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16 ルナの成長

 目の前に浮かんでいるダンジョンメニューをじっと見つめる。


 ルナの強化にかかる時間を示していた時間はすでにあと一分を切っていた。


 もう少し……もう少しでルナは……。


 布団の上の光る繭が解けていく、ちなみにリアやラハさんは〈ルーム〉に入っては来ず外にいる。

 ダンジョンコアのある場所に他のマスターやその配下を受け入れる事はまずしないものだと説明された。

 なんでも場合によってはコアを掌握されてしまう可能性があるんだとか、俺は勿論そのやり方を聞こうとはしなかった。


 光の繭が完全に消えていった、ルナの見た目は小学生低学年くらいから4,5年生くらいへと変化している……寝たままルナの目が開いていき、俺を認識したのが分かる。


 ルナは上半身を起こし俺を見ながら……。


「マスターおはよ」


 そう挨拶するのだった……。


「おはようルナ、調子はどうだ?」


 普通に挨拶を返す俺だったが、内心ではこう思っていた、もう『マスタ』とは呼ばれないんだな……と。


 ルナは立ち上がりラジオ体操のように体を動かして。


「各種インストールは正常に完了……服が小さくて動き辛い……」


「そうか、なら外でリア達も待っているし、着替えてから行こうか」


 ……。


 準備しておいた洋服に着替えさせてから、ルナを促し外へ向かって歩きだす。

 するとルナはタタッっと俺の前へと駆けて俺の手を握ると、入口の扉へ向けて引っ張るのであった。


「早くいこマスター」


 手を握られて引っ張られている俺は心底……本当に心底思った。


 思春期の女の子みたいにお父さん嫌々な感じになっていないようで良かった!!!! と。


 入口を抜けるとそこは触れ合い魔物園の中で、芝生の上にリアが女性座りをしてチビ魔物達の相手をしていて、ラハさんは横に立っている。

 俺達が出てくるのに気づいたリアは、持っていたチビトレントを芝生に置くと立ち上がり。


「ルナちゃんこんにちは、この間はごめんなさいね」


 そうルナに声をかけるリア。


 ただいつものルナならリアの言葉にすぐ反応するはずなのだが…俺と手を握った手を離しリアの正面へと出ると、足を前後にし先程着替えさせたワンピースドレスのスカート部分を両手で摘みながら少し持ち上げ礼を……。


 あれなんだっけか、カーテンとかなんかそんな名前の礼儀作法だよな。


「こんにちはリア様……えと、お邪魔してます」


 ルナの挨拶がぎこちないのは、まだ知識系のインストールレベルが低めだからかもな。


 うん、礼儀正しいルナも最高に可愛いね、でもなぁ……チラっとリアの方へ目を向けるとあいつは驚愕の表情をしていて。


「る……ルナちゃん? いつものようにリア姉って呼んで抱き着いてきていいのよ? そんなよそよそしくされたら私泣いちゃうわよ?」


 実際少し涙目になっているリアだった。


 だがしかし、前のルナだってリア姉とは呼んでいたが、抱き着いて行った事はなかったような気がするんだが……どさくさに紛れて何を要求してんだか……。


 ルナが困ったように俺とリアを交互に見る。


「マスターどうしたら?」


 困っているルナも可愛いな、だがまぁ取り敢えず。


「リア本人がそう呼んでくれって言っているんだし、それでいいんじゃねーかな」


 そう助言する事にした。

 するとルナはリアに再度向き直り。


「じゃぁ……リア姉様、これからもよろしくね?」


 首を少し横に傾げ、そうリアに向けて言うのだった、可愛い。


 ルナの呼び方がリア姉からリア姉様に変化している訳だが、それを聞いたリアの体から『キュンッ』という音が漏れ出したような気がした、そしてリアの鼻息が荒くなっている気がする。


 リアは手を大きく広げて。


「ええ、よろしくね……ルナちゃん、挨拶のハグしましょう」


 馬鹿な事を要求している……そしてルナはリナの要求に応えようとしちゃっているのね。

 俺はルナの襟首部分の服を掴み歩みを止めさせるのだった。


「ちょ! 何するのゼン! せっかくのルナちゃんとのハグを止めるなんて宣戦布告と見なすわよ!?」


 少しアホウになっているリアに俺は冷たい視線だけで応える。

 言葉は一言も発せずただリアを無表情で見てやる。


「あ……いやほら……そのね……そう! この間泣かせちゃったでしょう? そのお詫びと仲直りをね、仲直りをしっかりとしておきたかったのよ! わだかまりが残ってたら嫌だし、ねぇルナちゃん? 私と仲直りのハグをしない? 勿論仲直り記念にゼンには魔石を融通するわ!」


 何を言ってるんだコイツはと思って見ていたが、襟首部分を俺に掴まれているルナが振り返って俺を見る。


「マスター、私はリア姉様と仲直りがしたい」


 そんなに怒ってはいないはずなんだが……まぁルナがいいならいいか?

