追憶 〜また田舎で俺はあの日を探す〜
その日の昼間は、ひどい雨だった――――
東京から電車を乗り継いで三時間半。ど田舎。今時こんな山奥に人なんているのかってくらい、廃れた街。
そんなところに、ふと里帰りしたくなった。
会社を定時に出てすぐに電車に乗った。なのに現在時刻二十一時過ぎ。
「……あぁ……」
大丈夫。明日は休み。自分にそう言い聞かせて、駅の脇のベンチに座る。
「やべ。濡れてるのかよ。」
それはそうか。今日もついてない。もう濡れてもいいと思って、背もたれに寄りかかる。
その日はやけに……いや、田舎の空は綺麗なんだな。
この星々を、どこかで君も見ているのかな……それとも、この街から見ているのかな。
まだ少し昨日の酔いが残っているんだろう。そういうことにしておこう。
「…………」
君の名前を口にしたくなって、止める。こんなダサいことしたくないからな。
気づけばメッセージを打っている。返信が来ないのは、知っている。
「……俺は…………いや僕は……」
変わらない景色。そんなの都会にはない。田舎も同じかもしれない。あるとすれば、この空くらいか。
まだ何も起きてない。何も知らない。今考えればくだらない。でも、俺はそれに感情全て賭けていた。
「……好きだったな……」
“愛してる”じゃない。“愛してほしい”ですらない。そんな幼い感情。でも、今もそれに惑わされている。
性悪だったのかも……。
そんなこと考えるたび、自分が小さいことを知る。外見が大人になっても、俺の中身は変わらない。
一生。ガキのまま。 あの時から輝く星は、俺をどう思うのかな。
手を伸ばして、届かない。
「かぐや姫って、性悪だな……」
だってずっと待ってて、いつか迎えに来いなんて、無理じゃん。
そんな少年漫画主人公を求めてる。女の子ってそうなのかな…………俺は、白馬の王子様でもなんでもない。
「……アホくせぇ。」
今日はどっか寂れた旅館にでも泊まるとしよう。
* * *
朝、起きてテレビをつける。朝食を終えて、ネクタイを締めている時。
“また”このニュースか。
「今朝、二十代の女性の遺体が見つかりました。」
今度は誰と消えたのかな? “君は”




