123 約束の食事会
今日はカレンさんやセシリーさんと高級レストラン? で、ご飯を食べながら面白おかしい話を聞かせてくれるというので、食事会に来た訳だが。
この世界にドレスコードがあるのかは知らないけど、服装に関して特に何も言われていないので。
ワイシャツにジャケットとネクタイにパンツ……下着の事でなくな、長ズボンとかスラックスとか言えばいいのかなぁ……いまだにここらの名称の扱いがよく分からんが、そんな感じの格好でいいかなーと思って着てきている。
まぁそんな格好で高級な宿屋に行ったら、周りにジロジロ見られちゃったよ……。
よく見たらそんな格好している奴いないのな!
金持ってそうな商人とかはハーフコートとウエストコート……チョッキとか言われている事も?
まぁそれがすっごい刺繍とかで彩られていて、ネクタイじゃなくネッカチーフをもっとふわふわにしたような物とかを、首回りに着けていたりするね。
もうね、ぱっと見が派手! という感じの人が多い。
俺のきっちりした格好ではあるけれど、刺繍とかがまったくない服装は、地味に見えているのかもしれないので、ちょっと恥ずかしいね。
それで宿屋の従業員さんに案内されたのは……。
あれ? レストランというか食事処じゃないの?
ここって普通に泊まる用の部屋だよね?
しかも上階だからお高い部屋で……えっとカレンさんの予約なんだけど、誰か他と間違ってない?
合っている? ……そうかぁ……。
ふむふむ、部屋に食事を運んでくれるサービスがあるのね、なるほど。
ゆったりと会話をしたいから、他の人がいる食事場所を嫌がったのかな?
まぁ案内ありがとう従業員さん、あ、これチップね、どもどもー。
コンコンコンっとな、ゼンでーす。
俺が名乗ると部屋の扉が空き、可憐なハーフエルフのカレンさんが、茶色のお団子髪……じゃないな……いつものお団子髪は解いていて、背中に流しているセミロングって感じ。
「い、いらっしゃいゼン君! こちらにどうぞ」
そう言って部屋に出迎えてくれたカレンさん? なのだが……。
……。
まずカレンさんの体形の話をしよう、女性のそういう話をするのは正直良くないのだけど、スレンダーで可憐なカレンさんはお胸様が薄い。
そして、カレンさんの今の格好なのだけど……うーん、ボディコンって言えば分かるかなぁ?
体にピッタリとした、布地の少ない黒のワンピースドレスという感じで、肩紐部分も細くて胸元とかガバッと大きく空いていて、そして極めつきは短いスカート部分の片側にスリットが有り、足の上の方までものすごい見えちゃっている……。
ちょっと派手過ぎじゃないかなぁ? と思ってしまう。
カレンさんはもっとこう、可憐な感じなのが似合うんじゃないかなぁ……こういう服装はむしろセクシーな褐色肌ハーフ魔人である、セシリーさんにこそ似合うと思うんだけども……。
まぁ男として女性の服装は褒めねばなるまい……ええと良い所良い所……。
「おじゃましますカレンさん、えーと……今日のカレンさんは、ほっそりとした長い脚が大胆に見えてしまってドキドキしちゃいますね」
「そ、そうですか? ゼン君に褒めて頂けたのなら頑張った甲斐もあります!」
下着とか見えちゃいそうで心配するドキドキなんだが……てかその格好だとドロワーズじゃ無理だよね? もしかしてヒモパン?
俺が知らなかっただけで、異世界女性下着にはもっと普通な奴が流通しているのかもしれないな。
……。
……まさか履いてないって事はないよな?
そうして寝室だけでなく、リビングが付随しているような広い宿泊部屋へと入っていく俺とカレンさん。
その部屋の中のリビング的な場所には、食事がセッティングされたテーブルがすでに用意されていて、そこの椅子に座っていたセシリーさんが立ち上がり。
「いらっしゃいゼン! わー……渋めの服だわね、あんまり見た事ない形だけど似合っているわよ!」
セシリーさんが俺の服装を褒めてくれるので、お返しに俺もセシリーさんを褒め……。
……。
セシリーさんの体形の話をしよう、女性のそういう話をするのは正直良くないのだけれど、ナイスバディでセクシーなセシリーさんはお胸様が大きい。
そして、セシリーさんの今の格好なのだけれど……うーん。
純白な布地でレースやフリフリが各所に施されたワンピースドレスで、別荘地で見かける深層の令嬢と言えばイメージ出来るかなぁ?
手の袖も長めだし、スカートの裾も長めで肌を余り見せない可憐で可愛い系の服装だね……でもセシリーさんの大きな胸がドカーンと主張していて……。
正直な話あまり似合っていないというか……。
もっとこうセシリーさんには、セクシーなドレスの方が似合っているんじゃないかなぁと思う。
それこそカレンさんが着ている黒のドレスとかが似合うんじゃないかなぁ?
