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マナテリア  作者: アヤベ
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物語は唐突に ②

村に着くと僕たちがまだ帰らないと大騒ぎになっていた。僕たちは傷だらけで村の人たちに見つかり色々と聞かれていた、その時の記憶が曖昧でその時、何を聞かれたのかも覚えていないただ、村についた安心感から僕は気を失っていた。

それからどれほど眠っていたのかはわからないが目が覚めた、身体中重く頭がまだクラクラしていた、周りを見渡しここがどこかみんなは無事かということを考えていると、部屋の扉が開いた。


「あっ!エアルやったと起きたのか心配したんだぞ!この寝坊助が!」


「エル坊やっと起きた〜起きないから死んじゃったんじゃないかと思ってたよ!良かった〜!」


扉を開けて、立っていたのはアクトとニーナだった、アクトは相変わらず外傷は目立たなかったがニーナは両手と右足に包帯を巻いていた、右手が折れていたのか固定してある。

それでも2人とも元気そうで良かった。


「やぁ、おはようみんな無事そうで良かったよ、お腹すいたんだけどなんか無いかな?」


「エル坊酷いよ〜、私のどこを見て無事そうだと思うの?今も痛くて泣いちゃいそうだよ〜」


「エアルこそ2日も寝てた割には元気そうだな」


僕はあの時から2日も寝てたのか、よほど体に負担がかかってたんだろうな、お父さんやお母さんにも心配してるだろうな。

そんな事かんがえてると2人の後ろに誰か立ってるのが見えた。

嫌な予感がする


「エアル・ブランド」


この声はやっぱり、体が凍りそうなほど冷たい声に震えが止まらなくなる、終わったかも


「せ、先生、おはようございます元気でした?」


「お前と言うやつは、どうしてこうなんだ、はぁ、もういいお前が元気そうで良かったよ2日も寝ていたんだ、ほらこれでも食え」


呆れたようにそれでも優しくそう言いながら先生は果物を僕に渡してくれた。

え、怖い、てっきり怒られるものかと思っていたのにこうも優しくされると逆に怖くなって来る。


「で、何があったのか聞かせてもらおうか、このバカ2人に聞いてもよくわからないんでアシリアかエアルが目覚めるのを待っていたんだよ」


表情が一変して真面目な顔をしていた、確かにこの2人に聞いてもよくわからないと思うけどちょっと酷いと思う。

てか、その言い方的にアシリアはまだ起きて無いのかな?無事だといいんだけど


「アシリアはまだ起きてないんですか?結構重症だったりして?」


不安そうに顔を覗かせ聞く


「いや、アシリアは目覚めているがその時の記憶がほとんどないらしいんだ、みんなで木の中に入り、気付いたら病室にいたらしい」


その言葉に胸を撫で下ろす、無事で良かった。

アシリアの安否も知れたところで取り敢えず事の経緯を先生に伝える、木の根っこの隙間のこと、広い空間があったこと、そして、綺麗な連結魔法陣があったこと、最初は真剣な顔で聞いていたが連結魔法陣の話をした途端先生は少し取り乱した


「連結魔法陣だと?しかも綺麗な状態であったのか?どう言うことだ、連結魔法陣なんて今時使うものもいないだろうしそれが綺麗な状態でしかもアシリアが触った途端に光ったと言うことか?ありえない本当にアシリアが連結魔法陣と言っていてその目で見たんだな?」


先生がここまで取り乱してるのは初めて見た、それほどまでに珍しいものなのか、まぁ確かに連結魔法陣なんてあの場所で初めて見たし、名前も聞いたことすら無かったけどここまで先生が取り乱してるんだし、すごく貴重なものなのかも知れないな。


「はい、魔法陣が3つ横に並んでいました、3分の1くらいが重なり合っていました。」


「はいは〜い、私も見たよ!何なら私が見つけたもん」


先生はそれを聞くと少し考え込み、アクトに場所を聞くと急いで部屋を出て行った、魔法陣を確認しに行ったのかな?


