24 メイド服と漬物石
「ふー楽しかったわねルナちゃん、それでゼンにラハ、話は終わったの?」
リアがテーブルに戻ってきてラハさんの側に座り。
一緒に戻ってきていたルナも空いている席に座り、そのルナの膝の上にはチビウルフがいて、インベントリから出したペット用のマッサージ用ブラシで撫でてもらっている。
チビウルフはうっとりした表情で大人しくしていて幸せそうだ。
フライングディスク取り競争の優勝者へのご褒美か何かだろうか? もしもチビトレントが優勝したら剪定でもするのかな?
「数日後にルナのお披露目にな成りそうだよ」
「じゃぁ可愛い服を見繕わないとね、フリフリのドレスとかがいいかしら?」
リアがそんな事を言う、ピアノの発表会とかじゃないんだから普通で良くね?
ルナはマッサージの終わったウルフを芝生に置くと俺達の会話に参加してくる。
チビウルフは他のチビ魔物の所へ駆けていった。
「マスター、私の服装は決まっているので新しい服が欲しい」
どうやらルナの中ではすでに決まっているらしい、そりゃ今着ているのは普段着だし旅装って感じのも必要だよね。
「いいぞ、どんなのが欲しいんだ?」
「メイド服」
ルナは簡潔に伝えてくる。
ん? 聞き違いかな。
「ルナはどんな服が欲しいんだ?」
ルナは首を少し傾げると、もう一度言って来る。
「メイド服」
「ルナちゃんがお世話してくれるのね! いいわお姉さんが買ってあげる! だから私のメイドさんにならない?」
暴発しているリアは取り敢えず置いておこう。
「俺は旅装を考えていたんだが、メイド服を欲しがる理由は何なんだ?」
勿論ルナのメイド服なんて最高に可愛いだろうとは思っている。
だが状況にそぐわない感じもするのだよな、馬車で旅をしてくる設定だろう?
そうしてルナは胸を張って堂々と宣言して来る。
「私はマスターの従者……の娘という設定、ならばメイド服が当然! お父さんの名前はセバスチャンにしておく?」
……ああ……どうやら何かのアニメか漫画に影響を受けたらしい……。
「……いやまぁ、従者として引き取った設定なら……問題はないのか? でもルナの歳は11歳になったばかりって感じにしたいんだが働かせていいものか? ……そうそう、これからは年齢に合わせて背を伸ばしていくからな?」
成長期は一年に5センチだったか? 後で保険体育の本でも購入してちゃんと調べておかないとな。
「年齢が問題あるの? ルナちゃんなら見習いメイドさんって事でいいじゃないの、可愛いいし」
リアはルナの事ならなんでも許可を出す気がする。
「ルナさんのメイド服はさぞ可愛いでしょうねぇ、私ももう少し背が低ければメイド服も似合うのですが……」
ラハさん、生首に身長って関係あるのか? って冗談は置いといて体さんはスラっとして背が高いものな、頭を首部分に置いたらたぶん俺より身長高くなるよな……俺もあと二センチあれば175に届くのに……背の高いイケメンになりたい人生だった。
「この世界だと11歳でも働くのは普通なのか?」
常識をまだよく知らない俺はリアとラハさんに聞くしかない。
「才能のある子は10歳で見習いとして工房に入ったり……するわよね?」
リアがちょっと自信なさそうにラハさんに聞いている。
自信がないとアホツル毛がヘニョっとしているから分かりやすい。
「その通りですマスターリア、他にも冒険者を目指したりと色々ですが、10歳を過ぎれば働き手として見られます、大人として見られるのは15歳前後でしょうか? 地域や文化、それこそ隣同士の村と街で価値観が違っていたりするので曖昧ですけどね、地球にあるような法律で成人どうこうという事は貴族くらいにしかありませんね、あれもまぁ社交界デビューの年齢が決まっているくらいですが」
なるほどね……。
「よし! なら今日からルナはメイドさん見習いだ! 俺は元商家の設定になったし服はDPで購入した性能の良い奴でいいよな?」
大丈夫だとは思うけどリアに向けて確認を取る俺。
「そうね、後ろ盾もあるし……でも貴方達が弱いうちはあんまり高いのは駄目よ? DP購入が高い異世界品は効果もすごいのとか付きそうだし、そこそこの品物で裕福な商家なら買えるくらいの物ならまぁおっけーかしら、ちゃんと可愛くてルナちゃんに合うのを選ぶのよ?」
「勿論全力で可愛いのを選ぶつもりだ」
俺はリアは同時にコクリと頷き合いながらリアのアホツル毛と握手をした、【ルナを可愛くし隊】の同志だからな、って横着せずに手をちゃんとだせよ……。
「じゃぁそろそろ昼だし帰るよ、相談に乗ってくれてありがとなリアにラハさん」
「ルナちゃんの事ならいつでも本人同伴で来なさい、24時間受付中よ!」
……俺の事を相談出来る窓口もあるんだよね?
