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17 水浴び

 俺は今〈ルーム〉の中でダンジョンコアに魔石を吸収させた所だ。


 うむ……60万DP以上あるんだがどうしようかこれ。


 まぁこれは俺の強化のためにルナが身を削って……水浴びなら身を清めての方が妥当だろうか?

 ルナが身を清めて手にいれた魔石だし、使い道をちゃんと考えないとな。


 リアに相談するとして、お礼に渡す品物をダンジョンメニューで選んでいたら時間も経過したし、そろそろ外に戻るかね。


 部屋の外に出て設置されていたテーブルに付き、近くにいたラハさんと雑談をしながらしばし待つ。

 すると俺が行った事のない庭園の奥側からツル髪の毛や葉っぱ服を濡らしたリアと、同じく髪の毛や()()を濡らしたルナが帰ってくる所だった。


 そう、水浴びに行く前に〈ルーム〉に一度戻りルナに水着を選ばせて購入をし、それを着せてから再度送り出したのだ。


 勿論ルナの着替えはシャワー室でやらせたからな?


 リアは俺の姿を見るとテーブル席に勢いよく近づいてくる……文句でも言われるんだろうが迎え撃つつもりだ。


「ゼン!」


「なんだリア、水着の件なら謝らな――」

「あの水着って奴は最高ね!」


 俺の目の前まで来たリアがそう叫んだ。


 おや?


「ヒラヒラが沢山ついていて可愛かったし、上下に分かれていてルナちゃんの可愛いおへそが見える所といい……ルナちゃんのあどけなさや可愛らしさがより際立っていたわ! あれって異世界の品物よね? てことはまだまだ色々なデザインがあるのよね? そうなのよね!?」


 リアが早口でどんどん俺に詰め寄ってくる。

 余りの詰め寄り方に俺は椅子の上で体を少しのけ反らせる必要があり、ちょっと怖い。


「あ、ああ、可愛い水着はメニューにたくさんあったけども」

「そうなのね! なら買いなさい! 全部買いなさい! 買い占めなさい! DPが必要ならこれを使いなさい! 魔石ならあるのよ!」


 リアが空間から魔石を取り出してはテーブルに積み上げていく、口調や目つきが完全におかしい。


 そんなリアの横にラハさんがスっと近づき、その首に軽く手刀を落とした。

 トンッっと小さな音がしたと思ったらリアが崩れ落ち、ラハさんはそれを支えて椅子に座らせている。

 一連の動作に淀みはなく慣れている気がした。


「失礼を致しました、すぐ元に戻りますのでお待ちください」


 テーブルに山積みにされていた魔石を体さんが右手で回収しながら、左手に乗っている頭のラハさんがそう言った。


「慣れているんですね……」


 俺はそう聞かずにはいられなかった。


「マスターリアは可愛い子が好きなのです、ですが暴走しがちな事を自覚もしておられまして自分で可愛い魔物っ子を召喚はしないようにしていたのですが……」


 なるほど、プライベートエリアの警備や雑用がウッドゴーレムばかりなのとか、触れ合い魔物園の魔物がチビだが可愛いの方向性が違う種族ばかりだったのはそれでか……。


 セイレーンやマーメイドのちびっ子とかなら、ルナ程じゃないが可愛い子が呼び出せるはずだものな。

 俺は納得しつつラハさんに確認を取る。


「ルナを見てタガが外れたと?」

「そうなりますね、私もほら、見ての通りに可愛いというよりは美人とかカッコイイという感じでしょう? これはマスターリアの側にいるために仕方なくそうせざるを得なかったのです」


 ラハさんは自分で自分を美人だと言っている……。

 まぁ確かにラハさんは美人だ、そして黒髪も短めだし演劇の男性役をやれる女性って感じで、女子高で女子にモテそうだと言えば分かるだろうか?