「まぁ、魔法陣の方は先生に任せて僕たちは皆んなでアシリアの様子を見に行こうか」


「そうだな」「さんせ〜い」

2人が同時に言う、アクトに肩を貸してもらい3人でアシリアの部屋についた、アシリアに軽く挨拶をして皆無事で良かったと心から思いアシリアの部屋で皆んなで1時間弱話し、僕とアシリアに気を使ってか解散になり、みんなに挨拶をして僕も自分の部屋に戻りベットで横になりあの日あったことを整理しようと考えていた、横になりさほど時間が経たずしてまた部屋の扉が開いたそこには僕の両親が立っていた僕が目覚めたことを聞きお見舞いに来てくれたのだろう、僕が手を挙げ挨拶すると安心からか母は涙を流していた。それを見て両親に心配かけていたことを自覚し申し訳なくなった。


「エアル、本当に目覚めてよかったわ本当に良かった」


「だから言ったろ母さん、エアルは俺の子だから大丈夫だって、お前も母さんに心配ばかりかけるんじゃないぞでも無事で本当に良かった」

 

母は泣きながら僕を抱きしめ父は僕に叱りはするが無事を確認して安心からか表情が緩んでいた、僕もそんな2人を見ていると目が潤んで来る、2人にも何があったのかことの経緯を説明してもう2度とその場所には近づかないと約束して誤り許してもらった。本当に2人には心配をかけてしまった事を後悔している。 

母さんはエアルが心配だから今日はここにいると言っていたが寝るところもないし風邪でも引かれたら困るので父さんに連れて帰ってもらうことにした最後の最後までエアルといる!と子供みたいに駄々を捏ねていたのが母さんらしくて安心した、色々あって疲れたので今日はもう休むことにした、横になって目を瞑るとまだ疲労が残っていたのかすぐに眠りに入った。



先生side

少し前のこと

エアルの話を聞いて嫌な事が頭をよぎった、昔の仲間のことだ昔私は大陸中部にある王都「アルンテイル」でも名の通ったパーティーの一員として冒険者をやっていた時の仲間の事だその時、私は冒険者になりたてのまだルーキーではあったのだが何度かパーティーでダンジョンに潜り少し慣れてきたので大陸北部にある「パンデモルナ大渓谷」というダンジョン攻略をしていたのだが、その最深部にエアルの言っていた連結魔法陣と似たようなものがあった、このダンジョンは他のパーティーがかなりのエリアを探索済みだったのだが、そんな魔法陣があることは聞いたことがなかったので好奇心で私が魔法陣に触ふてしまったのだ、すると魔法陣から凄まじい光と共に私たちは吹き飛ばされた皆受け身をとり無事ではあったのだが魔法陣から一体の異形の形をした怪物が出てきたのだ。


「おぉ、久しぶりの人族界だ!う〜んやっぱりここは空気が実に美味しいなぁ、最高だ!」


魔法陣から出てきた怪物は体がトロールやオーガよりも体が大きく屈強で目は一つで頭には大きなツノが2本付いており手には2m程の巨大な槌を片手で持っており所々に紫や緑の血のようなものが付いており両手を広げ声高高に幸福感に満ちた声で叫んでいる、私達皆こいつを外に出してはいけないと直感で感じ武器を構えるが無事に帰れる気がしなかった。そんな私達に気づいたのか怪物がこちらを見て言う


「おっ、人族よお前たちが我をここに呼び出してくれたのか?礼を言う、が、この我と戦う気か?やめておいた方がいいぞ?」


怪物の威圧感に圧倒される中私たちのパーティーのリーダーであるクイルが剣を顔の横に構え怪物の方に向けて警戒をしながら話し始める


「貴様は何者だ!この威圧感と魔力といい普通の魔物ではないようだが、どうやって現れた?」


魔物は少し不機嫌そうな顔になり

クイルの方を見て鼻で笑う


「ふっ、この我に向かって貴様だと?物を知らない餓鬼はこれだから嫌いなんだ、まぁいい名乗ってやろう我は魔界四帝がひとりヘルバトラー様だ魔界では知らぬものはいないのだがよく覚えておけ」


