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王妃様のお土産

王妃様のお土産

作者: 瀬嵐しるん

「さて、どうしようかしら?」

王宮の回廊から庭園を眺めながら、ため息をついた。


私は男爵家の長女に生まれ、物心つく頃から自立を目指してきた。

下には弟が二人いるし、家には居座れない。

貧乏貴族で付き合いも限られていて、幼いころからの婚約者なんて相手もいない。

勉強をするのが好きだったお陰で、なんとか奨学金を得て高等教育を修了した。

少ない女性官吏の座を目指して、さらに勉強を重ねていた時、思わぬ話が降ってわいた。

王宮で幼い王子、王女の家庭教師をする気はないか、というのだ。


子供は嫌いではないし、給料も破格。

折角の話だと受けて、ひと月の試用期間を経て採用された。

年子の王子様、王女様は思いのほか素直で懸命に勉強する態度が可愛らしく、私も精一杯教えた。


そして数年が経ち、お二人は学園に入る年齢に達した。

任を解かれた私は、貴族令嬢として立派な行き遅れになっていた。


仕事の効率を優先し、ひっつめた髪と地味な服装、化粧っ気もなく、常に速足で優雅さに欠ける私。

王宮で、それなりに若い貴族令息に出会う機会はあったはずなのに、声をかけられたことなど皆無だ。

しかし、打ち込んできた家庭教師の評判は良く、数軒の貴族家から次は我が家へ、と誘っていただいていた。


だけどな~、と思った。

ちょっと、のんびりしたいんだけどな~。

でも、一度保留してしまえば次は声がかからないかもしれない。

月末には王宮の宿舎からも出る予定だ。

実家に帰っても、年増の小姑が歓迎されるわけもなく、気付けば、なかなかの崖っぷちである。


…と、いうわけで、冒頭のため息につながる。



足音が聞こえて、そちらを見ると一人の男性が歩いてきた。

年のころは、私より少し上ぐらいか。

身なりからして、上位の貴族。

私は壁を背にして、頭を下げた。


脚が長いのか、思ったより速く近づいてきた彼の靴は、下げた視線のあたりで止まった。

なにか失礼でもあったかしら、と考えてみたが思いつかない。

戸惑う私に声がかかる。


「失礼だが、貴女はアンヌ・エメ男爵令嬢で間違いないだろうか。」

「はい、間違いございません。」

顔を上げてこたえると男性と目が合った。

一瞬、お互いに目を見張り見つめあってしまう。


とても美しい男性だった。

やや細身の鍛えた肉体に、上質でシンプルな装い。

恋を夢見る頃なら、一目ぼれしてしまったかもしれない。


「…私はロジェ・フォール。辺境伯家の当主を務めている。

貴女は優秀な家庭教師とうかがったのだが、私の娘を教えていただけないだろうか。」

格下の身分である私に対し、簡潔ながら、ずいぶん丁寧に接してくださっている。

「お嬢様は、お幾つでしょう?」

「6歳になる。」

「そうですか。…フォール辺境伯領といえば、山脈からの水の恵みを受け、産物が豊富なお土地柄ですね。」

「さすが、よくご存じだ。」

にこりと笑う辺境伯様はなんとも爽やか。


彼は顔を引き締めると