「デラン商会のドッペルには詳細を伝えておきます、今回はルナさんもいるので商会長も荷馬車に同伴させていますので、彼女は私に似て可愛い顔をしているのですぐ分かると思いますよ」
さりげなく自分は可愛いと刷り込もうとしてくるラハさんであった。
似ているならカッコイイの間違いだと思うんだけどね。
「了解、じゃまたな」
「リア姉様、ラハ姉様またね」
「またねルナちゃん」
ルナが最後の別れとばかりにリアにハグされていて、機嫌を表すかのごとくリアのアホツル毛は今日もビョンビョンと元気なようだ……。
「ルナさんまたお会いしましょう」
ラハさんは生首だけなので何も出来ず悔しそう、よく体さんがルナの頭を撫でているものな。
ルナを〈ルーム〉の扉に入れて……あれ?
「そういやこの入口があるし、ルナはこのままここにいてもよくね?」
俺は重大な事に気付いてしまった。
だってもう冒険者街にもここにも入口が設定してあるんだしさ……。
俺の言葉に全員の反応は。
「確かにそうね? じゃぁ私はルナちゃんとまだ一緒におしゃべり出来るのね!? ゼン! 貴方のユニークスキルは最高ね!」
リアは興奮しつつ褒めてくるのだが、俺ではなく俺のスキルが最高らしい。
「マスターはうっかりさんでしょうがないね」
いやいやルナも気づいてなかったじゃねーか……。
「常にゼン殿の部屋がある? それはもうつまり私とゼン殿は一緒に住んでいるような物では? 結婚式の出し物はギロチンでしょうか?」
ラハさんがまたデュラハンジョークとやらを披露している。
首を落とさないと気がすまないのかこの人は。
「ルナ、しばらく遊んでいていいぞ……俺は歩いて冒険者街に帰る姿を周りに見せておくから、昼飯には間に合うように〈ルーム〉に帰ってくるからその時は調理よろしくな」
今朝がた樹海ダンジョンに歩きで外から侵入したからな、俺だけは冒険者街に帰る姿を見せないといかん……。
「いってらっしゃいゼン! ……ねねルナちゃん、お昼ご飯の前に私と水浴びしにいかない? また水の精霊にお願いして水流に乗って遊べるわよ」
リアはルナをまた水浴びに誘っていた……流れるプール的な物もあるのか? いいねそれ、俺も遊びたいんですけど……。
「行ってらっしゃいマスター、気を付けてね、調理は了解、今日のお昼はお好み焼きでいく!」
ルナが可愛らしく手をこちらに振ってくる、うん、すごく可愛い。
「いってらっしゃい、あ・な・た、なんちゃって、どうです尽くす嫁首な感じしませんか?」
ラハさんがテーブルの上からラハジョークを投げてきたので。
俺もゼンジョークで返す。
「漬物石の方が欲しかったです、では行ってきます」
ラハさんの嘆きを背後に残してウッドゴーレム君に転移魔法陣部屋へと案内して貰う。
ちょろっと帰りがけに採集だけはして、ギルドで換金もしようかね……。
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