「確かにラハさんは可愛いというよりはカッコイイという言葉が似合いますね」


 俺は素直にラハさんの言動に賛成した訳だが。


「くっ……男性はいつもそう言うんだ……私だって『可愛いねラハ』とか言われてみたいのに……」


 自分で言い出したくせに賛成したら拗ねられた、メンドクセェなこの人。

 仕方ないのでフォローしておく。


「いやまぁでもお茶を美味しく淹れられる所とか、リアが椅子に座る時に座り易いようにスッと椅子を引いてあげる部分とか、チビ魔物達に頭を撫でながらエサをあげる時なんかは、女性らしい可愛らしさを感じる時はありますね」


「そうだろう! いやぁゼン殿は分かっているね、私は女性らしい可愛い部分も持っているんだようんうん、それを理解してくれる男性は中々いないんだ……」


 ラハさんは機嫌を直してウンウンと頷い……首がないので口でウンウンと言っている。


 ちなみに俺が褒めた部分は全て体さんがやっている部分だったりする。

 体さんはそれを理解してるのか体をクネらせて恥ずかしがっているが、生首のラハさんは気づいてはいない。

 気付かない事が幸せな事ってあるよね。


 そこへ〈ルーム〉で着替えて来たルナが水着から普段着になって近づいて来る。

 髪が渇いているのはダンジョンメニューで乾かしてきたのだろう。

 1DPで出来るそういう項目があるんだよね。


「マスターお待たせ」

「泉で水浴びはどうだったルナ、いつもダンジョンメニューで奇麗にしちゃうからな」


 ラハさんがルナ用の椅子を出して座るように促している。

 ルナはラハさんと同じナビだからと断ろうとしているが、これからルナの事について話すのだからと説得されて椅子に座る事になった。


「水が奇麗で気持ち良かった、次は泳ぎのスキルも取りたい」


 ルナが機嫌良さげに手をワチャワチャさせてそう言ってくる。

 その手の動きは犬かき泳ぎを表現しているのだろうか?


「なら後で泳ぎの――」

「ううーん」


 リアが呻きながら目を覚ました。

 周りの状況を見回し、そして気絶する前までの自分の行動を思い出しているのだろう。


「さて、ではルナちゃんの事を話しあいましょうか」


 全てなかった事にしやがった。


 いやいいんだけどね?


 まず俺とリアはルナにすでに決まっている俺達のカバーストーリーを説明した。


「分かった、私は後からマスターに合流する……従者の一族の娘なら……ゼン様って呼んだ方がいい?」


 商家の従者の子供ならなんて俺を呼ぶだろか?


「ルナの呼びやすい呼び方でいいよ」

「ならやっぱり『マスター』で!」


 ルナが笑みを浮かべながらそう宣言する、可愛い。


「でだ、俺がデラン商会に勧められてダンジョンで強さを得るって話なんだが、さっき貰った魔石をDPにしてスキルを習得すればクリアできると思うんだよ、基礎レベルは……自分のダンジョンで魔物を呼び出して倒せばいけるよね?」


 俺はリアに確認を取る。


「そうねぇ、ダンジョンマスターが魔物を倒すと魔素が目減りしていくから無限には出来ないんだけど、まぁ魔石を経験値に交換しているって思えばいいわね、出来ればレベル20くらいは欲しい所よねぇ……」


 てことは、俺の部屋の台所とは反対の壁側にベランダや裏庭的な物をDPで拡張して……そこで配下じゃない只の魔物を召喚して倒すのを繰り返せばいいな。


「じゃまぁそんな所だな、次のデラン商会の荷馬車が樹海ダンジョンの冒険者街にやってきた時にルナを連れて来たって事にするとして、後は金を得るのにギルドのカレンさんあたりにオークション出品を頼む事にするよ、家督を奪われて逃げてきた時に在庫商品を持って来たとかなんとか適当に説明してさ、インベントリも教える事になるけどあの人なら大丈夫だと思う」


 俺は自分の考えを皆に示して最後はリアに聞いてみた。


「そうね……格安で出さなければいけるかしら? 異世界の特徴的な包み紙とかは全部外しておきなさいよ? あと一般に出すのならそれと同じ物をダンジョンコアから参加出来るオークションに出品しちゃだめよ? ダンジョンオークションに出すならそこだけに出す何かを系統として一種類考えておきなさい」


 リアは本当に親身になって考えてくれるよなぁ、ありがたい事だ、俺は事前に考えておいた品物をインベントリからテーブルの上にざっと出していく。


 リアとラハさんはそれらを見てびっくりしていて、ルナは前にメニューで見た事あるからそうでもないな。


「ダンジョンオークションにはこれらを出そうと思っているんだ」

お読みいただき、ありがとうございます。


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