桑畑博士と多重宇宙1
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「ケイコ君、あの滑り台には落ち度が有ったのう」
「ええそうですね暑いし気持ち悪いし……」
「パスポート!」
桑畑博士が頭を抱えながらケイコ助手の意見を遮り、こう嘆いた。
「アメリカ通過するのにパスポート渡しておらなんだ!」
「え!?そこ?そこが落ち度ですか?」
桑畑博士にはケイコ助手の極当たり前なツッコミなど聞こえていない。
そんなのんびりとした研究日和な断崖絶壁の海の前に有る廃校をそのまま使っている研究所に、ちょくちょく来るお客さんがやって来た。
「やあやあ博士、本日はお日柄も良く」
そう言いながら近寄って来るのは日本国防衛軍の長官だ。
「この前のマーカライト砲は素晴らしい出来映えでしたぞ博士」
「おおそうかね。何よりじゃのう」
「博士がもっと沢山居たら次々新しい兵器が出来て強化に繋がりますのに」
長官がそうおべんちゃらを言いながら博士に握手を求めた。
博士はその手を無視したまま切り返した。
「なるほど儂が沢山か。考えた事もなかったわい」
そう呟くと新しい研究室を異次元空間に作って入り込んでしまった。
「あ!博士新しい研究室の入り口を適当に作らないでくださーい」
北枕助手が慌てて入り口の位置を壁際に整えたら追いかけるように異次元空間に消えた。
後日ドアと部屋の名前を付ける作業をするのだが、博士の助手をしに行かなくてはならないので北枕助手は手伝いに向かったのだ。
キャリアーに乗せて妖しいメカを連れて出てきたのは3分後だった。
「長官、これじゃ!」
「は……はい」
「これで儂が増えるぞい」
この言い様には手伝った北枕助手も首をかしげるしか手段が無い。
「増殖するマシンでは無いですよね」
手伝った北枕助手には何となくそこは分かるようだ。
「増殖ではないな。これは言うなればよその世界線の儂を連れてくるマシンじゃよ」
「よその世界線、つまり立体交差平行世界の博士という意味ですわね」
端にいたケイコ助手も博士のマシンの周りに加わる。
「そこの博士も博士を呼び込むのでは?」
「うむ。儂の取り合いにのるのぅ。まあ大丈夫じゃろう。多重宇宙は無限に有るからのう」
多重宇宙論というのは、俗に言うシュレディンガーの猫を拡大解釈した理路である。
箱の中に猫と毒の水と普通の水を入れておく。一時間後、猫が生きているか死んでいるかの確率は半々だ。
しかし量子力学の世界では観測者の存在自体が結果に影響を及ぼす為、観測結果の反対の答えの世界も存在すると過程しておかなければいけないよという理論だった。
しかしこれ、色々と解釈が増えたのだ。
例えば箱を開ける回数を増やすたびに新しい観測点、つまりは新しい世界がポコポコ出来てしまうのだ。
博士はそのポコポコ出来た宇宙から博士を連れてくるようだ。
「では特異点に今の儂を代入して、特異点の儂を連れてくれば儂が増殖するわけじゃな」
果たしてそんなことが上手く行くのだろうかという心配を他所に、博士は唯一付いてるレバーをガチャリと引いた。
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