「魔界四帝!?」


皆が驚きを隠せず声に出る、それもそうだ魔界四帝といえば大昔、人魔戦争にてマナテリアの地を6割ほど侵略した時に人族最大の敵として最も恐怖されていた者たちだからだ、その力は強大で姿を見て生きて帰れたものは数少なく勇者一行が来なければ魔界四帝でマナテリアを侵略できたと言われるまでの力を持つものたちなのだ、でもその者たちは勇者一行によって滅ぼされたと聞いているが何故ここに?


「とりあえず我は腹が減った、手始めに貴様らから食ってやるとするか、やる気なのだろう?かかってこい」


ヘルバトラーがそう言うとクイルが構え剣に魔力を流す私も魔法の準備し、皆が構えて様子を見ている、ヘルバトラーは私達を舐めているのか槌を肩にかけたままこちらを見ていた


「おい、来ないのか?遊んでやるから早くこい」


「レイラ!みんなに強化魔法を!スーダン俺が攻撃するから防御は頼んだぞ状況に応じて魔法を頼む!行くぞ!」


そう言うとクイルはレイラの強化魔法を受け剣に炎のエンチャントをしてヘルバトラー目掛けて切り掛かる、それに合わせてスーダンも前に出る、ヘルバトラーは口角を上げ高笑いしながらクイルの剣を槌で正面から受けた、剣と槌がぶつかり合いクイルが押される


「おいおい、そんなもんか!?まだ本気も出してないぞ?我をもっと楽しませろ!」


「くっ、」


クイルが吹き飛ばされた追撃をするヘルバトラーの蹴りを間一髪スーダンが右手の大楯でガードするが、ヘルバトラーの力が強すぎて2人まとめて吹き飛ばされた、盾は大きく凹んでいた

私は2人にこれ以上の追撃を許すまいと水と氷の魔法でヘルバトラーを凍らせ時間を稼ごうとする、その隙を見てレイラが2人の元へ行き回復魔法を使い2人を癒すが氷を打ち破いたヘルバトラーが嬉しそうにこちらを見ている


「おい、お前なかなか筋がいいじゃねぇか!決めたぞ、お前から殺してやる!」


そう言うとヘルバトラーは人蹴りで私の前に来て槌を横から私の右脇腹を目掛けフルスイングで降ってきた、咄嗟に防御用の魔法陣を展開し威力を抑えはできたが勢い殺しきれずに吹き飛ばされ、壁際まで吹き飛ばされた、これは何本か骨がイカれたな立ちあがろうとしてみるが痛みで上手く立てなかった、クイルたちが何か叫んでいるがなにを言っているかよく聞こえなかったヘルバトラーは歩いて私の前に立ち微笑んでいた


「おい、この程度で我に立ち向かってきたのか?話にならんなつまらなすぎる、昔戦った勇者と呼ばれていた者の方がお前たちよりも格段と強かったぞ、まぁいい女は肉が柔らかくて美味いからな早速お前を食べるとしようか」


そう言って近づいてきたヘルバトラーに地に伏したまま炎の魔法を全力で浴びせ続けるがびくともしないヘルバトラーが私の腕を掴み持ち上げる、痛みで声が出る、恐怖が頭をよぎり顔が歪むそんな私に気付いてか笑顔のまま私の頭に噛みつこうとした時、鋭い閃撃とともにヘルバトラーが大きくのけぞり私は地面に投げられる落ちる前にスーダンに抱えられヘルバトラーの方を見るとクイルが見たこともない顔で怒っていた


