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異世界男の娘ガンマン ~魔法が使えない能無でも弟の為に最強目指す~   作者: 冷えピタ
三章 首都ノーウィークへ 〜動乱編〜
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5話 ワカサの店

あらすじ トワイアまであと少しの所で追い返された。

 首都官邸ホワイトフィールドの門の前で魔導技師のワカサに出くわし、何故だか彼女の案内で首都の大通りから外れた場所にある一件の家屋へと連れてこられる事となった。


 ワカサが言うにここは彼女が籍を置いている店らしいのだが、その寂れ方が激しいせいで客が出入りしている気配がまったく感じられない


「まあ汚いところだけどゆっくりしてきなよ」


 そう言ったワカサは店の奥へと消えていった。


「随分と大人しくついてきたな」


 アルミンが卵を下ろし様子を見ながら意外そうな声色で言葉を発する。


「まぁ、な…どっちにしろ行く当てなんか無かったしよ」


 落ち着ける場所ならどこでも良かった。

 ワカサがどう言うつもりでここへ連れてきたかは知らないが、静かな場所で作戦を練るには閑古鳥が鳴いているこの店はとても都合が良い。

 バジルはこの機会を有り難く利用する事にしたようだ。


「アルミンは何か提案とかあるか?」


「うん?私は特に無いな。最終的に目的が達せられればそれで構わないし、今はお前の言う通りに動く事にするよ」


「その目的って奴、そろそろ話す気になんねぇのかよ…いい加減命の借りなんて重たいもんはさっさと降ろしたいんだけどな」


「意外に殊勝な心掛けだな。食事やら何やらで面倒見てるからもう借りは返したとゴネるカモと思っていたんだが」


「俺はそこまで恥知らずじゃねぇよ」


 アルミンとのセッションではこれといった進展は望めないようだ。


 期待していたわけでも無いがこうも見事に空振りをするとため息も吐きたくなる。


 チラと彼女の様子を窺うが、その人形じみた無機質な視線は虚ろに竜の卵を眺めていた。


 謎の多い彼女をいまいち信用しきれていないのは、こういった自分の目的や内心をほとんど明かさない所にある。


 人間誰しも隠し事の1つや2つあるのが普通だが、アルミンの場合は度を越しているように思えてならない。

 トワイアと再開するのが1番の目的とは言え仲間…友人とは少し違う不思議な関係の彼女へ借りを返さないままというのはどうにもきまりが悪かった。


 いずれ必ず聞き出す事にしよう。

 アルミンの目的も、昔の祖父の事も。


 全てが終わった後にわだかまりが無くなった彼女とも普通の友人関係を築けたらとても喜ばしい。

 思い描くのは故郷の村でトワイアにアルミンやユラ、ジン達なんかの友人達が揃って飯を食う未来だ。共に笑い、たまに喧嘩をしながら年をとって行く。


 人生なんてそんな物で良いはずなのだ。

 辛い事もあるだろうが、今のように誰かのせいで未来が歪められるなんて認められない。


 歪みを正すそのためには、まずトワイアに会う事が先決だ。


 考えは結局、ホワイトフィールドへ侵入するための算段を練る段階へ戻る。


 あの広い敷地を取り囲む高い塀。一般の入場口はあの門1つ。


 国のトップがいる重要な場所な以上あの門を越えた先も警備は厳重だろう。

 鈴もないし、あったとしても恐らく()()()でやった方法は通用しない。


 塀自体に何かしらの魔道具が仕掛けられている可能性も高い。


 情報が少なすぎる。


 首都へ初めてきたのだから無理もない話ではあるが、首相官邸の警備情報を手に入れるのはかなり骨が折れるだろう。


 唯一門を超えるだけなら、先ほどの様に馬車などが出入りする際無理やり押し通る事で出来なくも無さそうではあるが駆けつけた兵士達に殺されるか、運が良ければ捕縛され、裁判の末荒縄と心中だ。


 どのみち未来は無い。


 タイミングよく、兄を語る馬鹿が度々捕まっているのも問題だ。


 そう()()()()トワイアの情報が流れて、捕縛者何人も出るものなのだろうか。


 誰かが邪魔をしようとしてくる意図をうっすらと感じ取ってはいるのだが、やっている事が至極中途半端なのが気味悪く感じた。


 だが実力行使に出てこない以上取り敢えず今はある程度自由に動けるはずだ。


 気は進まないが先ずは情報を集める為、開拓者達が集うギルドや酒場、案件が案件な為アングラな場所での聞き込みでもするべきか考えていると隣から「クゥ〜」という可愛らしい音が鳴った。


「空腹だ。飯はまだか?」


 先ほどアルミンが自分を晒さないといっておいてなんだが、こと食事に関してはそうでは無いらしい。

 というかミステリアスな人形で売り出しているのにそれで良いのかアルミン。


 人形の癖に腹を鳴らして飯を催促する。

 そんなキャラで良いのかアルミン。


「今はワカサの店だから我慢しろ。あとで何か作ってやるから」


「・・・・・」


 まだ飯にありつけないと聞いたアルミンの視線が抱えている卵に注がれる。


「おい何を考えてんだ?」


「・・・・・」


「幾らなんでもそれは無い。なあ、わかってるか?」


「バジル」


「うん?」


「あとでオムレツ作ってくれないか?」


「勘弁してくれ…まだそれどうするかも決まってないのに」


「お前が優柔不断なのがいけないんだろ?」


「うぐっ…まあそうだけどよ…」


「それに、早く決めないと面倒な事になるぞ?」


「…?それってどういう」


 アルミンの含みをもたせた言葉を追求しようとしたバジルだったが店の奥に消えていたワカサが戻ってきた事で会話が中断されてしまう。


「何やってんの?」


「いいや、なんでもねぇよ」


「あっそ、それでウチのジ…師匠がアンタに会いたいらしいんだけど」


 師匠というとランデブー商会で執事秘書が言っていた技術者のことだろうか。

 そんな人物との接点に覚えがないバジルは首を傾げる。


 ワカサがここへ引っ張ってきたのはその人物と合わせようとしていたからなのだろうが、そこまでして自分と会う理由とは何なのか。


「ほぉ…話を聞いてもしやとは思っとったが、随分と彼奴の銃が似合った嬢さんじゃないか」


 奥の暗闇からワカサ以外の聞き覚えのない嗄れた声が聞こえてきた。






ありがとうございました!

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