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異世界男の娘ガンマン ~魔法が使えない能無でも弟の為に最強目指す~   作者: 冷えピタ
三章 首都ノーウィークへ 〜動乱編〜
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10話 召喚勇者とのファーストコンタクト

いつもありがとうございます!!

 何やら入口が騒がしい。


 バジルが暗い通路を抜けるとそこにはカウンターを隔てて言い争いをしている男女がいた。

 1人は自分も知っている背が低いドワーフの血を引く女性。魔道具技師のワカサ。


 もう一方の男性に見覚えは無いが、ここが店だということを考えれば客だと考えるのが普通だろう。店の廃れ具合から営業中なのかも怪しいものだが。


「だから君で良いから俺のヒロインになってくれよ。少しマニアックだけどそういうのもアリだ」


「だから意味分かんないって、なんも買う気が無いなら()()()()()()から出てきな」


 こいつ臆面も無く私の、しかも魔道具の店って言ったぞ。


 だがまあ今のやりとりだけでも相手が困った客だということは分かった。


 詰襟の軍服に似た黒服に身を包んだその少年は自分と同い年くらいだろうか、近辺の国では見かけない黒髪に黒目、そして顔の作りは友人のライドウに近いものを感じるが明確に同じというわけでもなさそうだ。


 バジルが離れたところから暇つぶしがてら少年を観察していると本人もそれに気がついたようで視線が交錯する。


 その瞬間、黒髪の少年が雷に打たれたように体を震わせた後カウンターに身を乗り出そうとしてきた。


「あっ、お前入ってくんな!」


 小さな体で必死に少年を抑えつけようとするが思いのほかその力が強かったらしく抵抗し切れずにいる。


 少年はただバジルだけを一点に凝視しながら興奮したように口を開いた。


「君だ!!君こそ俺のヒロインに相応しい!!美しいお嬢さん名前はなんて言うんだ!!?」


「俺か?俺はバジルだ」


 初対面の相手からいつも通りの反応を貰ったバジルが流れるような黒髪を払いながらカウンターへと近付く。

 訂正するのも面倒になったバジルは苦笑しながらワカサの隣へと立った。


「バジル!それに俺っ娘かぁ良いね。あ、俺は相馬創流。気安くソウ君かつっ君て呼んでくれ!」


「それで()()はなんだ?何しにここへ来た」


 相馬と名乗った少年の要望を完全に無視したバジルが世間話でもするように尋ねる。

 この少年に興味は無いが暇つぶしにはちょうど良いと考えたのだ。


「ツレないな〜。まっそれも良いけどね。俺はイベントチャートを探してここに来たんだ。結果は最の高だったな」


 満足気に腕を組み頷く相馬。


「イベントチャート?なんだそれ」


「イベントはイベントだよ。ヒロインと主人公が出会うためのな。なぁバジルちゃん、今何か困ってる事ないかい?店が廃業寸前とか、お金に困ってるとか、奴隷に落とされそうだとか…」


「困ってる事ねぇ…強いて言えば目の前に訳の分からん事を喚くアホがいる事くらいかな」


 この店は俺のでもワカサの物でもないし、お金には多少困ってるがこんな得体の知れない奴に頼る程の事でもない、奴隷の問題はもう解決している。


「えぇ、なんかあるっしょ?じゃないと俺に惚れる切っ掛けが無いじゃん。まあ昨今大した理由が無くてもモテまくるのが普通だからそれでも良いかもしれないけどよ」


「ふーん」


 意味の分からない事を言い続ける相馬にはやくも興味が尽きつつあるバジルは欠伸をしながらガンベルトに付けられた雑嚢を漁った。


 取り出したのは小銭が入った財布だ。


「なぁ菓子かなんかないか?考え事したいから糖分欲しいんだけど」


「はあ今?…菓子なんて洒落た物は無いわよ?あるのはリンゴくらいかしら」


「じゃああとでキッチン借りるな、お前らの分もアップルパイ焼いてやるから」


「本当!?あぁ、いや…どうしてもって言うなら食べてあげても良いわ」


 楽し気に談笑を始めた2人の間に放置されていた相馬が慌てて割って入る。


「ちょっとちょっと無視しないでよ!?俺これでも大統領に直々に呼ばれた()()よ?そんな態度は少し無礼なんじゃ無い?」


「へぇ」


「いや、そんなの知らないわよ。勇者様の顔なんて見た事ないし」


「じゃあワカサちゃんもバジルちゃんも今日覚えていってよ。俺は他の奴らとは違うんだぜ?将来性は最高だし御付きになってくれればお給金もガッポリだ。どうだ?こんな美味しい話他にないだろ?」


 再び勢いを増した相馬だったがその姿や発言は相当胡散臭い。しかしバジルは彼の発した単語が引っかかっていた。


 勇者と言ったな。

 ランデブー商会で召喚勇者という話をチラッと聞いてからずっと頭の片隅にあった。


 この風貌から以前ヘンリーが話していたこの国で募ったという勇者候補とはまた別だろう。

 ならば目の前の少年が嘘を付いていないのなら異世界から勇者として召喚された人間という事になる。


「へぇならお前はホワイトフィールドで寝泊まりしてんのか?良いなぁ、大統領様が住んでるとこなんてお宝が沢山ありそうじゃぁねぇの」


 カウンターに肘をつき笑みをうかべるバジルは酷く色っぽい。

 その姿を見て生唾を飲み込んだ相馬は身振り手振りを加えながら会話を進める。


「何?バジルちゃんやっぱりお金に困ってんの?だからってあそこに興味持つのはやばいって。警備だってめちゃめちゃお金かけて、センサーみたいな魔道具とか大量に導入してるみたいだし泥棒なんて考えない方が良いよ」


 お金の事なら俺に任せて!…と相馬は言うが彼が自由に出来る懐の金も国民の血税から出ているホワイトフィールドで渡された金だ。


 ハッキリ言って役立たずの烙印を押されている彼は首相官邸の人間達にとってヒモか、居候でしかない。


 だがそんな彼にも、バジルはしっかりと価値を見出していた。


 このまま色々聞き出してからキンベイに教えてもらった情報をすりあわせよう。そうすれば情報の制度も上がるし、万が一首相側の連中に情報漏れが掴まれてもコイツをキンベイ達のスケープゴートに使える。


 ()()()()()国が直々に喚んだ人間なのだ。罰せられたとしても祖父の知人であるキンベイ達より心は痛まないし大した事にはならないだろう。


 粗雑な生活をしているバジルだがその地頭は決して悪い方ではない。


 彼の脳内では目まぐるしくこの後の算段を練りカロリーを消費しているため糖分を欲していた。

少しでも続きが気になったら是非ともブクマや批評コメントの方をよろしくお願い致します!!!!

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