そしてカレンさんには、セシリーさんが着ている可憐で可愛いドレスがすごい似合いそうだ。
まぁ男として女性の服装は褒めねばなるまい、ええと、良い所良い所……。
「こんにちはセシリーさん、白と黒の対比でセシリーさんの素敵な角が際立っていて可愛い服装ですね」
「ありがとうゼン! 同僚の服を参考にしてみたの、へへ」
セシリーさんが頭の片側だけにある黒い小さな巻き角を触りながら照れている。
うむ、日本で周りの女性達に鍛えられたからなんとかなったか……。
でもなんだろうこのチグハグな感じは……まぁ日本でも自分に似合わないファッションでも好きだから着るって人はいるし、そういうのが好きならしょうがないよね……。
「さぁ座ってゼン君、泊まれる部屋なら他のお客を気にせずに、落ち着いてご飯も食べられると思って用意したの、別に他意はないからね!? ……本当よ?」
「ばかカレン……ほらゼンも座ってよ! たくさんお酒も用意したから、酔って寝ちゃっても大丈夫なように泊まりで予約したから安心してね」
それは大丈夫です、いざとなれば〈光魔法〉で体内の酒精を毒と見なして浄化出来ちゃうので。
そのテーブルはわざとなのか丸い物になっていて、俺達は三角形を形作るような位置に座った。
この世界の上級な飯は初めてみるけど……うーん、まぁ食べてみないとあれか。
「お招きありがとうございますカレンさんセシリーさん」
「こちらこそ、ゼン君と一緒にプライベートでお話しをしたいと思っていたんです」
「ゼンと私達の友誼に乾杯しましょう」
「「「かんぱい」」」
まずはワインを頂く俺達、そうしてご飯を食べながらお話しをしていく。
ちょっとずつ色々出て来るような食事じゃなく、メインの肉以外はそれぞれに分けられてすでに置かれている感じ。
メインのお肉だけは主催がこの場で切り分けるみたいだね、それはカレンさんがやってくれた。
うん、意外と美味しい。
味付けは果物の甘味や酸味を生かしたソースとか、香草の使い方が上手いな。
ルナはどっちかっていうと知識が日本というか地球寄りだからな、こちらの世界風の調理はちょっと新鮮な気がする。
……。
もぐもぐ。
「ええ? 冒険者ってそんな馬鹿な事するんですか?」
「そうなのゼン君……困っちゃうわよねぇ」
「普通はあんな事思いつかないわよねー、あ、ゼン、お酒のお代わりどうぞー」
あーどもども、じゃお返しにカレンさんとセシリーさんも、お酒のお代わりどうぞー。
……。
ごくごく。
「いやいやいや、さすがにそれは冗談ですよね? カレンさん?」
「本当なんだってばゼン君! ねぇ? セシリー」
「あ……うん、そーだよーほんとー、ゼン、お酒のおかわりどうぞー」
あーありがとうございます、おお! 今度は違う酒かぁこれも中々、じゃお返しにカレンさんとセシリーさんもどうぞー。
……。
もきゅもきゅ、うーん、丁寧な仕事だなあ、それにこれは上級クラスのオーク肉かなぁ?
「でねぇ~そのアホ上司は毎回訳のわからないことをね~きいてる? ぜんきゅん~」
「はい聞いてますよカレンさん、大変なんですねぇ」
「かれんばっかりずるいわよ、ゼ~ン~おさけのみなさい~なんでよわないのよ~」
はいはい、む、これは樹海ダンジョン産のブドウを使った赤ワインなのでは? やばい美味さだ。
カレンさんとセシリーさんも飲んでみてくださいよこれ! すっごい美味しいですよ!
あ……でもちょっと酔って来たので、こっそり自分に酒精を毒と見なした浄化魔法をかけておこう。
うん、酔いも消えてスッキリだ。
身内の飲み会以外ではあんまり羽目を外すなって、日本にいた頃に周りの女子にも良く言われてたっけなぁ……懐かしい。
ゴクゴクッ、でも美味いなあこれ。
……。
「ぜ~ん~く~ん~」
「ぜ~ん~のみなしゃい~」
「はい、頂きますね、ご返杯もどうぞ~」
ゴクゴク、うーん……部屋といいご飯といい、この高そうなお酒といい、お支払いとか大丈夫なんだろうか?
二人は奢りだって言ってくれたけど……うーむ……。
もぐもぐ、デザートは洗練されてないなぁ、菓子パンみたいだなこれ。
……。
……。
あれ?
「ぜんきゅん~スースー」
「ゼン~クークー」
「もしもーし……ありゃま寝ちゃったか……」
酒弱いのか?
まぁそのために二人が泊まる用に部屋を取ってたのかもな、取り敢えずベッドに運んじゃうか。
よっこらしょっと……ったく、男と飲んでこんな無防備な姿を見せるなんて、今度会った時にちょっと叱っておかないとなぁ。
日本でもちょくちょくそういう娘がいたよなぁ……危機感を持ちなさいって良く叱ったっけか。
カレンさんとセシリーさんを、何人も一緒に寝られそうなすごく大きなベッドに寝かせてシーツを掛ける。
さすがに服は脱がせられないので、そのままな事は勘弁して貰おう。
さてと……帰るにしてもだ、ここってオートロックなのかなぁ?
……鍵どうすんべ……仕方ない、鍵開け用のスキルを取るか、まぁ今回は外から閉めるために使うんだけどな。
……。
そうして夜遅めだったが宿屋のフロントに人がいたので、カレンさん達の宿泊費と飯や酒代をすべて払ってから帰る事にする。
面白い冒険者ギルドのあるある話を聞かせてくれたしな、そのお代だ。
……大銀貨4枚以上? まじで?
あの二人は食事会のおごりでどれだけ使う気だったのだろうか……。
酒もご飯もそこそこ美味しかったし、異世界も侮れないね。
そんな感想を思い浮かべつつ。
おやすみなさい、と心の中で彼女達にそう言って家路につく俺だった。
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