でいいよっ」
その瞬間胸が弾んだ。
これは初めて話す相手に緊張しているだけだろう。
先輩の優しい笑顔に驚いただけだ。
そう・・・それだけ。
初めて書きました!