桑畑博士の科学的飲料1
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ケイコ助手と汀秘書官が二人で並んで研究所を歩いているのは別段珍しい話ではない。
年齢も近い同性どうし、基本的には仲が良いのだ。ただ、ありとあらゆる面で反りが合わないのは本音だ。
「あなた、長官さんに何の不満が有るのよ。真面目な方じゃない」
「不満なんか無いよ。ただ刺激成分少ないかなって思ってるよ。博士なら最高に楽しそうじゃないか」
「あの人の部下、やるのは大変よ?」
見解の相違と互いの欲目からいつも話は平行線だ。
しかしその日に限り、いつもと流れが違う。
「ねぇケイコちゃん、自販機有るよ」
ケイコ助手も目を見張った。研究所内は博士が欲しい時にお茶を淹れるケイコ助手が居る為、博士自身に自販機に興味が無く、休憩室や食堂にしか無い筈なのだ。
こんなそこいらの通路には無いのだ。汀秘書官が早速2本『アメリかん』と、汚い字で書かれた品物を購入した。何の事もない。無料で出てきた。
その汚い字で書かれた缶を開け、汀が一口飲んだ。
「あら。これ意外とイケるじゃない?ケイトも飲んでご覧なさいよ」
何故か急に口調が変わる汀秘書官。
声の弾み方から察するにアメリカンホームドラマのアテレコ風な言い様だ。
しかもケイト?私はケイコだわとか思いながら何の疑いもなくアメリかんを口にした。
それは珈琲のアメリカンではなくシュワシュワした炭酸飲料だった。
「ほんと!美味しいわねキミー!」
2人は美味しい飲み物を喜びハイタッチをして喜びをシェアした。
「ほう。君たちが飲んだのかね」
そこに桑畑博士が現れる。
「博士?これ何ですか?二人とも凄く変ですが」
一緒に居た北枕助手が聞いてみる。
「この飲み物達はの、その気分にさせるジュースなんじゃよ」
「ああ。アメリカ人っぽくなるからアメリ缶ですか」
「うむそうじゃ。ああ、缶ってこう書くのかね」
桑畑博士は研究ばさせれば凄いが、かけ算も漢字の書き取りも酷いものなのだ。
そうこうしてる内にケイコ助手と汀秘書官に変化が起こる。顔の彫りが深くなり、顔色と髪の毛、ケイコ助手に至っては瞳の色まで変わり出す。
ケイコ助手は白く、そして汀秘書官は色具く。更にショートボブの髪の毛がソバージュになっていく。
「あの……博士?」
「うむ。効果覿面過ぎるのう」
二人のアメリカンホームドラマごっこもヒートアップしている。
「ケイト、今夜ディナーどう?」
「良いわね、行くわ!キミーとの付き合いも長いけど、揃って出るのは初めてかしら?」
「そうね、楽しんで行きましょう」
身ぶり手振りも大きくなり、顔も普段よりもおおげさだ。
「あの、治るんですよね?」
「時間が経つと治るがの。他にも見てみたいのぅ」
桑畑博士のいたずらが始まる。
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