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異世界男の娘ガンマン ~魔法が使えない能無でも弟の為に最強目指す~   作者: 冷えピタ
二章 首都ノーウィークへ 〜奴隷編〜
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9話 異端の少年

あらすじ ユラとお話ししてたら殴られた

「貴方の言う通り能無の坊やを捕まえたわよ」


「うーん、でもアルミンは逃しちゃったんだよね?」


 既に陽は落ち、薄暗い執務室を照らすのはランプの光だけである。

 ボンヤリとしたその明かりに照らし出されているのはこの奴隷商の町リイズでも頭抜けた財力と権力を持つ美丈夫カーマスと質素な衣類に身を包んだ藍色の髪を持つ少年の2人だ。


 しゃなりと気取ったどこか女性的な仕草で頬杖をつくカーマスは胡乱な者を見るような視線で正面に立つ少年を射抜く。


「アルミンって言うのは、あの緑が身の娘ね。あれも捕まえられたらいい商品になったんだけどねぇ」


「彼女を奴隷にするのはあんまりオススメしないかな」


「どうしてかしら?」


()()()()()()()


 その言葉でカーマスは更に叩こうと思っていた軽口を吐かずに閉口する。


 この少年と同じ、という事はあのアルミンという少女も人智の及ばない得体の知れない生物なのだろう。


 カーマスは目の前の少年から様々な物を貰ってきた。

 魔力に、知識に、金。


 彼の協力でありとあらゆる力を身につけ、見返りは大きいが危険もあるこの奴隷商という世界でここまで成り上がる事が出来たのだ。


 身につけた力を育て、扱い方を学び自らの肉としてきた自負はあるが藍色の髪を持つ少年が居なければ今頃自分は未だにスラムで燻っているかおっ死んでいた事だろう。


 その彼からの珍しい要望だからこそ、ある程度の危険を冒してまで能無を我が屋敷まで招いたのだ。

 幾ら奴隷商と言えども白昼堂々人を拐えば罪に問われるし人の目も引く。


 この街の保安官供は身内のような物だから問題は無いが、外から来た人間の目が多い街中で事に至るのは不味い。商人の身としては客からの信用は何よりも大切な物だ。

 表向き()()()()奴隷狩りが禁止されている以上、深読みされ兼ねない行為は慎みたい。


 よって、本来ならあんな能無の事など捨て置いても構わないのだ。

 やられたらやり返す主義というのは間違ってはいないが、子供の喧嘩を本気で買う大人がいないようにあんな拳銃(オモチャ)で撃たれた事など心底どうでも良かった。


 しかしビジネスパートナーであるこの少年が能無の、正確に言えばその連れに興味を示したのだから付き合うしか無いがその理由が彼と同じだからというのはカーマスとしても俄然あの緑髪の少女に興味が湧いてくる。


「期待しているとこ悪いけど、アルミンの力にはあまり期待しない方が良いよ。本人は体が弱くて何処かに引きこもっているみたいだし物作りが多少得意なだけの子だからね」


 なら何故態々捕まえようとしたのか。


「それはまた追々…ね」


 口元に指を寄せる仕草はあどけない子供のそれだがカーマスはこの少年の正体が人間では無いことを知っている。

 気にはなるが迂闊に藪蛇を突くこともないだろう。そうして自分は今までこの得体の知れない少年の力を利用しながら利益を上げてきたのだ。


 今までも、そしてこれからもその関係性は変わる事はないだろう。

 何か目的を持っているようなこと言っているがその詳細を話さないのなら今は考えても仕方がない。


 しかし…まあ、あのアルミンが彼と同じ異端だとしらその連れの能無も、自分と同じく何かを貰っている可能性が高い。


 どうせ金や権力なんて能無が持っていたとしても無用の長物だろう。

 何処ぞの変態貴族にでも売れば夜の酒代位にはなるだろうと考えていたが辞めだ。


 暫くは売らずに働かせながら調教し口を割らせようか。ユラの拳は随分と効いていたって報告もあるし事あるごとに付き合わせてみるのも面白そうだ。

 それに…何やら繋がりもあるようだしな、あの銀狼族を更に縛り付ける情報が得られるなら大歓迎である。


 新たに手に入るであろう稼ぎへの糸口と益々躍進する我が商会の明るい展望を夢想し笑みを浮かべるカーマスを異端の少年は人形のような無機質な表情で見守っていた。





 ♢





 ユラに衣類をひん剥かれた挙句、悲鳴を上げられた日から3日程経ったバジルは忙しい日々を送っていた。


「おいそこ!モタモタしてんな!」


「ヘイ!!姉御!!」


「その資材は別の所へ回せ!」


「ヘイ!!姉御!!」


「あと少しで昼飯だ!クソマジィ豆じゃ元気が出ねぇと思って倉庫から拝借してきた燻製肉を用意してあるからな!」


「ヘイ!!姉御!!」


「あと姉御はやめろ!」


「ヘイ!!姉御!!」


 屈強で人相の悪い男たちが揃って声を上げる。


 彼らは奴隷。売られるのを待っている間も彼らに暇など無い。

 今はリイズの街の土木の仕事に駆り出されていた。


 奴隷である彼らはに人権など無く、馬車馬のように働かせられ精魂尽き果てた彼らはまた1人…また1人とその骸を路傍へと晒して行く。


 …ということは全く無い。


 全員実に活き活きと己の業務に励んでいた。

 目を光で輝かせ、彼らが「姉御」と讃えているのはカーマスの息の掛かった看守では無い。その職務を担っていたものは裏で昏倒()ている。


 見窄らしい筈の奴隷用貫頭衣を華麗に着こなし、的確に現場に指示を飛ばしているのは誰であろう。バジル・アントリウムその人であった。


よろしくお願いします!!

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