「もしや、他家にお決まりか?」と尋ねてくる。

「いえ、ありがたいことにお話はいくつか頂いておりますが、まだ…」

「だったら、我が領にご招待したい。」

唐突な展開に、驚いて返事が遅れる。

「長く、王家の家庭教師を務められたのだと聞く。

仕事の件は別として、我が館へ来て、しばらく羽を伸ばされたらどうか?」


渡りに船、とはこのことだ。

心の声が聞こえてしまったのかと疑うような提案である。

さすがに即答はしかねるので、明日会う約束をした。

去っていく辺境伯様は、心なしか上機嫌に見えた。

そして、後ろ姿も美形であった。



その日の午後、寮の部屋で荷物の整理をしていると、王妃様からお茶のご招待にあずかった。


「貴女がいなくなると寂しいわね。次の仕事は決めたの?」

「いえ、まだです。」

「貴女は口が堅いし、私情を交えずに話を聞いてくれるから、侍女として残ってもらうと嬉しいけど…。

慣れない職種で新たなストレスを抱えさせるのも気の毒だし。」

苦笑いで応える。

あまり対人的に器用ではない自覚はある。


「そういえば」

「なにかしら?」

「今日、フォール辺境伯様から、お嬢様の家庭教師のお話をいただいたのです。」

「あら…」

「長い役目を終えたばかりだろうから、面接がてら、辺境伯様の領地で休養してはどうかと。」

「あらあら…」

「返事は明日するのですが、どんな方かご存じでしょうか?」

「とりあえず、いい男ね。」

それは、見て知っておりまする、と顔に出たらしい。


「ああ、見た目も勿論だけど、中身もいいわよ!」

「お話していると、気遣いのできる方のように感じます。」

「そうなの。

腕が立つけど脳筋ではないし、女性のあしらいも誠実ね。

社交界に顔を出していた頃はモテまくっていたわ。

そう、お嬢さんはもうそんな年頃なのね。」


しみじみとされた王妃様の表情を訝しむと寂し気な微笑が返る。

「奥様がお嬢さんを産んだ時に、亡くなられたのよ。

政略結婚だけど、仲睦まじい夫婦だったわ。

その後も奥様ひとすじで、降るようにある再婚話には目もくれないわ。」

「それは、お寂しいでしょうね、お嬢様も。」

「訪ねて、話し相手をしてあげるといいわ。

…そうね、私からのお土産を届けてもらえるかしら?」

「…はい」


これはもう王妃様からの「行け」という命令である。


翌日、「お言葉に甘えまして…」と返事をすれば、眩しいほどの微笑みが返ってきて、目の毒だった。

明日帰るので、一緒の馬でよければ乗っていきますかと訊かれた。

頭の中に疑問符が浮かんだものの深く考えず、王妃様からお土産を預かることになっていると告げると、

「領地でお待ちしている。」と言って、辺境伯様は帰っていった。



二日ほどして、また王妃様にお茶に呼んでいただいた。

「ごめんなさいね。ちょっとお土産の準備に時間がかかりそうなの。」とのこと。

それまで寮にいていいならかまわない、と申し上げれば、

「あら、じゃあわたくしの宮の客室にいらっしゃい。」と仰る。

一介の男爵家の娘を、王妃宮の客室に泊めるほどのお土産って、いったい何なのだろう?


