転生女神のうっかりミス
「あなたは不幸にも事故に遭って死んでしまいました。しかし、安心してください! 今この時期に死んだあなたはとても運がいい! なんといまは神界で空前の異世界転生ブーム! 記憶を消されることなく、魂を洗浄されることなく! いまのあなたのままで異世界の地で再び生きることが出来るのです! しかももれなく転生チートもついてくる! 私たち神はあなたがその世界で活躍するのを眺めて楽しむわけですね。ちなみに具体的に言うとあなたがもっともやりこんだゲームの世界にそっくりな世界に転生して、そこで主人公並みのスペックを持って生活が出来るって感じです。ああいえ、どんなゲームをプレイしていたかとかは言わなくても結構です。ちゃんと調べはついているので。それでは第二の人生を、どうぞ謳歌してください!」
死後の世界にある転生の間で、転生を司る女神はやってきた魂にそうまくし立てると、返事も聞かずにその魂を生前の彼が最もやりこんだゲームの世界に転生させた。
いま転生させた魂が列に並んでいた最後の一つである。朝から何千、もしかすると何万もの魂を休憩なしで転生させ続けていた女神はようやく一息つけると思い、伸びをした。
そんな女神の様子を見ていた助手を務める天使は「良いんですか?」と尋ねる。
「いまの魂が生前やりこんだゲーム、恐ろしく難しい死にゲーですけど」
「えっ」
女神が転生の間の入口に目を向けると、ひどく見覚えのある魂が入ってこようとしていた。
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