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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕と食餌と寝台、食卓

君の寝かされたベッドの前に食卓が在って

僕はそこで、食器に載せられた骨付きの肉を視て居る


真っ白な皿の上

紅いソースの中心に、皮がほぐれるまでよく煮込まれた少年の手が在る


フォークとナイフを手にして、いま直ぐにでも食べてしまいたいけど

それより先に君の顔を視る



君は涙を流しながら、怒りの視線で僕を視て居る


良い表情

僕は、しあわせだなあと思いながらナイフを皿の上の皮膚へと当てる


ぎざぎざの刃が受け容れられたみたいに吸い込まれて、肉が左右に開かれていく



フォークで刺して、自分の眼前へと運ぶ


塩をベースに味を作ったのか、ここまで柔らかくなってもなお良い色をしている

匂いを吸い込むと、少年の手が持つ特有の優しい香りの後に食欲を掻き立てる風味が続く


口に入れる間でもなく解る

美味だ



香りを分析する為に降ろしていた瞼を上げると、劇場の幕が上がるように悔しさに涙を流す君が視え始めた


料理には、それを楽しむ為の最大限の演出が必要だ

改めて振り返っても、君のベッドを食卓の前に移動させた事はまさに『最大限の演出』に思えた


君と眼を合わせながら、フォークに刺した肉を嘗める

無意識に君の眼が視開かれていき、それから表情が視る間に、諦めの様な泣き顔に変わっていった


君が顔を背ける

僕はそれに気を払わず肉を頬張ると、少しだけ咀嚼した


想像した通り塩で味の中心が作られているが、香草が味に深みを加えて居る

あとはスパイスと───いま口に広がったのは、血か

最初から肉の中に備わっていたものを使って味を作るのは、合理的だ



「美味しいね」


聞こえるように君に囁くと、さめざめとした嗚咽が返ってくる


やっぱり食事は楽しくないと

様々な君への報告を交えながら、素敵な時間は二時間ほど続いた


最後に僕がナプキンで口を拭きながら「ありがとう、美味しかったよ」と微笑みかけると、君はついに大きな声で赤子の様に泣き始めた


君が暴れた事で掛けられていたシーツが床に落ちる

露わになった手も脚も無い君の躰を抱き上げると、僕は君の頭を優しく撫でた





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