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13 ホムンクルスナビゲーダー強化

 まずい焼きそばを食べ終わり、今俺とルナは食後のお茶を飲んでいる。


 お茶を飲み一息ついてから俺はルナに話を始める。


「なあルナ、少し大事な話があるんだ、今日は食後の映画を止めて、その話を聞いてくれるか?」

「おけまる推参」


 ルナが何かの映像か漫画かで覚えたセリフを返してくる、何か少し違うような気もするが小さな事だ。


 俺はルナにゆっくりと時間をかけて説明していく。


 俺が気絶したように、不測の事態がいつルナの身に起こるか分からない事。

 能力値がほぼ初期値のルナの体ではそれに耐えられない事。

 現状俺のレベルを抑えるためにコアに貯めている経験値で、ルナの基礎レベルを上げておきたい事

 それと共に身体的な力を得るのならそれを振るう知恵も、ある程度ないと危険な事

 リアがお土産とお詫びの両方の意味を籠めて大きな魔石をくれた事


 それをDPとして使えばルナのナビゲーターとしての能力を上げる事が出来る事


 今のルナが全てを理解出来ているとも思えないが、やれる事、やって欲しい事をすべてルナに説明していく。


「と、いう訳だ……まずこの魔石をDPに変換しちゃうね」

「はふぅ……」


 ルナは知恵熱を出しているようにも見えるが、俺の事を真っすぐ真剣に見てきている。

 大事な話だと分かるのだろうね。


 俺は魔石をコアに吸収させる、ゴブリンの魔石なんて小指の先程度の物なのだが、リアがくれた魔石は俺のこぶしより大きいし色や艶も違う……。


 うわぁ……十万を超えるDPを得てしまった……ルナを泣かせた代償だものなぁ……リアも奮発したんだろうさ。


 ホムンクルスはDPでアップデートというか成長させる事ができる。

 前に女性ヴァンパイア型で試算した時は二百万DPだったが、後から能力をつけると余計にDPを食うっぽいので、仮にルナをあの試算したタイプへと強化すると二百万DPでは足りなくなる。


 とはいえ十万DPでも十分に強化は出来る。


 俺はルナにメニューを見せながら説明する。

 例えばルナにつける事が出来る〈剣術〉スキルがあるとして、そのレベル1から順々にレベルの高い物を覚えさせようとすればするほどDPもたくさん必要になるのだと。


 一通り説明の終わった俺は、まず取って欲しい最低限の物を示し、残りはルナの好きに選ばせる事にした。


 勿論全ての責任をルナに丸投げする訳じゃなく、結果は一緒に受け止めるし責任も一緒に負う。

 ただもうルナは俺の家族であって、只の部下とか配下ではないと思っているので、自身の意思で自身の在り方を選んで欲しいのだ。


 なんて偉そうな事を思ってはいるが実際は、ある程度の常識を覚えたら、後は全て一本伸ばしで自身の身を守れる戦闘系にしてくれないかなーとか思っている。

 十万を超えるDPは多いよ、多いけど色々取ると考えたら少ないとも言えるからね……。


 むーむーと唸りながらメニューの項目を眺めたり項目の予約を入れて実際にかかるDPを見比べてみたりしているルナ。


 ルナは一生懸命考えていて、俺も横でじっと決まるのを待っている。

 あれこれと口を出すのは簡単だ、だがそれでは知識を得ても自我が育たないのでは? と思っている。

 何故なら、配下の性格を弄るようなメニューの項目が存在しないからだ。


 自分で自分の道を選ぶ、それこそがルナの自我を強固にするのだと思いたい。

 でもまぁ何にせよ……、強化インストールを始めたら今のルナはいなくなって……いや知識を得てもルナはルナか、俺が本当に心配している部分は……成長をしたルナが……。


『マスターの脱いだ服を私の服と一緒に洗濯籠に入れないでください!』


 なんていう思春期にありがちな事にならないかって事だ!!!


 あああああああ、考えただけで脂汗が湧いてくる……。

 いやいやルナは良い子だもの、そんな事は言わないよね? ね?


 お友達に見られると嫌だから、家から一緒の時間に出てこないでとか言わないよね!?


 もう一緒にお風呂に入るのはやめるって言わな……いや、うちはシャワーしかなかったし。

 そもそもルナはダンジョンメニューにある身体浄化を使い、一瞬で奇麗になる奴でやってたんだった。


 俺はほら……日本での習慣があるから、なんとなくシャワーを使いたくなるんだよね。


「マスタ」


 ああ……ルナに無視されたり臭いとか言われないだろうか?


「マスタ」


 いやいやそれよりも――

「マスタ!」

「うわ! っとルナどうした?」


 俺は服をルナに引っ張られて呼ばれた事に気づく。


 ルナはメニューを指さしながら。


「ルナきめた」


 そう言うのであった。


 俺はそのメニューを見る……そうか……ルナはこういう成長がしたいんだな……。


「問題ないな、これを開始するとルナは今の自分には戻れない事になる、それでもいいか?」


 ルナに最後の確認をする。


「ルナはマスタナビ! まかせるでござる!」


 立ち上がり胸を張り俺に堂々と宣言するルナだった。


 そうか……よし!


「では、ダンジョンマスターゼンのナビゲーターであるルナよ! 俺は君に新たな力を与える」

「マスタどんとこい」


 俺はいつも使っているお布団を敷き、ルナをそこに寝かせる。

 そして空中に浮かぶメニューに予約してある強化の開始ボタンを押した。


 寝ていたルナに光の糸の様な物が覆い始め、瞬く間に光り輝く繭が出来上がる。

 最初の時と違うんだな……。


 メニューには強化までの残り時間がカウントダウンで示されている。

 後31時間16分か、明後日の朝までかかるな……それまでは狩りはお休みしてルームに籠るとしようかな。


 ……と思ったが……明日も樹海ダンジョンで魔物狩りをしてこないとな……。


 それはなぜか?


 ……ルナのやつ……ダンジョンコアに入っていたDPほとんど全部使いやがった! 3DPしか残ってやがらねぇ! むしろそこまでギリギリに使う方が難しくねぇか!?


 普通はもう少し残すよねぇ? 残すよねぇルナさん?


 ってそうだった……その普通という常識を今回の強化で覚えるんだった……やってくれたなぁ……。

 ……くくくあははははは、はぁ……目覚めたらこの話をルナにしよう、常識を得たルナがどんな反応するか楽しみだね。


 なんだか変わってしまうルナの事を怖がっていた部分もあったんだが……今はすごくお前に会いたいよ……ルナ。


 DPがないと映画も見れないし漫画も読めない、〈ルーム〉の最低限のインフラが俺の魔力で動くのが幸いだったな……でもDPで拡張した場所のインフラはDPを消費するんだよなあ……。


 コアに使っちゃまずい予算を分けておく機能があったはず……まずそれを設定しておこう。


 それといざって時の魔石貯金もインベントリにしておこうかな。

 取り敢えずメニューを消してDP消費を止めて、やれる事もないので光る繭の載った布団の隣に俺の布団を敷き寝る事にする。


 おやすみなさい。

お読みいただき、ありがとうございます。


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