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第3話 留学生②

 




 ラポルトでよく見た僕らの掛け合いだけど、懐かしいとか思う前にこの状況なんとかしなくちゃだよ。案の定、この後コーラとあ~だこ~だと小競り合いになった。



「暖斗くんはさあ! 昔アタシに何したと思う!? 真っ裸(まっぱ)見たんだよ? アタシの! 信じられる? ケダモノよケダモノ!」


「「え~~~!?」」

 さすがに、クラスメイトの女子たちは僕にドン引きの表情を見せる。


「いや‥‥‥‥まあ」

 一応想定内なので、別段慌てたりはしない。さすがに来たばかりのコーラと、普段からのふるまいを見せてきた僕。いきなりコーラの言が容れられて、僕がケダモノ扱いされることは無いけれど。


 ‥‥‥‥けれど、決して自分もいい気分ではない。


 そう。コイツと言いあいになると、論点が割とこういう方向になる。だから。




「コーラさん! お久しぶり!」

「あいかわらずね。ふふ」


 まあまあ良いタイミングで僕の仕込みが発動。


 桃山さんと泉さんを召喚した。そう。ふたりはこの高校なんだよね。さっきスマホで救援を頼んでおいたのさ。ついでに女子からの疑惑の目線も、解消させてもらう。


「「あ、うためちゃ~ん!」」

「は~~~い!」


 ちなみに桃山さんはもうウチのクラスのほとんどの女子と仲良くなっているので、女子達の挨拶(全力で両手で手を振る)に、彼女も同じ仕草で応える。当然あの目が横一線になる、にっこり笑顔でだ。


 安定のコミュ力お化けだね。



「お久しぶりねコーラさん。またウチに遊びにいらっしゃいね?」

「‥‥‥‥ぐっ。泉さん」


 中2の時よりさらに落ち着いた口調で泉さんに言われ、たじろぐコーラ。聞いてるぞ。ラポルトのOG会で泉さん邸に招かれて、あまりの豪邸ぶりに変なテンションになって、暴れたらしいな。


 ナカナカな調度品の壺を割ったとか。


 泉さんのご家族が「まあいいですよ。国を護るパイロットさんですし、返さなくていい『貸し』をひとつ作っておきましょうか」と苦笑いだったとか。


「ガンジス島戦役」、ネットでは「40日間僕らの夏休み戦争」なんて呼ばれたりするけれど、みんなでラポルトで戦ったあの戦争の後、ソーラさんはまっすぐアマリアに帰った。

 でもコーラはそのままこの国の軍所属になったんだ。たしか打ち上げの「宴」の時スカウトされたんだよな。


 それでもちろんアマリア村には帰省とかはするんだけど、籍と重心はもうこの国の国軍で、半年くらいでこっち住み――みなと軍港界隈に移ってたんだよ。だからちょいちょいラポルトOGとは会ってるみたいだった。




 しかし初日からこれかあ。もちろんコーラにアホな報復? をしたウチの男子が100%悪いんだけど、コーラが留学生で来たのは「本土の人とアマリアの架け橋」目的だろ?


 決定的に決裂してどうすんだ? 初日から。



「ぬっくんどうしたの! 私を呼んだ? なぜなぜなぜな~に?」


 そして僕の伏兵第2弾が現われる。


 ひめちゃん。姫の沢ゆめだ。ラポルト勢が揃ってさらにひめちゃんが現われると、教室の空気が変わるんだ。「あ! 芸能人が来た!」ってね。

 ひめちゃんは地方の地上波だったらもうちょいちょいテレビにも出てる。男子も女子もいっきに興味がそっちに行く。どうしてもそうなる。



 言い方悪いけどさ、コーラがついた悪態はそんな空気で希薄化させてもらう。



「あ、うわ。姫の沢さん。うぐ! ‥‥‥‥その節は‥‥どうも」


「あ~~! あなたテオブロマの子! どうしたの?」



 僕の幼馴染みのひめちゃんとコーラには、浅からぬ因縁がある。例の「ふれあい体験乗艦」の時、本来選ばれるはずだったひめちゃんが諸事情で落選しちゃったから、彼女の乗機だったDMT「テオブロマ」に、コーラのヤツが乗る事になったんだよ。


 で、僕と「前衛・後衛」のバディを組んだんだけど「テオブロマ」は激闘の中大破してしまう。まあこれに関してはコーラに非があったんじゃないけどさ。


 その件もあってコーラは、ひめちゃんにはものすごく「申し訳ない」と思っているらしい。原因のひとつに「テオブロマ」のコックピットでコーラが「ひめちゃんの残した何かを見た」「その何かを戦闘中に逸失してしまった」から、なんて考察を愛依がちらっと言ってたけど?



「ねえどうしよっか? 犯人の人が謝ったら許せる? コーラさん」

「ホントに軍の人、来るのかしら? ホントに呼んだの?」

「え? ぬっくんと同じクラス? え? なんで? あなたまた私の居場所を‥‥!?」


 これを感情の問題と捉え、「相手が誠意ある謝罪をするなら感情的に許す、許容できるか?」と問う桃山詩女さん。

 これを商業的駆け引きの問題と捉え「軍の人を本当に呼ぶのに、軍の人、コーラさん、クラスメイトにそれぞれ相応のメリットはあったのか? ブラフでは?」と問う泉花音さん。

 これを過去の問題と絡め「ど~~してアナタはまたぬっくんの隣りにいるの? ねえどうして!? 私なんて‥‥グス‥‥」とひたすら事態を複雑にする気配を見せる、ひめちゃん。



「うぐぐっ!」


 桃山、泉、ひめちゃんの順番に三者三様にグイグイ来られてのけ反るコーラ。ああでもちゃんと! こんな陰湿なコトした連中には責任取らせないとな! それはもちろんだよ。



 結局コーラは「3人に免じて」という謎理由で処分を曖昧にして。


 その後、顔面蒼白の犯人連中がこっそり名乗り出て、僕が仲介してコーラにちゃんと謝った。コーラも腕を組んで「うし!」って言って、後腐れはなし、とした。



 でもまあ、これじゃあ先が思いやられる。折角の高校生活がちょいちょいこんな感じじゃあなあ、なんて正直思ってたんだけど。


 意外にも。





 全然、そうはならなかった。






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