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18 異世界天然石の価値

 テーブルに出された品物にリアとラハさんは目を離せないでいる。


 透明なビニール袋に細かい天然石が詰められた物達だ、実はこの世界でこういった天然石は魔法やらの触媒として使うって誰かが言ってたんだよな。


 ガーネット、ラピスラズリ、ペリドット、透明や色の付いた水晶も各種、他にも色々な種類を取りそろえた。

 どれも細かい粒石で数個から数十個入って10DP前後で買えちゃう品物だ、後ついでにビー玉も十個入り一袋5DPのやつを混ぜてある。


「どうかな? 天然石は魔術触媒で使うから消耗品だろ? そこそこの値段で数多く流通させれば儲けも大きいんじゃないかなって思ったんだが……もしもし?」


 リア達は返事をせずに袋を開けてまた目を光らせて確認をしている……全種類を調べる気のようで、せめて何か言って欲しい所だ。


 仕方ないのでルナとジャンケンして遊んでいる。

 金のかからない遊びとして前のルナに教えたんだよね、後一回後一回と延々と繰り返されたのは良い思い出だ。

 しょうがないなぁと言いながら遊びに付き合ってくれる今のルナも、やっぱり同じルナなんだなと感じる。


 リアの溜息が聞こえてきた、鑑定終わったのかな?

 じゃぁ俺の勝ち越しで終わりだなルナ、もう一回? 仕方ないなぁ……。


「ちょっとそこの二人! 遊びはやめて戻ってきなさい」


 丁度引き分けの時にリアにそう呼びかけられたのでしぶしぶと戻る俺とルナ、後で再戦な?


「ゼン……これがいくらだって?」


「平均で一袋10DPだな、そっちの丸っこいのだけちょっと安めで5DPだ」


「やっす! ちょっと千袋くらい売ってくれない? って違うわよ!」


 頭のアホツル毛で俺を引っぱたきながらそう言ってくるリア、ノリ突っ込みとか、芸人かな?

 って、今俺を引っぱたく必要あったか?


「確かにこういった天然石は触媒に使うから消耗品ではあるんだけども……貴方が考えている屋台で売っているご飯がごとくの消耗品じゃないから! しかも全ての鉱石が程よい魔力を帯びていて使い易そうだし……一粒で100DP以下の開始値出品は許さないからね?」


「まじですかリアさん」

「おおまじよ」


 リアのアホツル毛がピョンピョン跳ねてマジ度を示している。

 一粒1DPしないのもあるのに開始値が100DP?

 最低でも百倍になるってやっべぇなぁ……。


 そうだこれを聞いておかねば。


「じゃぁこの丸っこい奴も100DP出品すればいいか?」


 もしそうならビー玉で世界を取れてしまうのだが。


 リアはラハさんに視線を向け、ラハさんは首を左右に揺らしている……なんぞ?


「この石はね、全て同じ規格に揃えてあるのは価値がある、同じならば魔道具を量産するのが容易になるからね、そして帯びている魔力もそこそこ……でも魔力の質的にはこっちの形の悪い天然水晶の方が高いの……この丸い奴はガラスよね? なんでガラスを削ってこんなに奇麗に丸く揃えたのかが苦労を考えるとちょっと理解できないというか……」


 リアのアホツル毛がへにょりと垂れて理解出来ない事を表している。


「それは俺が購入したから魔力が宿っているとして、こちらの世界にある人工的に作り上げたガラスにも魔力は宿るのか?」


「そうねぇ天然物に比べると質は悪くなるけども光物が好きな精霊もいるし、ある程度は魔力が宿ったりもするわね、魔力の宿り易い製法やらはガラス工房の秘伝だと思うわよ? 間違っているのも多いけどね」


 精霊が興味を示すと魔力が宿るの? ……うん難しそうだしスルーしよう。


 ビー玉は一袋10個入りセットにしたならば数百DPくらいで売れるのではないかと言われた。

 残念、ビー玉でウハウハ計画はだめだったか、まぁ天然石でもDPが百倍になるなら美味しいよね。

 オークションでは手数料が掛かるみたいだけども、って誰が手数料を取っているんだろ……神様?


 リアには天然石の相場を大幅に崩す事を禁止された。

 相場が安くなってもその値段に合わせて出品し続けたら、安く手に入れてるのがばれるからだそうだ……つまりは一定の値段で出していけばいいのよね?