「わたくしの古いドレスで、あなたに似合いそうなものがあるの。

旅行用にリメイクするから、もらってくれない?」

と、仰るがもらっていいものかどうか、判断がつかない。

「新人のお針子たちの練習にもなるので、受けてくれると助かるわ。

どうかしら?」

と畳みかけられれば、ご厚意に甘えるしかなかった。


お茶の後で衣裳部屋に連れていかれ、丁寧に採寸された。

しっかりした仕事ぶりに、さすが王妃宮のお針子さんだな、と感心してしまう。



王妃様の意向なので、私はすぐに王妃宮の客室に移ることになった。

家庭教師の仕事は終わっているので、どう過ごしたものかと考えた。

王妃様はお見通しのようで、侍女としてマルゴ様をつけてくださった。


マルゴ様は王女様のマナー指導をされていた方だ。

王妃様の侍女長を務めたこともあり、王室の信頼が厚い。


私は辺境伯様のところで恥をかかぬよう、マルゴ様にマナーを見ていただけないかと相談した。

マルゴ様は優しく微笑まれ、もちろんですとも、と請け合ってくださった。


結局、王妃様のお土産の準備が整うまで1か月。

その間、マルゴ様から優しくも厳しい指導を受け、私は少し、いやかなり貴族令嬢としての振る舞いに自信を持った。

そう、自信を持たねば、マルゴ様から「背筋を伸ばす!」と叱咤が飛んでくるのだ。

余談だが、マナーを教わるはずが、ダンスとエステまでセットだった。

「貴族令嬢の嗜みですから。」ときっぱり言われ、大人しくダンスのレッスンを受けた。


王妃様がレッスンの初日、稽古を覗いて吹き出された。

正直な方である。私も鏡の中の自分の動きを見て、笑いたかったが笑えない。

ダンスの講師から、筋は悪くないと言われて、その気になり頑張るしかなかった。


エステは概ね極楽だった。

王妃様付きの侍女の方たちがしてくださるのだが、いくら仕事の合間とはいえ、居候の身で恐縮してしまう。

すると「王妃様は、十分にエステの効果が行き渡っていて、現状維持するだけなのです。

わたくしたちも、たまには野生の令嬢を仕上げたいのですわ!」

と意気込んで言われた。

「それと、王妃様にいきなり試せない、新しいエステ法や基礎化粧品などの実験台になっていただきますので、ご遠慮は無用です。」

……私には遠慮する権利はないようだ。


そうこうするうち、ダンスもなんとか及第点に達した。

最後のレッスンで、講師の方に言われた。

「馬車で移動中はレッスンは無理でしょうが、ダンスのお相手を心に浮かべて、イメージトレーニングするといいですよ。」

当然のように辺境伯様を思い浮かべ、そしてすぐに、かの方ではイメージトレーニングの相手にならないことを悟った。

彼に手を取られ、微笑まれるのを想像しただけで、ドキドキして落ち着かないのだ。

とはいえ、背格好は申し分ないので、想像上の辺境伯様には『へのへのもへじ』と書かれた仮面を着けていただくことにした。



出立の日が来た。

王妃様自ら辺境伯領までの馬車を出してくださるというので、案内されて馬車寄せまで行く。

もったいないことに、王妃様はじめ生徒であった王子様、王女様も見送りに来てくださっていた。


別れの挨拶を済ませて乗り込んだ馬車は、かなり豪華で座り心地もいい。

走り出した馬車の窓から、時折、護衛兵士の馬が見えた。

「王妃様のお土産に万一のことがあってはいけませんので。」

と、同乗しているマルゴ様が説明してくださる。

なるほど、と思った。

私などお土産のおまけに運ばれているようなものだ。

それで、この待遇なのだから文句のつけようもなかった。


王妃様から旅の一切を預かったというマルゴ様は、御者や護衛なども統括していて、朝夕には打ち合わせも行っていた。

途中で泊まった宿が、身に合わぬ豪華さだと言うと

「王妃様のお気遣いですので。」とにこやかに圧をかけられた。



旅程を数日残したところで、王妃様の旧知だというフランクール伯爵家に泊まらせていただいた。

伯爵ご夫妻は、私の両親より少し上くらいの御歳に見える。

たいへんに温かくもてなしてくださった。


伯爵様に勧められるまま、少しお酒を飲みすぎたようだ。

反省しながら寝る支度をしていた時だった。

マルゴ様が部屋を訪れた。


「遅くに申し訳ございません。」

「何かありましたか?」

「いえ、王家でされていたお仕事について、まだ書類の処理が残っておりました。

些細なものなのですが、滞ると文官の仕事にさわりますので、サインを頂けたらと。」

指示されるまま、数か所にサインをした。

「不手際で、お手を煩わせて申し訳ございませんでした。」

素早く退室する彼女。

その働きっぷりに感心していた私は、書類の内容をひとつも確認しなかったことに気付いていなかった。


