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風のあとさき  作者: 紫子
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物語の舞台

■ 時代背景

・舞台:架空の炭鉱町久原町(くわらちょう)三見村(みつみむら)古嶽峠こたけとうげ笠森山(かさもりさん)鷹ノ巣山(たかのすやま)の三つの峠をゆるやかに越えていく久見線(くみせん)(愛称:三嶽線(みたけせん))が走っている。

・年代:昭和25年(1950年)〜昭和26年(1951年)頃


ーーー


【各地の特徴】


三見村(みつみむら)

・山間部の小さな炭鉱集落。採掘現場があり、鉱夫やその家族、勤労動員の若者などが暮らす。「三嶽炭鉱(みたけたんこう)」があり、そこから石炭を運び出していた。現在は閉山し、人口も急減。かつての賑わいは消えつつある。

・久見線の山側終点「三嶽口駅(みたけぐちえき)」(貨物用積み出し拠点)が存在する。


久原町(くわらちょう)

・平野部の中心地。町役場や商店街、久但線(きゅうたんせん)の「久原口駅(くわらぐちえき)」がある。久見線の始発駅でもあり、貨客両用のハブとなっている。

・石炭輸送の集積地で、かつては貨物ヤードもあった。鉱山閉鎖後は貨客共に本数が激減し、寂れてきている。


ーーー


■久見線の構造

・全長:約15〜20km程度の短距離ローカル線(単線)

・本線名:久見線(通称:三嶽線)

・接続路線:久但線(地方交通の幹線的存在)


ーーー


■久見線の歴史

1. 久見線の開業と繁栄

・大正期(1910〜20年代)に開通した久見線は、三嶽炭鉱の発展により、地域経済の欠かせない存在だった。アヤ子たちの親世代が若い頃は、鉄道に乗って炭鉱で働くために移住してきた人たちが多かった。


2. 昭和初期の発展と戦争の影響

・昭和初期(1930年代)、国際的な鉄鋼や石炭需要の高まりによって、久見線の利用が一層盛んになり、町もさらに活気づく。しかし、昭和15年(1940年)の太平洋戦争勃発とともに、軍需物資の輸送が優先され、久見線も軍事用の輸送を担うようになる。


3. 戦争の影響

・昭和20年(1945年)、終戦後、久見線の運行にも支障が出る。戦争終結とともに、鉄道の需要が一気に低下。出涸らしになった炭鉱の閉山(戦後数年内)が決定し、久見線の貨物輸送需要は激減。加えて、物資不足と人手不足により、鉄道の運行は困難になった。


4. 昭和20年代後半の廃線計画

・昭和25年(1950年)頃、復旧が進まない中、鉄道会社は次第に廃線の方針を決定。地域住民は当初、復旧を望んでいたが、結果として昭和26年(1951年)に完全廃線となる。廃線に際し、地域住民や元鉄道員たちが町で集まり、別れの式典が行われた。商店や工場が次々に閉鎖され、町はどんどん活気を失っていく。移住者の減少や雇用の喪失などが経済的な苦境を生み、町全体の空気に重くのしかかる。


【久見線の役割】

・主に三見村の三嶽炭鉱で掘った石炭を久原町へ運ぶための貨物路線だった。戦中、戦後すぐまでは、勤労動員や鉱山従業員の通勤列車もあった。炭鉱閉山により貨物輸送もなくなり、旅客需要もなく、維持できず廃線の風潮が漂っている。


ーーー


【久但線と久原口駅】

・久但線は沿岸部や都市部とを結ぶ中規模路線。

・久原口駅では僅かだが旅客列車が停車する。

・貨物取扱は縮小しているが、まだ生きている。


ーーー


■ 登場人物


里見(さとみ) アヤ子(主人公) 23歳

・元女子鉄道員(勤労動員)、戦争で婚約者を亡くす。戦後は鉄道職を解雇され、章と見合い結婚をする。嫁入りは三見村から久原町へ、すでに列車運行のない久見線の線路を歩いてきた。浩司とは短期間だけ鉄道員として同僚だった。章の“ふうらいぼう”ぶりに戸惑いつつも、共に生きていこうとする。現実的で地に足がついている視点の持ち主。旧姓は花本。女子実業学校を出ている。



里見 章(さとみ あきら)(夫/元鉄道員) 25歳

・戦時中、志願兵として出征。復員後は鉄道職に戻れず、無職でふらふらしていた過去があり、町では“ふうらいぼう”と渾名される。ある日突然、帰郷して和菓子を主とする商店を開業し、真面目に働き始める。アヤ子とは面識なしの見合い婚。お互い不器用だが、少しずつ心を通わせていく。労働運動などに関わることはなく、静かに町と向き合う。



金井 浩司(かない ひろじ)(章の旧友/鉄道員) 25歳

・戦後すぐに鉄道職へ復帰、機関士を目指していたが、久見線が止まったままで保線作業にまわされる日々に不満を持ち、労働争議に熱中。表面上はしっかり者に見えるが、実は心の中では進路に悩み、燻っている。アヤ子とは短期間の同僚関係があり、言葉を交わす機会も多い。章とは価値観の違いで衝突する。

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