 変な所を触ったりしたらリアの所からはお暇しよう。

 俺はルナから手を離して頷いてやる。


 ルナはおずおずとリアに近づき、それに気づいたリアは両手を大きく広げルナをガバっと抱きしめる……食虫植物を連想してしまったのは俺だけだろうか?


「ルナちゃんっ! この間は御免なさいね、これで仲直りしましょうね……もちろんもっと仲良くなってこれからもハグもいっぱいしましょうね、それと一緒に水浴びなんかもいいわよね? ふふふ」


 言っている事は不審者なのだが、一応ただ抱きしめているだけなのでセー……いやギリギリアウトか?


「リア姉様と仲直り出来て嬉しい、魔石のお陰で私も強化出来たし、水浴びは……マスターが強化されると私はもっと嬉しい」


 んん? ルナさん?


 なんだろうルナの言動に何か違和感が……。


「勿論仲直り&仲良し記念に魔石は奮発するわ! ラハ!」


 リアが興奮しながらラハさんに呼びかける。

 ルナは別に俺に魔石をあげたら一緒に水浴びするとは言っていないんだけどなぁ……そんな風に聞こえなくもない感じではあったが。


 ルナさん知識を得て小悪魔になった可能性が?

 だってリアに見えないように自分の背中に手を回して、たぶん俺に向けたピースサインを見せて来ているんだもの……。


 そんなルナを見ていると、ラハさんが俺に近づき空間から魔石を出して渡してくれる。


「あ、ども、三個もいいんですか?」

「マスターリアの命令ですから」


 貰った魔石は前回の物と同じくらいの物が三つだった。

 俺への謝罪がメインの時は一つだったのに、ルナと一緒の水浴びがかかったら三倍になりました……別にラハさんに対して個数は言ってなかったと思うんだけどなぁ。


 とリアをよくよく見てみると、アホツル毛部分が3の数字を示していた、芸人か?


 ラハさんもルナの出していたピースサインには気づいていたようだが……。

 俺は本当にいいの? という意思を籠めてラハさんを見る。


「良いのですよ、マスターリアもルナさんの変化を理解しています、それでも尚貢ぐ行為に楽しみを得ているのでしょう……はぁ……」


 溜息をつきながらラハさんはそう言った。


 成程、クラブでお気に入りのホステス嬢に弄ばれているのを理解しつつも、貢ぐ事を楽しんでいる大富豪の男性って感じかね?


 ……うん。


 俺は、ルナの低い背に合わせて少し屈んでハグをして頬ずりをいつまでも止めないリアを見つつラハさんに宣言する。


「控えめにいって変態ですよね」

「控えなくてもそうですね」


 ラハさんも体さんも同意してくれた。


 そしてあの二人はこれから水浴びに行く相談を初めている。

 止めるべきだろうか? いやでもルナは別に嫌がってはいないんだよな……リアも女性型だし問題は……むむん。

 俺が悩んでいるのを感じたラハさんが。


「大丈夫ですゼン殿、マスターリアはルナさんに対して妙な事はしないはずです、純粋に水浴びをするだけだと保証しますよ、それでも何事かがあったら私の首を差し上げます」


 いや首って貴方はデュラハンじゃんか……。


「普通ならそのセリフは自分の生死を賭けて保証する意味で使うのでしょうけど……ラハさん首だけで存在出来るじゃないですか、それを貰ったら俺はどうなるんです?」


「勿論デュラハンの首を貰うという事は婚約の証ですね、結婚式の初めての共同作業はゼン殿の首にナイフを入れて切り落とす事になるでしょうか? お揃いの夫婦って憧れませんか?」


「憧れません! ラハさんのデュラハンジョークはブラックが過ぎますよ、せめて首を落とさない異種族婚ネタにしてくださいよ」


 毎回首を落とされるジョークネタは背中が冷っとするんだよなあ。


 ラハさんの生首は俺を不思議そうに見つめて。


「ジョーク? ゼン殿は同種族婚より異種族の方が萌えるたちなんですねぇ……仕方ない、私も体も頑張りますね」


 ん? なんでジョーク部分に疑問符が……なにを頑張ると? いやこれは聞き直さない方がいいと俺の勘が言っている。


 何か危険な気がしたので俺はラハさんとの会話を止めて、水浴びに連れていかれそうになっているルナに意思確認をしに行く事にした。


 ルナに意思確認をして会話をしていたら最終的に何故か魔石が三個追加になっていた。


 小悪魔か?

お読みいただき、ありがとうございます、累計PVが千を超えていて嬉しくなって何度もその画面を出して眺めてしまいました、これからもよろしくお願いします。




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