翌朝、お酒のせいかよく眠れた私はすっきりと目覚めた。

支度を終え、部屋を出ようとした時、廊下から少し大きな声が聞こえてきた。


「…今は結構ですので!」

「しかし、伯爵夫人から仰せつかりまして…」

なんだろう、とドアを開けてみる。


廊下にいたのは、件のマルゴ様と伯爵家のメイドが数人。

後ろのほうに立つ若いメイドは、大きな荷物を持っている。

「おはようございます。」と挨拶してみた。

「おはようございます。」と、全員そろってきれいな礼を返される。

「あの、何か?」


素早く口を開いたのは伯爵家のメイドだった。

「奥様から、お嬢様のお支度を承っております。

ドレスもご用意いたしましたので、こちらを…」


「いいえ、私は王妃様からお世話を頼まれております。

ご心配には及びません。

せっかくのご厚意ですが、今はお引き取りを。」

マルゴ様が遮る。

「しかし…」

メイド隊を率いたメイド長(らしき人)とマルゴ様の圧が拮抗してしまった。


険悪になりそうな空気の中、

「朝食の支度が整いました。」

タイミング抜群の従僕の声で、その場は解散となった。


一度部屋に戻り、身支度を確認してから食堂に向かう。

伯爵ご夫妻はすでに席についておられ、遅れたことを謝った。

「ゆっくり休んでいただけたなら、なによりだ。」

伯爵様の優しい言葉が返ってきた。


「さっきはごめんなさいね。」奥様が口を開かれる。

何のことだろうかと首を傾げると、廊下の一件のことだった。

「若いお嬢さんが訪ねてくださるのは久しぶりなので、舞い上がってしまったの。」

「いいえ、お気遣いいただいてありがとうございました。

温かくもてなしていただいて、旅の疲れも癒されました。」

そう言うと、伯爵様も奥様も目を細めておられた。


伯爵ご夫妻に見送られ、再び出発する。


馬車に乗る前、マルゴ様とメイド長さんが頭を下げあっていた。仲直り出来たようで、よかった。


馬車はひたすら走り、目的地に向かう。

辺境伯領が近づき、遠くの山脈が窓から見えるようになった。



そしてとうとう、辺境伯領に到着した。

領主館のある街は、有事に備えて二重の壁で護られていた。

二つの大門を馬車でくぐり、領主館…城というべき建物に続く門をさらにくぐった。

華美さで言えば王城の勝ちだが、堅牢さで言えば辺境伯の城の勝ちだろう。

さすが、国の守りの要である。


館の前では、なんと辺境伯様がご自身で迎えてくださった。

「エメ男爵令嬢、よく来てくださった。」

「フォール辺境伯様、お久しぶりでございます。

お出迎えまでしていただき、ありがとうございます。」

久しぶりに拝見しても、やっぱり素敵な方である。

顔の火照りを少しでも冷まそうと、深々と頭を下げた。


下げた頭を上げる時、辺境伯様の隣にいた天使のような美少女と目が合った。

あまりに可愛らしく、目が離せない。

「娘のエリザベトです。

エリザベト、こちら、王家で家庭教師をされていたアンヌ・エメ男爵令嬢だ。いい子にしてたら、アンヌ先生がお前の家庭教師になってくださるかもしれないよ。」


そう言われたエリザベト様は、不満げな顔を、私、ではなく辺境伯様に向けた。

「お父様! お話が違いますわ! 新しいお母様がいらしてくださるのではなかったのですか?」

「エ、エリザベト!?」

キッと睨みつける眼差しも、絵になる美少女だ。

「わたくし、アンヌ様が気に入りました。いかにも働いていらっしゃるご婦人、という感じで、お父様に媚びる様子がないのですもの。

あっ…でも、もしかしてアンヌ様は、お父様のような方はお好みではないのかしら?」

急に弱弱しくしょげるエリザベト様に、思わず言ってしまった。

「辺境伯様は素敵な方です。ですが、私のようなものでは、つり合いが取れません。」


「どういうふうに、つり合いがとれませんの?」

上目遣いが激可愛い。

だが、エリザベト様は本当に6歳? と疑うような話しぶりだ。

家庭教師をやっている私が、完全に押されている。

なんとか立ち向かわねば、と気力を出す。

「まずは身分ですね。私は、特に力のない男爵家の娘です。」


「あら? そうでしたの?」

エリザベト様はちらりとマルゴ様に視線を送る。

マルゴ様は、侍従に持たせていた書類を差し出してきた。

「たしか、アンヌ様は昨日付でフランクール伯爵家の養女になられたはずですわ。」

「え?」聞いていない。

しかし、受け取って確認した書類に、どことなく見覚えがあった。

しっかり、自分のサインが入っている。

??? 記憶をたどる。

あ、あれだ! 酔ってて、ちゃんと確認しなかったやつ!