「じゃまぁそろそろ冒険者街に一回顔を見せにいこうかな、色々相談に乗ってくれてありがとなリア、その石は全部、相談のお礼代わりに置いていくよ、チビミミックにでもあげてくれ」


「ありがとうリア姉様」


「いいのよルナちゃん、なんならこのまま私のダンジョンに住んでもいいのよ? お部屋もここに作るけどどうかしら?」


 リアはルナだけに返事をして、庭園にルナの部屋を作るのだと詰め寄っている、おいおい……。


 俺がリアを止めようと手を伸ばした時に肩にポンッっと手を置かれた。

 ラハさんだね、リアを止めるのを手伝ってくれるのかな?


「大丈夫だ安心したまえゼン殿、君の部屋は私の部屋の中に作ろうじゃないか」


 全然違ったし、まったく安心出来ないな。


「え? 体さんだけなら兎も角、ラハさんと同じ部屋は嫌なんですけど?」


 俺はつい本音を言ってしまう、だってラハさんは事あるごとに俺の首を落とすジョークを言ってくるしさ。

 するとラハさんは生首をプルプルと震わせてから。


「ゼン殿は……ゼン殿は! 私の体だけが目的だったのだな!」


 なんだろうすごい違う意味に聞こえてくるので止めて欲しいんですけど?

 ルナに勘違いされて冤罪が生まれたらどうすんだよ。


 しかしラハさんのアホな語りは止まらなかった、その向こうでリアもルナへのアホな勧誘が止まっていなかったし、主従揃って似た者同士か?


「そりゃーね? 私の体はナイスバディで素晴らしいから気に入る事も分かる! でもそれは私を気に入るという事に他ならないはずだよ、それを……体だけなどと……確かに私の体は体形を維持するために地下のジムに通っているし、食べる物に気を付けて栄養バランスを考えた素晴らしい食事も作ってくれる、さらに体のムダ毛しょ――」


 体さんがラハさんの生首を思いっきり庭園の奥に向けて投げた。


 ラハさんの生首は何かを叫びながら飛んで行く……素晴らしい投擲力だな。


 生首を投げ終わった体さんは、両手を前に突き出し手のひらを俺に向けヒラヒラとさせていて『違うんです首の言った事はちがうんですー--』と体さんが言っているような気がする。


「体さんは調理も得意なんですか? すごいですねぇ、その後はちょっとよく聞こえなかったですけど」


 とフォローしておく。


 体さんはホッっと息……を吐いたがごとく安心したという事を体の動きで表現すると、俺の褒め言葉にひとしきり照れた後に空間から袋を取り出して渡してくる。


 袋の中を見てみるとクッキーのようだ、前にルナにくれた奴かな?

 一つ取り出して食べてみる、もぐもぐ、素朴だがやはり美味しい。


「体さんの手作りだったんですか? 美味しいですね」


 自分の胸をポンと叩いて胸を張っている体さんからは『焼き菓子作りは得意なの!』という幻聴が聞こえる気がする。


「マスターかえろ」


 ルナが声を掛けてきた、リアとの交渉はものわかれで終わったらしい。


 ルナの向こうでリアがハンカチならぬ自分の葉っぱを噛んで悔しがっている、表現が昭和芸人かな?


 俺は体さんに貰ったクッキーをルナの口にも入れてやり、帰る事にする。


「じゃぁリア、また遊びに来るからな、体さんもクッキーありがとう、またね」


「もぐもぐラハ姉様の体さん、今度作り方教えてね」


 ルナは手を振りながら〈ルーム〉に入って行き、俺はルナにお昼は適当に何かメニューで買って食べるように言いつける。

 するとメニューで少し買い物をしたいというので、使っていい予算を伝えてから扉を閉じる。

 そして転移魔法陣へと向かうべくウッドゴーレムさんに案内を頼んだ。


 リアはアホツル毛をバイバイとこちらに向けて振り、体さんも胸のあたりで手を小さく振っている。

 そういった所作といい、なんというか体さんの女子力たけーよな……全身金属鎧なのに可愛いと思ってしまうし。


 ラハさんが言っていた、可愛いと呼ばれないってのは、首から上が原因なんじゃねーかなぁと思った。

お読みいただき、ありがとうございます。


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