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106 一人旅 味方強化

 海岸線を辿るような旅路はノンビリとした物だった。


 まぁ、ガタゴトと音を響かせながら、左手に海が見える街道を走る荷馬車には俺しかいないんだけどな……。

 ルナ達は例の如くレベリングだ。


 アイリのレベル込みで全員20以上まで持って行きたいからだな。

 なんでそんなに急ぐのかと思うだろう?


 どうにも悪党共には、女子供ばっかりの美味しい獲物な荷馬車に見えちゃうらしいのよね。

 しかも最近はルナも〈隠密〉切ってたからさ、何故かメイドの美少女がいっぱい乗っていて、大人の男が俺一人しかいない荷馬車……そりゃ狙われるわ。


 なので皆に自分を守れる力をつけて欲しくて、レベリングを優先させている。


 ドワーフ鍛冶屋のカンジさんに頼んでいた水中用の槍は出来ていたが、ウッドゴーレムの装備がまだ出来ていなかったので。

 なんとなく素のウッドゴーレム姿で護衛に出すのは嫌だと思っていたのが、良くなかったかもな。


 でもさ、素のウッドゴーレムで護衛に出していると、俺らが魔物に襲われていると勘違いする馬鹿とか出そうじゃない?

 ってルナに言ったら『服でも着せればいい』と返された。


 成程確かに!


 目から鱗だった……。


 そうして今はウッドゴーレム一号に大き目のローブを着せている、もう一体の二号はレベリングのお手伝い中。

 という訳で俺は寂しく一人……馬型と人型のウッドゴーレム達と旅をしている訳だ。


 誰か呼ぼうにも、マーメイド達もレベリングに同道しているしなぁ……。


 そろそろ俺やルナのレベルも頭打ちという感じで、マーメイドのマリーと一緒にホムラの火山島とかでレベリングをこなしたいのだが。

 ホムラやスイレンさんは、よく寝てたりお散歩してたりするので、連続してやれる事でもないんだよね。


 そんで今の俺のレベルが34でルナが31だね。


 拠点島はマナスポットの真ん中をダンジョンで中途半端に塞いでいるので、自然に湧いて来る魔物が低レベルな奴らになる。

 そんな低レベルゴブリンやオークを倒していると、レベル20越えあたりから急に上がり辛くなるっぽいので、まず皆には20を目安に上げて貰っている。


 ただもうセリィがそんな壁であるレベル20になっているんだよな……。

 もうさぁ、一般の人社会だとレベル20で戦闘系スキル持ちって言えば、中堅とかベテランとか言われる人達と並んじゃうんだよね……。


 普通の冒険者とかはレベリングとかしないからさ、お金を稼ぐのが目的であって強くなるのはその結果という考え方が一般的っぽい。

 インベントリとかがなかったら、持ちきれないドロップや肉や素材を放置して倒し続ける事になるレベリングは……勿体ないって思っちゃうんだろうね。


 新たなレベルの指標を決めた機会に、配下には固定スキルを追加した。


 セリィとダイゴには〈格闘〉を。

 ローラには〈身体強化〉を。

 そしてアイリは元々〈氷魔法レベル2〉と〈魔力制御レベル2〉を持っていたので、〈投擲〉〈気配感知〉〈悪意感知〉〈水泳〉〈格闘〉〈身体強化〉の各種レベル1固定付与をした。


 アイリは魔法あるんだし投擲いらなくね? って言ったら、どうしても必要だと熱望された。

 ……投げ銭をするのに必要らしい……それなら仕方ないねと付けてあげた。


 美少女なルナ達がいる時は、村や街を出た後に悪党に襲われたもんだけど。


 俺とウッドゴーレム達だと何も来ねーなぁ……いや、『光の矢』俺がそう呪文というかスキルにお前を使うという意思を籠めつつ唱えると、その名の通りに光の矢が街道の脇に飛んでいった。


 ウッドゴーレム一号がそれを追いかけて、しばらくするとビッグラビットという肉が食えるウサギ型の魔物を持って帰ってきたので、俺のインベントリにそれを仕舞う。


 この手の魔物がちょいちょい〈気配感知〉で見つかるくらいかな。

 ほんと、暇だよね、話し相手が欲しいわ。


 ……。


 アイリには俺の事を話してから、ホムラやリアとも会わせて宴にも参加させた。

 本人は驚いていたけど、その時に話してくれた事がちょっと驚きで、俺の特異さには気付いていたという話だった。


 あれぇ? ただの商人のフリをしてたんだけどなぁ……通用していなかったみたいだ。


 ドリル嬢もそれは気付いていたらしく、高位貴族や王族なんかには書物に残さない口伝が存在しているとかで。


 世界には国家より強い存在がいくらでもいて、彼らは人社会に出て来る事もあるとかなんとか、そういう話が公爵家にも伝わっているらしい。


 見た目が人間でも実際は長命種である事も多く、ハイエルフや亜人が人の姿に変化している可能性とか、人間を超えた存在である超越者? 超人類? っていうイメージがあるとか?


