エピローグ
とある所に真田風馬という少年がいました。身長は高くもなく低くもなく。顔も良くもなく悪くもなく。特に特徴という特徴はないが、少年は不幸につきまとわれていた。
彼は高校受験するはずだった。しかし、試験当日…
「それじゃ、行ってきます!」
と玄関を出た瞬間…ブチッ!!
靴紐が切れた。
急いで靴紐を替え、予期せぬ不吉な出来事に動揺しながらも家を出た。しばらくすると目の前にお爺さんがうずくまっていた。ここで受験日当日の大抵の人は、これからの人生と老人とでは前者をとり見捨ていくだろうが少年は人一倍のお人好しだった。「お爺さんどうしたんだ?」なんでも膝が痛いらしく歩道橋の階段が登れないらしい。そこで少年は老人を背負って歩道橋を渡り近くのバス停までとどけてあげた。
「すまんなぁ。…ほほぉ、お前さんは。このかりはきっちりかえすからのぉ。」
「気にすんなって。」
お爺さんに手を振り、それから受験会場まで全力疾走。そしてギリギリで間に合い試験を受けることができた。ところが少年の不幸は終わらない。
試験会場で廊下を歩いていると、なにやら建物の陰で不良数人に囲まれた男子生徒を見つけた。どうやらカツアゲらしい。そんな状況を見た人一倍お人好しな少年は当然
「おいっ。何してんだよ。」
と不良達に声をかけた。
「あぁ?なんだてめえ?」彼らの目は少年にむけられた。その時、囲まれていた少年がうわーっと叫び逃げ出してしまった。
「ッチ。てめえのせいでカモが逃げちまったじゃねーかよ。どうしてくれんのかなぁ。あぁ?このお人好しさんよ?」
そう言いながら彼らは胸ぐらを掴んできた。
ここでカツアゲにあっていた少年と同様逃げればよいのだが、人一倍お人好しな少年はまた正義感も気も、何よりケンカも強かった。少年は胸ぐらを掴んでいた不良の胸ぐらを掴み、上にグイッと持ち上げた。
「ホントこのクズ野郎どもどうしてやろうか。」
その思いもよらぬ行動に動揺し、後退りする不良達に少年は持ち上げていた不良を振り回して彼らを一掃した。
だがその後、その現場を試験官の先生が見ていたらしく"失格"の2文字を少年は伝えられた。
少年は同じような受験が2回も続いていた。
「ヤバイ。ヤバイヤバイヤバイ!!!もう受験できる学校が無い。なんで俺はこんなに不幸なんだ。まさかの浪人だなんて。くそっ、就職するしかないのか。でもこの歳で就ける仕事って。新聞配達か!しまった!!俺方向オンチだ。こうなったらジャニ○ズジュニ○にはい…待て。よく考えろ。くそっ、混乱してきた。」
そんななかば崩壊していた不幸な少年だったが、神の微笑みか、少年の家のポストに一通の封筒が届けられていた。それはなんと如月学園という見覚えのない高校からの合格通知書だった。
ジャニ○ズジュニ○に履歴書を送る寸前だった少年にとってそれは神からの救いであった。
「うぉーー!!ありがとう神様。不幸続きのこれまでの15年間やっと幸福が俺のもとへ!」と涙を流し、雄叫びをあげ狂喜乱舞する少年。だがまだ彼は知らない。その如月学園がただの学園ではないということを。