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予言の子~とある予言のお話~

昔のお話です。

予言を信じる国と予言を信じない国、二つの国がおりました。


ある時、予言の国で双子の赤ちゃんが生まれました。

男の子と、女の子の双子。


その双子の予言がありました、双子のうち女の方を外へ出してはならない、外へ出したら国が亡びる――と


そんな予言を受けた女の子のお話です。


https://www.alphapolis.co.jp/novel/616083338/57558575

アルファポリスでも掲載しております。





 昔のお話です。

 予言を信じる国と、予言を信じない国が存在しました。


 予言を信じる国の公爵家に双子の赤ん坊が生まれました。

 一人は男の子、もう一人は女の子。


 その家に予言者からの言葉がありました。


 双子の赤子のうち、女の方を外に出してはならない、出したら国が滅んでしまう。


 と。


 公爵夫妻はそれを信じて、女の子を屋敷に監禁して育てました。

 部屋に閉じ込め、檻の中に閉じ込めて育てました。


 女の子はわずかに見える窓から外へ出たいと憧れ、願いましたが、誰も聞き入れてはくれませんでした。



 ところが16歳になったある日、女の子は部屋の外へと出されました。

 ようやく願いがかなったのだと喜ぶ女の子でしたが、理由がありました。


 公爵の子に世界を守らせよ、出なければ世界は滅ぶであろう。

 世界を救う代わりに子は死ぬ。


 という予言があったのです。

 女の子は絶望しました。


 自分は片割れの代わりに死ぬように言われているのだと。

 悲しみのあまり、涙も出ませんでした。


 もちろん予言を守るため、女の子は――彼女は兄の振りをさせられました。

 男の振りをして、男の風に装って、世界を守る旅に出されました。


 途中、予言を信じない国にもいきました。


 そこで仲間になった若い魔術師が、彼女が国を出る際につけられた護衛がいない時に彼女に声をかけます。


「貴方は、本当は女性でしょう?」


 と。

 彼女は必死に否定しましたが、拙い嘘なのでバレてしまいます。


 魔術師は何故そんなことをしているのかたずねると、彼女は嗚咽を漏らしながら答えました。


 自分は予言では、国を亡ぼす存在だから、家からは出してもらえなかった事。

 けれども、もう一つの予言で、自分の家の子に世界を救わせないと世界が滅びる、そして世界が滅びから救われるかわりに子は死ぬと。


 兄を死なせない――身代わりにされたことを彼女は魔術師に伝えました。


「では、逃げてしまいましょう」


 彼女は否定します、そんなことをしたら世界が滅んでしまうと。

 魔術師は笑いました。


「ならば、貴方が外に出た時点で貴方の国はとっくに滅んでいるはずです」


 彼女が何か言うたびに、魔術師はそれを否定し続けました。


 魔術師はこういいました。


「予言とは未来予測の一つであって、未来を確定させるものではない、外れて普通なんですよ」


 その言葉に女の子は遂に、思いました。



 やめちゃおう、にげちゃおう



 と。

「では、逃げますか」


 魔術師は女の子の手を取って、予言を信じない国へと逃げていきました。


 予言を信じない国は固く閉ざされ、女の子がいなくなった護衛達でも入る事はできませんでした。


 予言を信じる国は、予言を信じない国に抗議します。


『世界を滅ぼす気か』

『国を亡ぼす気か』


 と。


 予言を信じない国は答えました。


『世界を滅ぼす気はない』

『だが、国を滅ぼすつもりはある』


 と。

 予言を信じない国はずっと機会を待っていたのです。

 予言を盲信するあまり、排斥されてきた人々の涙を、この国の王はずっと見てきました。


 だからこそ――

 予言を信じる国が手出しできない状態に持ち込みたかったのです。



 予言を信じていた国は滅び、国を亡ぼすとされた女の子の兄は暗い、暗い地下牢へと閉じ込められました。

 父母と共に。

 国王たちも同様に。



 世界の滅びは――やってきませんでした。

 滅んだのは予言を信じ続けた愚かな国だけ。





 当たった予言は一個だけ。


『双子の赤子のうち、女の方を外に出してはならない、出したら国が滅んでしまう』


 その予言だけでした。

 いえ、その予言も本当は外れていました。


 女の子を外に出していれば、女の子を普通に扱っていれば、国は滅びなかったのです。





 嘘だらけの予言に振り回される国はこうして滅びました。


 そして滅びの子とされた女の子は魔術師の妻となりました。

 女の子は外の世界を満喫します。


 体いっぱいに陽射しを浴び、土の匂いを嗅ぎ、水の音と感触を楽しみ――


 愛してくれる人と一緒に居る時間を大切にし続けました。





「予言とは、未来を予測した言葉であって、外れて当然なもの。」


 魔術師は、可愛らしい妻にそう言いました。


「それに、世界はいつか滅ぶもの、国だって同じ、ならばそれまで――」


「ともに過ごしましょう」


 妻は女の子は頷きました。




 これは昔の物語。

 予言を信じる国があった時の物語。


 予言を信じる国がなくなった事で皆が互いに考え、未来についてよくするかを考え合うようになりました。

 予言に頼らず、自分達の足で歩けるようになりました。


 そして自分達で幸せになるための方法を考える様になりました。







めでたしめでたし。


童話……っぽい何かを作ってみました。


予言(他者の言葉)に頼って自分の頭で考えるのを放棄したら駄目だよ、的な風なお話だと思ってください。


未だ書きたい物が何か分からず模索してますが、頑張ります!

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― 新着の感想 ―
予言を信じすぎるのは行けないということですね。何だか一種の教訓のように感じました。 作中にもあるとおり予言を信じるのではなく、自分たちの信じる道を行けば幸せになれるみたいな感じですかね。そして、後書に…
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