9話 異世界召喚者
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俺の名は相馬創流相馬創流。地球から、この異世界に召喚された勇者の1人だ。
学校で授業を受けていた所、教室にいた全ての人間が此処へ呼び寄せられたため何人もの人間が異世界召喚の過程で勇者としての適正、「異能」を得ている。
そんな中自分は足手纏いのレッテルを貼られ、新天地開拓の最前線組(新天地を治める魔王を倒せば元の世界に帰れるらしい)や、強力な異能を獲得し自由に異世界を満喫する許可を得たグループからも外され真昼間から首都をうろついていた。
「…」
あてもなく街をふらつきながら時折目につく人々の幸せそうな表情に苛立ちを募らせる。
他にも、異世界へ拉致同然で連れてこられ病んでしまい与えられた部屋に引きこもっている者達や、気が弱く戦闘には向かない裏方の業務に勤しむ者達もいる。
俺はその裏方専門の集団に属していたのだが使い物にならないと追い出されたばかりであった。
俺の獲得した異能は「銃器生成」。己の知識にある火器の類いを魔力が続く限り生成し続けられる事が出来る。強力そうに聞こえるこの異能だが、この世界の人間達にとって「銃」という代物の信用度は限りなく低かった。西部劇のような世界の癖に納得がいかない。
現に俺の作った銃では魔力で築いた魔障壁を砕く事が出来なかった。
「精々触媒を持たない暴徒鎮圧用だな」
クラスのリーダー格で強力な異能を手にしある程度の自由を与えられている山根という同学年の男に嘲笑されたのは記憶に新しい。
この山根は異世界への憧れが元々強かったのか、力を手にした途端性格が豹変してしまった。以前はクラスでも目立たない暗いタイプの人間であったのにも関わらず、此処へ来てからは全くの逆である気障でナンパなキャラにクラスチェンジしている。
こんな痛い人間と一緒にいられるかという事で、俺はその後、後方支援組に属したのはいいのだがそこでも俺の異能がネックとなった。
サポートに特化した異能を持つ生徒達が多い中、俺の「銃器生成」は明らかに浮いていた。
体1つで仕事を手伝っていた俺だったが結局効率が悪いと放逐されてしまったのだ。
途方に暮れていた俺の手に残ったのは、政府から渡された僅かな小遣いとゴミのように役に立たない「銃器生成」という死にスキルだけ。…と、周囲の人間達は思っている。
実際は違う。
俺が獲得していた異能は「銃器生成」なんてもんじゃあない。
それはありとあらゆるものを無から作り出す「万物創造万物創造」とも呼ぶべき破格の代物であった。(名付けたのはそっち方面に詳しいクラスメイトの意見を参考にした)
そもそも異能の分別を仕方というのが、魔法に秀でた人間が見守る場所で異能を発動し調べてもらうという極めて原始的な測定方法であったのだ。
極度のミリタリーオタクであった相馬が始めて能力を使用した際、いくつか生み出したのがイメージのしやすい銃であった事が、周囲と、そして何より相馬自身にも能力を勘違いさせる要因となった。
能力を発現した当初、相馬は興奮に打ち震えた。そういった方面の二次創作には少しだけ触れた事のある彼は、元の世界の視点から見れば強力で派手な能力を得た事でこれから自分のサーガが始まるのだと信じて疑わなかった
物語の主人公。この世界の人間達相手に大立ち回りを演じ無双する自分の姿。自分をチヤホヤする見目麗しい女達で築いたハーレム。
妄想は際限なく膨らみ続け、幾つも浮かんでは消える。
尤も…その全てが呆気なく、この国の官僚や魔術師、そして仲間である筈のクラスメートによって打ち砕かれてしまったのだが。
だが実際の能力とは、銃以外も問題なく作り出せる万能な物だ。
しかし一応自分の体の体積以上の物や、己が詳しく仕組みを理解していない物、物体が大きくなる程使用する魔力が莫大になるなど様々な縛りもある。
この縛りのせいで、自動車やゲーム機なんかが作れないとわかり激しく落ち込んだものだ。
だがこの「万物創造」の有用性に変わりはない。
この力なら後方支援は勿論、前線でも大いに役立つ事間違いなし…なのだが相馬は自分を無能をコケにして輪から弾いた連中に協力する気などこれっぽっちも存在しなかった。
幸いな事に無能の烙印を押されて放逐された自分は自由だ。
孤独を楽しみながら相馬は高揚している。
無能とパーティーから追放され、使えないと思い込んでいた自分の能力が実は強力なものであった事。それはまるで、自分が向こうの世界で読み込んでいた小説投稿サイトで流行っていた成り上がり主人公そのものではないか。
そう彼は信じて疑わなかった。
ならば自分が起こすべき行動は決まっている。
力を蓄え、自分を馬鹿にした奴らを見返し、助けた美少女に意図せず惚れられゆくゆくはハーレムを築くのだ。
野望を俺はまだ諦めてはいない。
そのためにはまずイベントをこなさなければいけない。
相馬は調べた。
自分に相応しい出会いが起きそうな場所を、チームから抜ける前に首相官邸にあるネットワークを使い事細かに知らべさせた。
そして遂に見つけたのだ。
元は「銃器生成」と勘違いされていた自分におあつらえ向きな店が。
そこは曰く、かつて高名な兵士が懇意にしていた首都唯一のガンスミスがいる店らしい。
ガンスミス。いい響きだ。何より年頃の孫娘がおり、店に経営が最近怪しいというのが素晴らしかった。
相馬的に言えばイベントの気配でムンムンだ。
今相馬が街をぶらついているのはその店に向かっているからに他ならない。
彼は期待と興奮で胸が一杯だった。
だってそうだろう。遂にプロローグを終えて自分が主人公物語が幕を開けるのだから。
バジル達がキンベイの店に着く少しだけ前の事であった。
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