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異世界男の娘ガンマン ~魔法が使えない能無でも弟の為に最強目指す~   作者: 冷えピタ
二章 首都ノーウィークへ 〜奴隷編〜
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3話 新たな友人

よろしくお願いします!

「それで連れ去られた弟を探しに首都へ?泣かせる話でござるなぁ」


 ライドウと名乗った影の様な印象の男は肩に掛けた薄い外皮で目元を拭う。


 場所は変わらず酒場の一角なのだが、先の一件で人の首が飛び殺気立つ開拓者や保安官が駆けつけた事で大騒ぎとなり今となっては賑わいを見せていた店の中には3人しか残っていない。


 そもそも流血騒ぎを起こした店でそのまま飲食を続けるなど到底正気とは思えないが、当のライドウは飄々としていてバジルとアルミンも特に気にはしていない様だ。


 もっとも、この店の従業員に関してはその限りでは無いかもしれないが。


「そ、ソーセージに…ラム酒です…」


 震える指先でテーブルに注文の品を置いた給仕は慌ただしく裏へと引っ込んでしまった。


「嫌われてしまったでござるなぁ」


 対して残念がる事もなく運ばれた薫製肉を口へ運ぶ。パキッと小気味良い音を立ててソーセージを齧り美味そうに咀嚼する。


 一方のラム酒はアルミンの手に渡った。


 あれから何故かこのライドウという男と食事をする事になったが。バジルとしても少し話をしてみたいと思っていたので丁度いい。


「ライドウは気にしないんだな」


「?…何の事でござる?」


「俺が能無だって言われてんのに普通に話しかけてくれただろ?」


 あの場でバジルに対し対等な目線で接していたのはライドウだけであった気がする。アルミンに関しては何処か幼い子供に対する様な目で見てくるので対等とは少し違うし、他の人間は言わずもがなだ。


「能無というのは…確か魔力を持っていない人間の事でござるな?拙者の故郷には魔法なんて妖術の類を使う者が少なかった故、特に気にもしなかったでござるよ」


 そうは言っても同調圧力という物がある以上、これだけ能無に対する軋轢があるこの国いれば嫌でも意識への刷り込みが進む。

 にも関わらず、ライドウにその片鱗が一切見えないのは純粋にこの男の気性による所が大きいのだろう。


 今まで散々能無に対する謂れの無い差別に直面してきたバジルにはそれがとても好ましく思えた。


「そうか…でも何にせよ助かったよ。ありがとな」


「礼なんて必要ないでござるよ。困ってる美人がいたら助けるのが男の甲斐性でござる」


 自慢気に胸を張るライドウにバジルはつい吹き出してしまう。


「助けるのは美人限定かよ。それに俺はな…」


「お客さんすまねぇけど今日の所は出てってくれねぇか?」


 久々の馬鹿話に花を咲かせていると酒場の主人に声をかけられた。


 曰く先の事件で騒ぎになったから今日は店を閉めたいそうだ。


 まあ確かに軽く拭われただけの床にはまだ血の跡が濃く残っているし、砕けたテーブルもそのままだ。

 片付けをしたい店側からすればあの騒ぎの後残っているバジル達の方が以上なのだ。多少不躾な物言いになってしまっても仕方がない。


 もう少しこの風変わりな男と会話をしてみたいと思っていたバジルは残念そうな表情を浮かべるが、店を変えて続ける程暇では無いので荷物を背負い、そのまま店を出てライドウに別れを言う。


「じゃあなライドウ。また会ったら今度はゆっくり話そうぜ」


「拙者もその時を楽しみにしてるでござる」


 お互い振り返り各々の旅路に戻ろうとした所で、ライドウがふと足を止めた。


「そうだバジル殿、1つ忠告でござる。首都へ向かうと言っていたでござるが最短の都市リイズを通るルートはやめておいた方が良いでござるよ。最近はあの辺に奴隷狩りが出没しているみたいでござる」


「そう言うのを委任執行官様は取り締まってはくれないのか?」


「残念な事に拙者も宮つかえなもんで勝手な事は出来ない立場なのでござるよ…一応賞金稼ぎの方の顔としては手配書さえあれば憂いなく首を落としに行けるのでござるが…」


「そう言うもんか」


「兎に角、忠告はちゃんと守るでござるよ?ただでさえ美人の二人旅な上に()()()()()背負ってたんじゃカモネギどころの騒ぎじゃ無いでござるよ」


「ああ、気をつけるよ。ライドウも人探し頑張れよ」


 先程のの他愛の無い会話の中で、ライドウは現在人を探す仕事を請け負っていると言う話を聞いた。どうやらその内容が黒髪で赤目の美形を見かけたら報告すると言う至極雑な命令らしく困っているらしい。


 因みに黒髪赤目で己の容姿には自信があるバジルは冗談交じりに「俺か?」と問いかけたがライドウに笑いながらハッキリ否定されてしまいショックを受けるという1幕があった。


 本当に…対等な立場で接してくれる相手との会話がこれほど楽しいものだとは思わなかった。村の連中だって多少関係が改善されていたとは言っても能無に対する嘲りが完全に払拭されたわけでは無い。

 旅をして行けばライドウのように様々な価値観を持った友人と出会える機会があるのではないかと期待を抱かずにはいられない。


 別れを告げ歩き出すライドウの背中を見てバジルは「結局男だって明かすタイミングがなかったな…」とひとりごちるのだった。

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