 そんで彼らの中には人社会に同調する者もいるので、人ではないからといたずらに攻撃的に振る舞うなかれ、むしろ縁を結べは利益になる。

 とかなんとか……そんな話が一部の王侯貴族に密やかに伝わっているっぽい。


 リアやマジョリーさんみたいに貴族やらと関係があるのもいるっぽいし、人側にそんな話があってもおかしくないか。


 そういう存在はダンジョンを拠点として利用している事も多いって認識らしく。

 ダンジョンを経営しているという考えに至らないのは、神の認識阻害のせいかなって思う。


 ダンマスの関係者になると理解出来るみたいだけどね。


 じゃぁ俺に嫁がどうこうも利益のために縁を結ぼうとしてたの? ってアイリに聞いたら。


『最初は公爵家のためもありましたが、今はまっっったく違います! 自身の意思で推しと縁を結びたいと思っていますから、そこは勘違いしないでくださいまし』


 と何度も何度も何度も何度も念を押された。


 ……。


 ……。


 でまぁ今困っている事があってさ。


 うちにいるシャドウファントムの数が、護衛として足りなくなっちゃったんだよね。


 ファンファンを含めて全部で4体いたんだけど、ルナとセリィとローラのメイドスカートの中に三体とダイゴの影に一体使ってたからさ、またリアに代理購入を頼んでもいいんだけども……。


 実はリアも買えるけど安くはないっぽいんだよなぁ……護衛に便利だからと高い買い物をさせちゃってたみたいだ。

 放棄された廃墟な墓場とか、そういう場所だと安めに購入出来るんだって……行きたくねぇ。


 まぁそんなシャドウファントムは、ダイゴがアイリ姉ちゃんに渡すべきだって男らしい事を宣言しちゃったからなぁ。

 あいつの意を汲んでダイゴにつけていた奴は、アイリのメイドスカートの中に潜って貰うとして。


 じゃぁダイゴの護衛は? となると難しい、ゴーレムだと邪魔だしな。


 かといって新たなシャドウファントムを購入だと、ダイゴの男らしい宣言が薄まっちゃう気がするので……。

 そこでなんとダイゴには、マジョリーさんに頼んだ魔道具を持たせる事になりましたー、ワーパチパチパチ。


 ダイゴは最初遠慮していたんだが、ヒーローアクション物のTV番組とかに出てくる、変形する装備だと言ったら飛びついてきた。


 まぁ魔道具の自律意識の元で主人の危機を感知して防御シールドを展開する、とかそんな感じの物だね。

 そして普段は腕輪だけど短めのメイスにも変化するという代物で……普通に買ったら大金貨が十数枚飛んでいく品物らしいです! お高い!


 ……勿論俺にそんな金はないので、マジョリーさんには研究協力払いと、天然石の直接購入権で手を打って貰った。

 つまり……実質タダだ! しかも天然石を購入してくれるお得意様が出来るという一石二鳥。


 それと俺の特異性がバレないように、今までずっとオークションのペリドットを買い占めていてくれてたらしい事も判明した……ありがたや。

 ってか、あの粒石ってそんなにすごい物だったの?


 まぁそんな訳なので、オークションに天然石を出すのは止めました。


 俺の世界の物を出すと混乱の元になると、マジョリーさんにも言われたので。


 今は、ホムラが酒の代金として各地から持ってくる魔物の食えない部分の素材や、マーメイドが海から取ってくるサンゴとか素材になる貝殻なんかを、ちょこっとずつダンジョンオークションに出している。


 まぁボチボチ売れるんで、そこそこのDP稼ぎにはなる……かな?

 お小遣い魔石でのDP収入が一番大きいから麻痺しているかもな。


 前に考えた新人ダンマスの収入から考えると、十分に美味しい数字のはずだ。


 そうそう、ダイゴの護衛の事を考えていた時にさ、ホムラやマジョリーさんの場所へ〈ルーム〉の〈入口〉を開けていると、召喚魔物の値段や種類が変わるかなーって試してみたんだけど。


 ホムラの所は火属性の魔物が買えて、マジョリーさんの所はリアの所と似ているのか、あんまり変化はなかった、値段はちょこっと変わるっぽいけどね。


 属性のある配下って、そういう属性の場所にいないと辛いよね?

 俺の拠点島はどっちかっていうと大地属性と木属性と水属性か?

 火属性とか風属性は住みづらそうなんだよね……なので火属性の魔物はパスした。


 マジョリーさんの所の方が、ウッドゴーレムがちょっと安かったのはショックだったよ……。

 リアの方は植物型が安めだったね……なので、島のあちこちに防衛用の植物系魔物の配下を召喚して設置しといた。


 トレントとか諸々ね。


 そして召喚や配下強化でまたDPが枯渇した。

 俺のお財布はいつもすっからかんになるなぁ……貯蓄の仕方を誰かに教えて欲しいもんだ。

お読みいただき、ありがとうございます。


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