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異世界男の娘ガンマン ~魔法が使えない能無でも弟の為に最強目指す~   作者: 冷えピタ
二章 首都ノーウィークへ 〜奴隷編〜
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4話 奪ったもの

あらすじ ライドウという奇妙な男に出会う。

 風変わりな2人組と別れてからライドウは1人、荒野を駆けていた。


「変わった者達であったな…また会えると良いが」


 そう呟き息も切らさずスピードを上げる。

 彼は馬や馬車には乗っていない。


 己の脚でこの魔物の跋扈スル危険地帯を走破していた。

 魔力で身体能力を底上げし、健脚なサラブレットをも凌ぐ速さで荒地を走る様は異様の一言だった。


「ヴヴヴ…」


「ん?」


 走っているライドウの懐が震える。

 どうやら通信用の魔道具に反応があったようだ。


 遠方に声を届けることができるこの魔道具はダンジョンから出土する以外で入手する方法は無くかなり貴重な物であり、通話の相手に思い当たる人物といえば1人しか考えられない。


「ライドウでござる」


 丸い水晶のような物を取り出し耳元へ近づける。


「お疲れ様です。首尾がどうなっているか気になりましてねぇ」


 水晶の先にいるのはある意味自分の上司と言って良い人物だった。

 正直ライドウとしてはこの胡散臭い男があまり得意ではない為あまり顔を合わせるのも、こうして会話をするのも遠慮しておきたいというのが本音だ。


「どうも何もあんな情報だけでは仕事にならないでござるよ」


「そんなに根を詰めなくても大丈夫ですよぉ、首都に到着する前に何となく探してくれればそれで良いのですからね」


 ライドウが不平を漏らせば通話の相手はヘラヘラと軽く返してくる。


 突然の首都への招集に加えて仕事を増やしたくせにこの態度は何なのだろうか。

 こころのなかで愚痴ってはみたものの、バジル達へ話した通り自分も裁判官と法と秩序の元動き回る政府の犬でしかないのだ。


 己の目的のため今の地位についてはみたものの、しがらみが随分と増えた気がしている。


 いっその事、今回の仕事を最後にこの国を離れてしまおうかとライドウが考えていると水晶の先の男が笑った気がした。


「まあ、あっしの思い過ごしだと思うので、また何かあれば連絡を下さい」


 そう言うなりプツリと水晶の反応が消えた。


 只のガラス玉へと戻った魔道具を懐へしまい込みため息を吐く。


 命じられたのは首都への帰還と黒髪で、赤い目をした男を捜す事。


 顔つきはこの国で良く見られる作りだと言うし、黒髪だって最近じゃあそこまで珍しくもない。

 まあ、赤い目にプラスで顔が整っているとなればもう少し絞られるかもしれないがこの大陸の広さを考えて物を言って欲しい。


 つい先程まで黒髪で赤い目をした人物と出会ってはいたがあれは()だったしなぁ。


 上司も期待したわけでもなさそうだし気長に探せば良いだろう。


 もし発見した場合に発生する仕事を思いながらライドウは腰に携えた異国の曲刀を撫でる。





 ♢






「気持ち悪い…」


「お前人形だとか言ってなかったか?」


「人形だってたらふく飲んで食べた後馬に揺られれば気持ち悪くもなる。そういうのは人形ハラスメントだからな?ニンハラダだニンハラ」


「元気じゃねぇか」


 今俺たちはライドウと別れた後、ヤコから受け継いだ黒馬に乗り街を出た。

 本来長距離を二人乗りするのは馬への負担が大きい分あまり推奨はされないのだがアルミンの身体が華奢で、土と根で作られた義体だというわりに重量が驚くほど軽い為バジルが前に抱え込むような形で荒野を進んでいる。


 その場合アルミンはどうしても体を小さく折り前傾姿勢になる必要があり、酒と肉で満杯になった腹を容赦なく圧迫し馬が血を蹴る衝撃がズシンと響いた。


 酒に酔う事は無いみたいだが、馬の振動で酔うというのはどうゆう理屈なのかさっぱり分からない。

 そもそも自分の意識を乗せた人形という時点で最早理解の範疇を超えている。一々考えてても仕方の無い事だろう。


「うぉえ…」


「最初に会った時の謎めいた雰囲気は何だったんだ?今のお前ってただの飲んだっくれの食いしん坊だぞ?それで良いのかよ」


「失礼な…わたしは今だってミステリアスな美女ウプ…」


 えづき、抱えている大きな布袋に体重をかけるアルミンを見てバジルはすかさず声を飛ばした。


「おい、あんまり寄りかかるなよ割れるだろうが」


「安心しろ、そう簡単には割れはしないさ…ところで」


 上を向き抱え込む俺に目を合わせるアルミン。こちらを覗き込む眼球はまるでガラス玉のように透き通っていて、無機質であった。


「あのライドウとか男が言っていた通り、こんな物を持っているのはリスクでしか無いと思うぞ。何故先の街で売り払わなかった?()()のつもりか?」


「そんなんじゃねぇよ…ただ」


「ただ?」


 アルミンの抱える袋を見つめバジルは言葉を捜す。

 旅をするうえで必要な物品は松明等すぐさま必要になる物以外は村で拝借したマジックバックに収められている。


 見た目の容量以上に物を詰め込む事が出来るこのマジックバックであったが勿論欠点も存在した。


 1つは収納されている物は外と同じだけ時間が経過する。つまり出来立ての食事を収納していつでもどこでも食べられるわけでは無いし、食品は普通に腐敗する。収納した物の時間が停止するマジックバック等それこそ御伽話の中の代物だ。


 次に、命あるものは収納できない事。

 植物の種子は入る為線引きが少し難しくはあるのだが、基本的に呼吸をして命を持つ生物が該当するという認識で構わない。


 アルミンの抱える袋に包まれているのはそういった類のものだ。


 これを持ってきたのは何故なのか、本人のバジルでさえ正直判断できない。だからこんな言葉を返す事しか出来なかった。


「自己満足だよ」


 バジルはアルミンの抱える()()()に視線を向け自嘲するような薄笑いを浮かべるのだった。











よろしくお願いします!

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