「おい!お前俺の仲間に触るな!お前だけは俺が絶対倒してやる!」


激昂したクイルが魔力を剣に込めてヘルバトラーに切り掛かかりそれを槌で返そうとするがクイルに弾かれ二撃、体に斬撃をもらって、後ろに下がる


「なんだ?何をした?」


こんなクイルは初めて見たが人族の間で噂になっている話をふと思い出した、人族には窮地に晒された時稀に魔力覚醒するものが現れると覚醒したものは体の中だけでなく自然にある魔力を使うことができ普段より莫大な魔力を扱うことができるようになると、それをクイルは今ここで自分のためではなく仲間の窮地のために成し遂げたのだ相変わらずこいつは何て男なのだ


「覚悟しろヘルバトラー!これで決めてやる」


クイルは剣を天に掲げる、魔力が剣に集まり夜空の星が如く集まった魔力が輝き始める、高く飛び上がり天からヘルバトラー目掛けて振り下ろされる、それはまるで星が天から流れ落ちるようだった、剣の軌道に沿ってヘルバトラーの頭へと振り下ろされた剣を槌で受け止めるが止めきれず槌がおれ体を逸らしたヘルバトラーの胸に大きな斬撃後を作りヘルバトラーが後ろに吹き飛ばされる


「ぐぁぁぁ、くぅぅっ、貴様、ゆるさねぇぞ、もう俺は本気を出すことに決めたぞ!貴様らだけはぜってぇ殺してやるっっ!」


怒り狂って口調が変化したヘルバトラーが血相を変えてクイルに叫び放った、その後ヘルバトラーは自分の胸に手を差し紫色の魔力が漏れ出し、あたり一面を暗くなるほど放出した、その魔力を浴び気分が悪くなるがレイラが私達を守る光のバリアを貼って守ってくれている。


「もうどうなってもしらないからな!貴様らまとめて死んでしまえ!」


ヘルバトラーがその魔力を一点に自分の前に一点にまとめて手のひらサイズまで圧縮するとそれをこちら目掛けて飛ばしてくる凄まじい魔力と力が込められているであろう魔力弾が地面を抉り周辺の空間を捻じ曲げながら飛んでくる、私は体が震えて眺めることしか出来なかった、魔力弾がもう目前まで来た時にスーダンが私たちの前に飛び出る


「あの攻撃だけは僕が防ぐよ!あの魔物は地上に出してはいけない、絶対に倒してくれ!僕は先に行ってるよちゃんと挨拶できなくてごめん」


「スーダン、やめろ!」


クイルの静止を耳にも留めず、地面を抉り前進し続ける魔力弾を大盾に魔力を込めてスーダンが止める盾がベキベキと音を立てながら盾が無くなったスーダンが勢いを殺さんと全身で魔力弾に覆い被さるように体をぶつけて魔力弾を防ぎ切った、光とともに魔力弾が消えるとそこには両手と下半身がなく皮膚が焼け切っているスーダンが倒れていた、嘘だ、嘘だと言ってくれスーダンが死ぬなんて、そんな


「ス、スーダン、よせと言ったのに何で」


悲しみに暮れる私たちにヘルバトラーが笑顔で語りかけてくる


「おい、今どんな気持ちだ?お前たちの恐怖や怒りが素晴らしく美味である、何、部下の1人死んだだけだろうにそこまでの感情を抱く意味はあるのか?」


その言葉に私は怒りが煮えたぎっていたその瞬間、突風が吹き同時に激怒したクイルがヘルバトラーの反応できないほどの速度で胸の傷口目掛けて剣を突き立てていた、恐ろしく速い速度に誰もが反応が遅れる


「お前は、お前だけは絶対に殺してやる!」


胸から大量の紫色の血液らしきものが吹き出し次の瞬間、その剣を素早く抜きヘルバトラーの首を切り飛ばしていた、首は高く舞い上がり私達の前へと落ちる、体と首から飛んだ血液であたり一面紫色に染まっていた、クイルは返り血で染まったままスーダンを抱きかかえて私達の前まできた少し私はその立ち姿に恐怖を覚えてしまう


「さぁ、帰ろうかスーダンを埋葬してやりたい」


そう言うと、来た道の方へと向かうただ静かにそして哀愁を漂わせるその後ろ姿に、私とレイラは何も声をかけれないでいた。

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