「これで身分問題は解決しましたわね! 他にもございますか?」

混乱する自分を奮い立たせ、言うべきことを言おうとする。

「見ていただけばわかる通り、私は辺境伯様の隣に並べるような容姿ではございません。」

これは事実なので、卑下しているわけでもなんでもなかった。

物心ついてこのかた、容姿を褒められたことなど一度もないのだから。


「この場で10分、お時間いただいてもよろしいでしょうか?」

マルゴ様が声を上げる。

「どうぞ…」

すっかりエリザベト様にのまれていた辺境伯様が、許可した。


マルゴ様がパチリと指を鳴らすと、お土産用の大きな馬車から4人のメイドが出てきた。

そして、近づいてきたと思うと、女性とは思えない力で私を担ぎ上げ、馬車に連れ込む。

「アンヌ様、今のあなたはお人形です! 指示が無ければ動いてはなりません!」

「はい!」

有無を言わさぬ命令を受け、緊張しながら、言われるまま目をつぶったり、顔を上向けたり、万歳したり、息を止めたり。

何が起こっているのかわからないまま、10分が経った。


馬車の扉が開かれ、いつからそこにいらしたのか、辺境伯様が手を差し出す。

おずおずとその手を取ると、マルゴ様が小声で『背筋を伸ばす!』と最後の指令を飛ばした。


馬車から降りて、辺境伯様と城の扉に向かう数歩の間に、周りにいる文官や衛兵たちから賞賛としかとれないため息や視線が送られた。

まだ、理解できない私に、城の中から大きな姿見が持ち出された。

その前に立つと、騎士服姿の美しい辺境伯様が映る。

でも、その横に立つ美女は誰?


白い肌に、顔立ちを引き立てる化粧が施されていた。

流行をほどよく取り入れたドレスは、派手過ぎず上品で辺境伯様の礼装ともよく合っている。


「お綺麗ですわ、アンヌ様。お父様とお似合いです。」

美少女中の美少女であろうエリザベト様がうっとりと私を見ている。

「え? これは私なんですか?」間抜けな質問をした。

鏡の中の美女が口を開き、驚愕の表情を浮かべる。

私の行動と、まったく同じタイミングで。


王妃様のお土産って、まさか……。



「問題はすべて解決したようですわ。 さあ、お父様!」


辺境伯様は、私の目の前に跪いた。

「アンヌ・フランクール伯爵令嬢、どうか私の妻になって欲しい。」

真っ白になった私の後ろで、悪魔、もといマルゴ様がささやいた。

『喜んで、お受けしますわ!』


「喜んで、お受けしますわ。」

あ、言ってしまった。


辺境伯様は笑顔になると、私を軽々と抱き上げ、頬に口付けた。

その様子を微笑んで見守るエリザベト様は、マルゴ様に

「王妃様のお土産、確かに受け取りましたわ。」と伝えた。





補足編『侍女マルゴのレポート 王妃様のお土産』を投稿しました。

併せて読んでいただけますと幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あれよあれよ [一言] 謹厳実直な子が報われる話は楽しいですね〜
[一言] まさか王妃の土産がアンヌとは!(笑) ま、マルゴ登場の辺りで何となくはアンヌ自体がお土産なのは感じましたけど… 辺境伯と王妃様はどこらから結託?してたんでしょ… 酔ってる間に伯爵家と養子縁組…
[良い点] しっかりした娘さんだ…!! [一言] 途中から王妃様のお土産ってそーゆーことか! と思ったんですが娘さんがとっても可愛くて、最期がストーンと決まってよっしゃ!という感じでした。 酒を飲ませ…
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