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魔法学院に入学することになった。魔法学院というのは、ダンダメの原作がスタートする場所なのである。ほらほらいるよ主人公くんが、ヒロインが!
「…それにしても画面だけだとわからなかったけど、こんなに大きいんだな」
俺が今いるところは体育館、作品では入学式のときに新入生代表の挨拶をヒロインがやったりするところである。マジでデケェ…語彙力がなくなってしまう…。
「パネェな、まじ」
「何がそんなにやばいの?」
「び、びっくりした…誰?」
もちろん知っているがあえて質問する。初めて出会ったのに名前を知っていたら気持ち悪いからな。
「あぁ…驚かせてごめんね。私の名前は美久、藤井美久だよ!よろしくね~」
「お、俺は香川健人っていうんだ。よろしく」
「健人くんよろ〜」
そんな感じで挨拶してくれた彼女は金色の髪をなびかせながら話す。彼女はダンダメのメインヒロインの一人だ。誰にでも明るく接する女子高生、本当に誰にでも分け隔てなく接するので勘違いする男子が多い。
「ところで何がそんなにやばいの?」
「体育館の大きさに驚いててね…」
「確かにこの体育館大きいかもね」
と俺の言葉に同調するように答える。あの…ちょっと近いんですが
「…あ、もう時間!もう行かなきゃ!同じクラスになれたらいいね!」
「え、あ、うん…そうだね」
そう言って走り去ってしまった。嵐みたいな子なのであった。
その後入学式は体育館で行われ、新入生代表の挨拶はもちろんヒロインの、藤井美久によって行われた。
「新緑が日にあざやかに映る季節となるなか…」
このシーンを生で見れるとは思っていなかった俺は思わず泣き出してしまった。隣のやつからは何でか知らんが変な目で見られたけど…。
「満開の桜と木々の新緑、美しい草花がうららかな春の…」
まぁここはどうでもいいので画面タップでスキップ…できませんはい。できるわけがありません。
「ここから先はレベル測定を行います。名前を呼ばれた順に測定を行います」
(ま、マジかぁ…レベル測定は考えてなかった!!)
俺はかなりの敵を倒してしまっているので相当レベルが高いに違いない。どうすればいいのかマジでわからん…
「次、藤井美久」
「はい!」
いいよなぁ、ああいう奴らって悩みなさそうで。
…ってそんな事考えてる場合じゃない!!!まじでどうすればいいんだ!!!
「レベル4、すごいな」
「…まぁまぁね」
マジかぁ…4であれだからなぁ…それ以上あったら確実に目立つ…。
「…次、香川健人」
「はい!」
「げ、元気がいいなぁ」
と教師は感心しているようだが、もう俺は元気に返事するしかなかった。もうヤケクソに等しいくらいだった。
「お願いだ…お願いだ…」
「だ、大丈夫か?別にレベル1でも全然いいんだぞ?」
(お願いだから…レベル低めで頼む!!!)
測定が終わったようだ。表示された結果は…
エラー
とだけ表示されていた。
(…よかった…のか?)
「エラー…だと?!こんなことは初めてだ!」
みんなが淡めふためく。
「どういうことだ?」
「測定できないほどのレベル…ってことか?」
「もしくは逆?」
俺だって聞きてーよ。
「皆さん落ち着いてください、後ほど測り直しますからね」
「は、はい。分かりました」
こうして全校生徒がレベルを測った後、俺だけ呼び出されレベルを測定されたが、何度測定してもエラーと表示されてしまい、俺だけレベル不明となってしまったのは言うまででもない。
「どうしてこうなったんだ?確かにレベルは知られなくて良かったかもだけど…」
俺は少し放心状態になりながら学生寮に入った。
ちなみに僕は何度熱を図っても34から35度台しか出なかったことがあります。