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397話 氷龍の情報を求めて1

「それじゃ、帝都に行ってくるよ」


 広間の入口で、俺は洞窟に残ることになった三人の少女達へとそう告げた。氷龍に襲われた、翌日の午前中のことだ。

 俺は今から、氷像と化したフィリーネを救う方法を探すために、帝都へと向かうところである。同行するのはクリスティーネと、それからシャルロットの二人だ。


 冒険者の装いに身を包んだ俺の前で、アメリアが眉根を寄せる。


「本当に大丈夫なの? 騎士達に追われたのって、昨日のことでしょう?」


 どうやら少女は、俺達の身を案じているらしい。

 確かに、大聖堂でクリスティーネを攫ったのが俺達だと知られ、騎士達に追い詰められたのはつい昨日のことだ。普通に考えれば、帝都に行くことは危険なようにも思える。

 だがその言葉に、俺は軽く頷きを返した。


「あぁ、多分大丈夫だ。向こうはそれどころじゃないはずだからな」


 あくまで俺の見立てだが、城側は第三皇子やエリザヴェータのことで手一杯のはずなのだ。彼らが氷漬けにされたことに比べれば、俺達のしでかしたことなど些事に過ぎない。

 向こうには、俺達に構っている余裕などないだろう。


 それに何より、俺達を追っていた第三皇子が被害に遭っているというのが大きい。俺達を捜索していた者達の、旗振りをしている者がいなくなったのだ。それも、彼に協力していた騎士達も、残らず氷像となっている。

 残った騎士達だけで、俺達の捜索を続けるだろうか。いや、そんな人手があるのなら、皇子や皇女の身を何とかする方が、ずっと優先度が高いだろう。


 もちろん油断は禁物だが、数日前よりも危険度はずっと下がっていると考えられる。

 そう説明すれば、アメリアは納得したような表情を浮かべた。


「なら、いいけど……一応、気を付けてよね」


「あぁ、もちろんだ……フィナの事、頼むな」


「任せなさい。ジーク達が戻ってくるまで、ちゃんと護るから」


 俺の言葉に、アメリアは力強い頷きを返した。

 魔術によっては治すことが出来なかったフィリーネだが、それで全ての干渉が無意味かどうかはわからない。衝撃を加えれば、その身が砕けてしまう可能性もあるのだ。


 よって、フィリーネを元に戻すまでの間、彼女を外敵から守る必要があるのだ。ここに残る少女達には、フィリーネの様子をよくよく見てもらう必要がある。

 アメリアが残っていれば、多少魔物が侵入してきても大丈夫だろう。


 そうして、俺は最後にフィリーネの姿を一瞥し、クリスティーネとシャルロット共に帝都へと足を向けた。




 洞窟から帝都までは、もう何度か歩いた道だ。俺達は迷うことなく森を抜け、帝都が見えるところまでやって来た。

 そうして、まずは昨日氷龍が現れた辺りまで足を運ぶ。


 そこには、既に氷像と化した騎士達の姿はなかった。

 おそらく、その他の騎士達の手によって、別の場所へと移されたのだろう。もしここに残しておけば、魔物に襲われて砕かれる恐れがあるからな。


 そのまま、俺達は帝都の外門へと向かう。

 門の傍には、昨日にはなかったものがあった。土魔術で作ったのだろうか、俺の身長よりも高い土壁で、一定の範囲が囲まれているのだ。

 そこには両手を広げたくらいの出入り口が設けられており、そこにも武装した騎士が配置されている。


「ジークさん、クリスさん、あれは何ですか?」


「昨日はあんなのなかったんだよ、シャルちゃん。う~ん、何だろうね?」


 シャルロットの言葉に、クリスティーネが首を捻って見せる。

 少し気になるが、そちらに用はない。俺達は土壁の方へと視線を送りながら、門の方へと歩いていった。

 門にはいつものように、騎士が待機している。その数は四人だ。どの騎士も、昨日とは異なる者のように見える。


 今日はまだ帝都に入ろうとする人の列が出来ていないようで、俺達はその足で騎士達の方へと歩いていった。

 騎士とは軽い応対を交わすだけで、すぐに帝都へと入る許可が出た。やはり、俺達については情報が共有されていないようだ。情報を持っている者が、軒並み氷漬けにされたからな。


「なぁ、あれは何なんだ?」


 帝都へと入る前に、俺は騎士へと言葉を投げかけた。指し示す方向にあるのは、門の傍に造り上げられた土壁だ。あれが何なのか、一応聞いておいた方がいいだろう。

 俺の言葉を受け、騎士は「あぁ」と言葉を返す。


「実は昨日のことなんだが、町のすぐ傍に龍が出たらしいんだ」


「へぇ、龍が?」


 その事については既に知っているので、若干淡白な反応を返してしまった。言ってから、もう少し驚いて見せた方が良かっただろうかと振り返る。

 だが、騎士は俺の反応を不審に思った様子はなく、言葉を続ける。


「それで、町の外に出ていた騎士達が、氷に変えられてしまってな。放置しておくのは危険だから、一箇所に集めて守ってるんだ」


「なるほど、それは大変だな」


「まったくだよ。この先どうなることやら……」


 氷像と化した騎士や第三皇子達は、あの土壁の中へと運ばれたようだ。確かに、ああしておけば魔物も手出しは出来ないだろう。

 町中へと運び込まなかったのは、保管する場所がなかったとか、運び込む人手が足りなかったなど、何らかの理由があるのだろうな。


 ひとまず、これで氷像に変えられた騎士達の所在も確認できた。やはりというべきか、彼らもまだ治す手段が見つかってはいないようだ。

 何か方法が見つかっているのなら、情報も得られたのだが。部外者が立ち入ることは出来ないだろうし、ひとまずあちらは無視してよいだろう。


 それから俺は騎士へと礼を告げ、クリスティーネとシャルロットと共に、帝都の中へと足を踏み入れた。

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