ショートホラー第8弾「似顔絵」
結末がどういう意味か、それは皆さまでお考え下さいませ。
4歳になる息子は絵を描くのが好きだ。
人の似顔絵も輪郭なんかはぼやけているが特徴をよく捉えていてもしかしたら将来は芸術家になるかもとか色々と期待が膨らむ。
ある日、いつものように息子は絵を描いていた。
後ろから覗き込むと髪の長い女の人の絵だった。
私を書いてくれているのかと思ったが絵の中の女性は長い髪の毛。私はショートヘアだ。
「ねぇ、この人は誰?」
息子は答えた。
「お姉ちゃん!!」
はて?我が家は一人っ子だけど。
ああ、そうか。近所の公園で年上の女の子と仲良くなったのね。
まったく、この歳から女の子にモテるだなんて流石は私の息子ね。
□
その日の夜、昼間の話をしながら夫に息子が描いた絵を見せた。
彼は出張で家を空けることが多くこうして話をするのは久しぶりだ。
「まったく。お前は親バカが過ぎるぞ?もしかしたら遠くからそのお姉さんを見てただけかもしれないじゃないか」
「えー。それじゃあストーカーみたいじゃない。止めてよね」
笑いながら絵を眺めていた夫だが急に表情が凍り付いた。
そして、テレビを見ながらジュースを飲む息子に声をかけた。
「な、なぁ。このお姉ちゃんさ、どこで会ったんだい?」
息子はぽつりとつぶやいた。
「パパの背中に乗って来たんだよ」
「ッッ!!!」
夫は言葉を失い、何か不穏な空気が漂ったままその日は就寝することに。
それから数日後、我が家に警察官がやって来た。