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「あれがレベルを測定してもエラーだったやつか?」
「レベルがやばいっていう噂もあるぞ」
「ひえぇぇ、怖!」
「まぁかかわらないほうが吉ってもんさ」
何で俺の学校生活がこうなってしまったんだ…。
「あ、健人くんじゃん!同じクラスだね〜」
「う、うん」
「それにしても何でレベルが測定できなかったんだろう」
「多分…測れないほど弱いのかな?」
俺はとっさに嘘を付く。
「それはないと思うよ、だってみんな最初はレベル1からだもん」
「へぇ〜」
なんだかやばい予感がしたかもしれない…
「だから、可能性としては健人くんが…レベル測定機を使っても測れないほどレベルが上っているから。とか位しかないと思うけどね」
「でも俺そんなことした覚えもないけどね」
「ホントに〜?」
「本当!本当だからさ!」
きょ、距離が近いー!
またしても俺は嘘をついてしまった。魔物を倒しまくっただけなんて言えるわけがねぇ…。
「あ、授業始まりそうだ。またね〜」
「うん、また…ね」
またねと告げた美久は俺から少し離れた席に着席した。
(…そうか、キャパオーバーの可能性も考えられるわけか)
俺はレベルのキャパオーバーの可能性を考えていなかった。
(レベルって最大値99じゃないのか?)
今までの常識を覆すような…そんな考えだった。
(もしかしてこいつ………最大レベルが存在しないのか?)
そう考えれば辻褄が合う。
(…いや頭に乗るな。こういうタイプはすぐ調子に乗ってやられていくタイプだ。落ち着こう)
そんな事を考えているうちにチャイムが鳴っていた。
座るの忘れてた。
今日中俺はかなり目立っていたと思う。レベルのわかんないやつなんかみんな気になるに決まってる。
そんな中藤井美久が話しかけてきた。
「あ、そうだ。健人くんさ、連絡先教えてくんない?」
「れ、連絡先?QRコードで大丈夫ですか?」
「全然それでいいよ」
俺はスマホの画面にQRコードを移した状態でかざす。その上に美久のスマホがかぶさる形で交換した。
「ありがと!また明日!」
「うん、また明日」
嵐のような一日だったな。そう思いながら自分の部屋に入る。特にこれと言ったものはなく、趣味という趣味もない部屋である。普通に勉強机とベッドを置いているだけ、それなりの人が見たら退屈してしまいそうだ。
「…今日はなんだか疲れた〜」
そういながらベッドにダイビングする。いい匂いを放つベッドは自分を睡眠の波に引きずり込もうとしている。
「気持ちいい…」
本当だったらこのまま意識を落としたいところなのだが…俺には確かめることがあった。
「…それにしても本当に何でだろうな」
確かめること…それは俺のレベルのことだ。エラー表示になることは普通にありえないはずだった。だが俺のせいで表示されてしまった。自分のレベルを知るために一つひらめいたことがあった。
それはステータス表示。
そう、ステータス表示してしまえば自分のことを知れるというわけだ。
「ステータスオープン!」
そう意気揚々に唱えた。すると
「うぉ、まじで出できた」
俺のステータスを見れた。ステータスには名前、年齢、能力値など…もうすでに人間やめているのですが?
「能力値は…読むのやめよう、レベルは…1243か、へぇ〜、マジかぁ…」
もう気力なんて当の昔になくなっていたさ。レベル1243はもう何もしなくても最強っすわ。でもわかんないからなぁ、主人公様はとんでもないチート持ちだからなぁ…。
「…とりあえずこのことは秘密にしないとな」
俺は密かに心の中で誓うのだった。
レベルがインフレしてしまいそうだ…。