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気まずさを覚えながら教室に到着した俺達は、誰もいない教室で忘れ物を探す。美久さんはかなり荷物が多いらしく探すのに苦戦しているらしい。
「大丈夫?見つからない?」
「うん、ここに入れたはずなんだけどなぁ」
あれぇ?と言いながら探す美久さん。
「ロッカーの中とかは探した?」
「ロッカー…見てなかったかも!そういえば健人くんは忘れ物見つかった?」
「うん、見つかったよ」
「良かったね」
そんな会話をしつつもロッカーの中を探そうとする美久さん。
(…イベントよりは早めに教室に忘れ物を取りに行けたから良しなのか?)
そんな事を考えつつも荷物を整えたりして周りの様子を見る。
「…あったあった!見つかってよかったー…」
「じゃあそろそろ行こうか、先生に見つかったら色々とまずいからね」
「うん、そうだね」
教室を出ようとしたその瞬間、なにかに閉じ込められているかのように黒い壁が現れた。
「な、何この壁は!」
(…この魔法、漆黒の壁か)
ブラック・ウォールとは周りに黒い壁を出現させ、対象者を閉じ込める魔法である。これを攻略するには少々厄介だ。
「…この小娘だけ捕らえようとしたがまあいい、人質は多いほうがいいからな」
「人質?何を考えているのよ!」
「藤井さん、一回落ち着いて」
マジでこの状況は一回落ち着かないといけないのだ。じゃないと解決策も思い浮かばない。
「貴様らはこの壁を突破することはできないだろう。学院に入学したばかりだ対抗策もろくに持ってないだろう」
くそ、癪だが合ってる。たしかに学院に入学したばかりの生徒にはこの魔法に対する対抗策はない。だから冷静に考えなければならない。
「…ちょっとどこへ行くの?!」
「壁の耐久性を調べに」
「壊すというのか、面白い!壊せるものなら…」
「あ、壊れた」
「「え?」」
なんか驚く声が両方から聞こえてきたのは気の所為だな。
「意外と脆かったなコレ」
「…なんか簡単に出れてしまったね」
「こんな簡単に出れるのか、驚きを通り越してなんか悲しいわ俺」
なんかすいません。
「…まあいい、滅べ!隕石!!!」
すると謎の男は魔法陣を形成し魔法を捻出しようとした。だがその魔法は放たれることはなかった。
「…あれ?」
「もしかして…魔力切れ?かしら」
「ダサっ」
「…」
結局魔法は魔力切れで捻出ができなかったので放たれることはなかった。
「…さぁ、どう落とし前付けてくれるんだ?」
「私も少しイライラしていてね、悪く思わないでね」
「やめてくれ!助けてくれ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
こうして、ヒロイン誘拐事件は幕を閉じたのであった。